ブラック・ミュージック千本ノック~SoulとR&Bと色々な音楽~

管理人が手に入れたR&Bのアルバム、1000枚の紹介文を書き続けるブログ その先に見えるものは天国か地獄か・・・

Boyz II Men - Under The Streetlight [2017 MasterWorks, Sony]

これまでに6000万枚以上のレコードを売り上げ、ボーイズ・グループとしては歴代トップ10、黒人男性だけで構成されたグループとしてはジャクソン5に次ぐ2位という記録を残しているフィラデルフィア出身のヴォーカル・グループ、ボーイズIIメン。

85年に同じハイスクールに通う5人によって結成されたこのグループは、当時流行していたニュー・エディションを意識したスタイルで活動を始めると、たちまち地元で話題になる。その後、公演でフィラデルフィアを訪れていたベル・ヴィヴ・デヴォー(ニュー・エディションのメンバーで構成されたグループ)の前で演奏を披露したことをきっかけにプロへの道を歩み始め、91年にモータウンからアルバム『Cooleyhighharmony』でメジャーデビュー。アメリカ国内だけで900万枚を売り上げる大ヒットとなる。

また、翌年には映画「ブーメラン」のサウンドトラックに収録されている”End of the Road”が全米総合シングル・チャートで13週連続1位という大記録を残すと、94年にはアルバム『II』をリリース。アメリカ国内だけで1200万枚を売り上げるなど、こちらも大きな成功を収める。また、同作からシングル・カットされたシングル”I'll Make Love to You”が全米総合シングル・チャートで連続14周1位という記録を残している。

そして、95年にはマライア・キャリーとのコラボレーション曲”One Sweet Days”をリリース。この曲は全米総合シングル・チャートの1位を16週間守り抜き、2017年にルイス・フォンスイの”Despacito”が同じ記録を樹立するまで、唯一無二の記録としてその名を残した。

しかし、2000年代に入ると周囲の人々との音楽性の食い違いや、ファンから求められる音楽と自分達のスタイルのギャップなどに苦しみ、活動が停滞するようになる。

そんな中でリリースされたがこのアルバム。2014年の『Collide』以来、約3年ぶり通算12枚目のLPとなる本作では、「クラシカルで、ハーモニーを大切にしたサウンド」をコンセプトに掲げ、50年代、60年代のソウル・クラシックのカヴァーを中心に収録。ゲストとしてテイク6やブライアン・マックナイト、ジミー・マーチャントのような実力派シンガーを招いた、本格的なヴォーカル・アルバムに仕上げている。

アルバムの1曲目を飾るのは、50年代に一世を風靡したヴォーカル・グループ、フランキー・ライモン&ティーンエイジャーズが56年に発表した大ヒット曲”Why Do Fools Fall In Love”のカヴァー。今回はジミー・マーチャントを招き、10代半ばの少年たちが世に放った名曲を円熟した歌声と正確無比なハーモニーで歌い直している。シンプルな編成のバンドをバックに、ポップなメロディを軽やかに歌い上げるリード・シンガーと、息の合ったコーラス・ワークのコンビネーションが光っている。変声期前後の少年達が歌っていたオリジナルとは一味違う、老練なパフォーマンスが素敵な作品。

続く”A Thousand Miles Away ”は、ニューヨークのクイーンズ発のコーラス・グループ、ハートビートが57年にリリースした作品のリメイク。美しいコーラスに拘ったスタイルで30年以上活動し、日本にも多くのファンがいるアラバマ州ハンツビル出身のヴォーカル・グループ、テイク6とのコラボレーション。ボーイズIIメンの3人とテイク6の6人、合計9人による荘厳なコーラスが心地よいスロー・ナンバー。ソウル・ミュージックと言えば、パワフルなヴォーカルが魅力の作品が多いが、この曲では9人の高い歌唱力を活かした、緻密なコーラス・ワークで勝負している。

また、リトル・アンソニー&インペリアルズが58年に発表した”Tears On My Pillow”のカヴァーは、90年代から活躍しているバラーディア、ブライアン・マックナイトを招いた作品。この曲もオリジナルは少年グループによる録音だが、こちらはブライアン・マックナイトの滑らかな歌声を軸にした上品なバラードに纏め上げている。この曲や”Why Do Fools Fall In Love”のような、キッズ・グループの作品を、声域も技術も異なる大人が歌うのは一筋縄にはいかないが、彼らは曲に応じてコラボレーション相手を変えることで、楽曲の隠れた魅力を引き出しながら、自分達の音楽に染め上げている。

そして、本作の収録曲では唯一、女性シンガーを起用した”Anyone Who Knows What Love Is”は、ニューオーリンズ出身の歌姫、アーマ・トーマスが64年にリリースした作品のカヴァー。アメリカの 人気テレビ・ドラマ「グリー」のメルセデス・ジョーンズ役でも有名な女優のアンバー・ライリーを招き、アメリカの音楽史に残るディーヴァの作品に正面から取り組んだ、本作の収録曲では異色の録音だ。ほかの作品では見られない、パワフルな歌唱を披露する3人も素晴らしいが、若き日のアーマが降臨したような、堂々とした歌いっぷりのアンバーの存在が輝いている。彼女が担当したパートが、本作のハイライトといっても過言ではない。

今回のアルバムでは、50年代から60年代のソウル・ミュージックを数多く取り上げているが、収録曲に耳を傾けると、往年のサウンドを忠実に再現したものとも、現代風にアレンジしたものとも異なる、独創的な解釈に驚かされる。伴奏を生演奏にすることで、往年のソウル・ミュージックを彷彿させるシンプルだけど温かく、ポップでコミカルなものにまとめられている。しかし、現代のシンガーに合わせてヴォーカルは艶やかで洗練されたものになっているのは、2017年に本作をリリースする彼らのバランスが発揮されたものといっても過言ではないだろう。

その実力で、ポピュラー・ミュージック界に多くの足跡を残してきたヴォーカル・グループが、豊かな経験と高い技術をフルに活かして、自分達のルーツ・ミュージックに取り組んだ意欲作。今時のR&Bやヒップホップが好きな人にこそ聴いて欲しい、それぞれの時代に個性豊かな作品を残してきた、黒人音楽の世界の一端を垣間見れる面白いアルバムだと思う。

Track List
1. Why Do Fools Fall In Love feat. Jimmy Merchant
2. A Thousand Miles Away feat. Take 6
3. Stay
4. I Only Have Eyes For You
5. Up On The Roof
6. I’ll Come Running Back To You feat. Brian McKnight
7. Tears On My Pillow feat. Brian McKnight
8. A Sunday Kind Of Love feat. Brian McKnight
9. Anyone Who Knows What Love Is feat. Amber Riley
10. Ladies Man



a

Under the Streetlight
Masterworks
2017-10-20

Keyshia Cole - 11:11 Reset [2017 Epic]

カリフォルニア州オークランド出身のシンガー・ソングライター、キーシャ・コールことキーシャ・ミーシャ・ミッチェル・コール。

12歳の時にMCハマーのレコーディングに参加した彼女は、それをきっかけに音楽産業への関心を強め、18歳の時にロス・アンジェルスに移住する。そして、元トニー・トニ・トーンのドウェイン・ウィギンスといった、西海岸を拠点に活動するミュージシャンと交友を深めながら、ライブやレコーディングなどで幅広く活動。2002年にはA&Mと契約を結ぶ。

そんな彼女は、2004年に映画「バーバーショップ2」のサウンドトラックに収められた”Never”でメジャー・デビュー。ルーサー・ヴァンドロスの代表曲”Never Too Much”を引用したスタイリッシュなダンス・ナンバーで注目を集める。そして翌年には初のフル・アルバム『The Way It Is』を発表。 アメリカ国内だけで100万枚を超えるセールスを上げた。

その後も、2016年までに6枚のアルバムと数多くのシングルをリリース。特に彼女がデビューするきっかけとなった曲を録音し直した2006年の”Love”や、リル・キムとミッシー・エリオットを招いた翌年の”Let It Go”などは100万ダウンロードを越せる大ヒット曲となった。また、ディディやトリナ、DJキャリッドなど、多くの人気ミュージシャンの作品に客演。力強く華やかな歌声で楽曲に彩を添えてきた。

この作品は、彼女にとって2014年の『Point of No Return』以来、約3年ぶりの新作となる通算7枚目のオリジナル・アルバム。3作目以降のアルバムを配給していたインタースコープからエピックに移籍したものの、制作陣はこれまでの作品同様、有名プロデューサーが多数参加。彼女自身も積極的にペンを執り、パワフルでダイナミックなR&Bを送り出している。

アルバムに先駆けて発表されたのは、ブロンクス出身のレミー・マとフレンチ・モンタナが参加したミディアム・ナンバー”You”だ。ロンドン出身のH-マネーが制作したトラックは、古いレコードから抜き出したような温かい音色を使いつつも、FKJケイトラナダのようなエレクトロ・ミュージックのクリエイターの作品を連想させる淡々としたもの。最初から最後まで、力強い声で歌い続けるキーシャを、鋭く硬い声質を活かしたラップが魅力のレミー・マと、飄々としたラップのフレンチ・モンタナが上手く盛り立てている。

これに対し、同曲に続く”Incapable”は彼女の十八番といっても過言ではない壮大なスケールのバラード。パーティーネクストドアと一緒にDJキャリッドの”Shining”を制作した、マイアミ出身のクリエイター、ダンジャがプロデュースしたこの曲は、声ネタを使ったイントロに始まり、ギターやキーボードの伴奏を効果的に使った、生演奏風のトラックが面白い作品。メアリーJ.ブライジを彷彿させる、重厚なヴォーカルが格好良い。

そして、前作にも携わっているニューヨーク出身のプロデューサー、アマデウスを起用した”Best Friend”は、シンセサイザーを駆使した煌びやかなトラックと、その上でふくよかな歌声をじっくりと聴かせるロマンティックなバラード。しっとりとしたメロディを丁寧に歌う彼女の姿と、滑らかだけどグラマラスな歌声が印象的だ。R&Bミュージシャンの作品ではよく見るタイプのバラードだが、これを自分の音楽に昇華して、リスナーの心を満たす技術は群を抜いている。

また、オークランド出身の女性ラッパー、カーマイヤーを招いた”Ride”は、リアーナなどを手掛けているDJマスタードをプロデューサーが録音に参加。トラップやダンスホール・レゲエのエッセンスを盛り込んだビートに乗って、ゆったりと歌う姿が魅力のミディアム・ナンバーだ。妖艶なキーシャのヴォーカルと、太く重い声を活かしたカーマイヤーのパンチの効いたラップの組み合わせが光っている。

今回のアルバムでは、過去の作品同様、太くしなやかなヴォーカルが活きる、落ち着いた雰囲気のトラックと、優雅でロマンティックなメロディを強調した作品が揃っている。ヒット・チャートに名前が出てくるような他の人気ミュージシャンの曲と比べると、いささか保守的な印象さえあるが、リスナーを飽きさせないのは、彼女の豊かな表現力と色々なタイプのトラックを取り込む柔軟さのおかげだと思う。

アレサ・フランクリンからメアリーJ.ブライジまで、新旧の名歌手達が受け継いできたスタイルを踏襲しつつ、それを現代の流行に合わせて巧みにアレンジした楽曲が魅力の佳作。女性ヴォーカルのダイナミックなパフォーマンスが好きな人に聴いて欲しい、本格的なR&Bアルバムだ。

Producer
Keyshia Cole, Amadeus, Danja, H-Money, JV etc

Track List
1. Cole World (Intro) feat DJ Khaled
2. Unbothered
3. You feat Remy Ma and French Montana
4. Incapable
5. Best Friend
6. Vault
7. Act Right feat Young Thug
8. Right Time
9. Emotional
10. Ride feat Kamaiyah
11. Cole World (Outro) feat Too $hort




11:11 Reset
Keyshia Cole
Epic
2017-10-20

dvsn - Morning After [2017 OVO Sound Warner Bros.]

2006年にドレイクが設立。当初は彼のミックス・テープを配給するためのレーベルだったが、2012年以降は、ワーナー・ミュージックと契約した彼が率いるレーベルとして多くの人気ミュージシャンやクリエイターを輩出しているOVOサウンド。当初はボイ・ワン・ダやT-マイナスといった、プロデューサーが主力だったが、2013年のパーティーネクストドアやマジッド・ジョーダンを皮切りに、シンガー・ソングライターや音楽ユニットとも契約するようになる。特に、パーティーネクストドアは2枚のアルバムを全米R&Bチャートの1位に送りこむなど、レーベル内でもドレイクに次ぐ華々しい成果を上げてきた。

dvsnはシンガー・ソングライターのダニエル・ディレイと音楽プロデューサーのナインティーン85によるユニット。2015年に同レーベルと契約すると、翌年に発表した1枚目のフル・アルバム『Sept. 5th』がR&Bチャートの17位となるスマッシュ・ヒット。マックスウェルを彷彿させる、ダニエルの繊細でしなやかなヴォーカルと、ナインティーン85が作り出す洗練されたトラックが話題になった。

このアルバムは、前作から約1年ぶりとなる2枚目のフル・アルバム。制作には2人に加えレーベル・メイトの40や、ドレイクの作品にも数多く携わっているマニーシュ、オランダの人気ソングライター、ロビン・ハンニバル等が参加。前作の手法を踏襲しつつ、それを拡大したスタイリッシュなR&Bを聴かせている。

アルバムに先駆けてリリースされたシングル曲”Think About Me”は、制作を2人、プロデュースをナインティーン85が担当したバラード。重い音を使ったビートを軸にしたトラックと、みずみずしいヴォーカルのコンビネーションが魅力のバラード。浮遊感が心地よい上物が彼の色っぽい歌声を引き立てている。

これに続く”Don't Choose”はパーティーネクストドアがソングライティングに参加したスロー・ナンバー。彼の作品を連想させる、チキチキという音を使ったヒップホップ寄りのビートの上で、語り掛けるように歌う姿が印象的な曲。流れるようなメロディでありながら、ラップのように多くの言葉を盛り込むパーティーネクストドアのスタイルと、ナインティーン85が手掛けるシンプルなトラックの組み合わせが新鮮だ。コーラスとして組み込んだ、アイザック・ヘイズの歌声がアクセントになっている。

また、マニーシュが制作に携わった”Mood”は、ファルセットを多用した美しいメロディとピアノやギターの音色を巧みに取り入れたトラックづくりのセンスが光るスロー・ナンバー。高音を多用したスタイルはマックスウェルの”Fortunate”や”I Wanna Know”などを思い起こさせる。電子楽器を中心に使いつつ、アコースティック楽器のような音色を盛り込んで70年代のソウル・ミュージックのように聴かせる手法は面白い。

だが、本作の目玉は、二人で制作したスロー・ナンバー”P.O.V.”だろう。R.ケリーがペンを執ったマックスウェルのバラード”Fortunate”をサンプリングしたこの曲は、90年代のR&Bを思い起こさせる温かい音色のトラックと、ダニエルの繊細な歌声の組み合わせが気持ち良い作品。楽曲の冒頭で使われているマックスウェルの歌声が、ダニエルのきめ細かで滑らかな歌声を際立たせている。

彼の音楽は、レーベル・メイトのR&Bミュージシャンであるマジッド・ジョーダンやロイ・ウッズ、プラザと比べると、繊細な歌声の魅力を引き立たせる、流麗なメロディをじっくりと聴かせる作風が特徴的だ。シンプルなトラックとしなやかなメロディという、90年代から現代にかけて、色々なミュージシャンが挑戦し、ヒット曲を残してきたR&Bの王道ともいえるスタイルを取り入れながら、新しい音楽のように聴かせているのは、音の配置や響きにも配慮した彼らの高いスキルによるものが大きいと思う。

新しい音を取り入れているにもかかわらず、どこか懐かしい雰囲気を感じる佳作。90年代にR&Bを聴いていた人にお勧めしたい本格的なR&Bグループだ。

Producer
Nineteen85, 40, Alpha, Maneesh, Noël, Robin, Hannibal

Track List
1. Run Away
2. Nuh Time / Tek Time
3. Keep Calm
4. Think About Me
5. Don't Choose
6. Mood
7. P.O.V.
8. You Do
9. Morning After
10. Can't Wait
11. Claim
12. Body Smile
13. Conversations in a Diner






記事検索
タグ絞り込み検索
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

アクセスカウンター


    にほんブログ村 音楽ブログへ
    にほんブログ村
    にほんブログ村 音楽ブログ ブラックミュージックへ
    にほんブログ村

    音楽ランキングへ

    ソウル・R&Bランキングへ
    LINE読者登録QRコード
    LINE読者登録QRコード
    メッセージ

    名前
    メール
    本文
    • ライブドアブログ