ブラック・ミュージック千本ノック~SoulとR&Bと色々な音楽~

管理人が手に入れたR&Bのアルバム、1000枚の紹介文を書き続けるブログ その先に見えるものは天国か地獄か・・・

Justine Skye – 8 Ounces [2016 Roc Nation]

アフリカ系ジャマイカ人とインド系ジャマイカ人の血を引く、ブルックリン出身のシンガー・ソングライターにして、モデルや役者としても活動しているジャスティン・スカイ。動画投稿サイトにアップロードしたパフォーマンスが、200万回以上再生されたことをきっかけにアトランティックと契約、配信限定ながら、2枚のミニ・アルバムと3枚のシングルをリリースしている。

ミニ・アルバムとしては、2013年の『Emotionally Unavailable』以来となる本作は、2015年に彼が主催したボクシング・イベントの国歌斉唱を担当したことが縁で、ジェイ・Zが経営するロック・ネイションからのリリース。このアルバムでは、同時期に移籍したザ・ドリームと、ビヨンセの”Single Ladies (Put a Ring on It)”やリアーナの”Umbrella”などを手掛けているプロデューサー、トリッキー・ステュアートがソングライティングとプロデュースを担当し、これまでの作品とは一線を画した、2000年以降のR&Bの流行を踏まえたアルバムになっている。

マイアのような可愛らしい高音と、トニ・ブラクストンのような落ち着きと貫禄がある低音を兼ね備えたヴォーカルは本作でも健在。年齢(なんと録音当時21歳!)の割に落ち着いたヴォーカルで、しっとりとメロディを歌い込んだ”Love Song”にはじまり、シンセサイザーをホーン・セクションのように使い、テンポの遅いトラックの上に多くのメロディを詰め込んだスタイルがマイアの”My Love Is Like...Wo”を彷彿させる”Still”、マライア・キャリーの”Shake It Off”を彷彿させる複数のドラム音を使った躍動感のあるビートに、シンセサイザーの勇ましいリフが高揚感を掻き立てるトラックの上で、時に肉食獣のように凶暴な歌を、時にセクシーなファルセットを聴かせる”Girlfriend”、エレキ・ギターの伴奏をバックに、絹のような美しい声を響かせるミディアム・ナンバー”Jazebel”、ワシントンD.C.出身のラッパー、ワーレイが歌うようなラップでジャスティンのクールなヴォーカルに絡みつく、美女と野獣系バラード”Fun”などが続く。

過去の作品では、自身の鋭い感性を発揮した、奇抜で前衛的な楽曲が目立っていたが、外部のプロデューサーに制作の大部分を委ねた本作では、幅広い年代、趣向のリスナーを意識した、よく言えばキャッチーな、悪く言えば保守的な楽曲が多いように感じられる。

アルバムに先駆けてリリースされた2曲のシングル、”U Don’t Know feat. Wizkid”や”Dance”が収録されていない点は少し不満だが、多くのヒット曲を生み出したプロデューサー陣による楽曲のクオリティは、配信限定の作品とは思えないほどだ。次の新曲が待ち遠しい、期待の若手シンガーの一人だ。

Producer
The-Dream, Tricky Stewart

Track List
1. Love Song
2. Still
3. Girlfriend
4. Tonight
5. Jazebel
6. Too Young To Die
7. Strangers
8. Fun feat. Wale
9. Agenda



Gallant - Ology [2016 Mind Of Genius, Warner Bros. Records]

60年代のスライ・ストーンに始まり、70年代のプリンスや、90年代のディアンジェロ、マックスウェル、そして、2000年以降の音楽シーンをけん引するジョン・レジェンドやフランク・オーシャンなど、色々なジャンルの音楽を吸収、組み合わせて独自のスタイルを築き上げたシンガー・ソングライター達。その系譜を継ぐ新しいアーティスト、クリストファー・ガラントこと、ガラントが発表したキャリア初のフル・アルバム。

ワシントンD.C.に生まれ、コロンビア州のメリーランドで育った彼は、演劇や音楽を学んでいた高校時代に楽曲制作を始める。当時のことを語ったインタビューによると、この頃から現在のような、R&Bやオルタナティブ・ロックの要素を取り入れた音楽を作っていたらしい。その後、2014年に配信限定でリリースした自主制作アルバム『Zebra EP』が、大手ストリーミング・サイトのバイラル・チャートの上位に掲載されるほどの人気を博した彼は、本格的な音楽活動のため、ロス・アンジェルスに移住。2015年にロス・アンジェルスのインディペンデント・レーベル、マインド・オブ・ジーニアスと契約した。

このアルバムは、2015年にリリースされたデビュー作、『Weight In Gold EP』をベースに、新録曲を追加したフル・アルバム。デビュー作はファンと評論家の両方から高い評価を受け、大手ストリーミング・サイトでは「2016年に飛躍が期待されるアーティスト15組」の1人に取り上げられたほどだった。

同作を拡張した初のフル・アルバムでは、マックスウェルを思い起こさせる繊細なファルセットに、ディアンジェロを連想させるシンプルだが重厚なビート、そして、80年代のプリンスを彷彿させるシンセサイザーやギターの鋭い音色のリフが光る、前衛的だが聴きやすいR&Bを堪能できる。

アルバムに先駆けて発表された”Weight In Gold”は、出だしがマックスウェルの”Lifetime”に似ている繊細なタッチのバラード。サビに入ると、ギラギラとしたシンセサイザーの伴奏と重いバス・ドラムが入ったレディオヘッド風の尖ったロック・サウンドに切り替わるところに、彼の豊かな発想と、音を選ぶ嗅覚の鋭さが感じられる面白い曲だ。

また、エイドリアン・ヤングをプロデューサーに招き、ジェーン・アイコをフィーチャーした”Skipping Stones”は、90年代のヒップホップを思い出させる温かいドラムの音色に、生楽器とシンセサイザーを絡めた伴奏が心地よいスロー・ナンバー。ファルセットと地声を巧みに使い分けるガラントと、地声を中心にクールな歌を聴かせるジェーンのヴォーカルが心地よい。

このほかにも、キラキラとしたシンセサイザーの音色と重いビート、強力なエフェクターをかけた幻想的なヴォーカルが印象的な”Talking to Myself”や、トーキング・ヘッズやデュラン・デュランを連想させるデジタル楽器を使ったロックのビートを取り入れたアップ・ナンバー”Episode”。ジェイ・ディラやプラチナム・パイド・パイパーズを彷彿させるゆらゆらと揺れるようなビートと、ファルセットを多用した語り掛けるようなヴォーカル気持ち良いミディアム”Miyazaki”など、鋭利なサウンドと繊細なヴォーカルを駆使した楽曲が数多く収められている。

彼のように、様々な音楽のエッセンスを取り入れたアーティストの録音には、単に色々な要素を詰め込んだだけの折衷案に映る作品や、多趣味さが災いして散漫な印象を受けるものも珍しくない。だが、彼の場合は、ロックやソウル、ヒップホップの要素を取り入れるだけでなく、楽曲の方向性や展開に応じて、必要な要素を選択し、組み合わせることで、アルバムに一貫性を持たせつつ、楽曲に斬新さと、どこかで聴いたことがあるような懐かしさを与えている。

色々なジャンルの音楽をどん欲に取り入れ、自分の音楽の血肉に変える若い感性と、自分の直観をコントロールして一つの作品に落とし込む理性が生み出した、斬新だが完成度の高い作品。スライ・ストーンからプリンスやディアンジェロへと続く、雑食系ソウル・ミュージシャンの系譜を継ぐ、新しい才能の持ち味が遺憾無く発揮されている充実の内容だ。

Producer
STiNT, Patrizio Moi etc

Track List
1. First
2. Talking to Myself
3. Shotgun
4. Bourbon
5. Bone + Tissue
6. Oh, Universe
7. Weight in Gold
8. Episode
9. Miyazaki
10. Counting
11. Percogesic
12. Jupiter
13. Open Up
14. Skipping Stones (feat. Jhene Aiko)
15. Chandra
16. Last





Ology
Gallant
Warner Bros / Wea
2016-08-26

あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。

昨年、といってもこのブログを始めたのは11月の終わりからですが、たくさんの方に読んでいただき、ありがとうございました。

個人的な感想を申し上げると、昨年はチェンジ・ザ・ラッパーのブレイクやフランク・オーシャンの動向に象徴されるように、ストリーミング限定、配信限定のヒット曲の存在感が大きくなってきたと思います。

この流れが今年はどんな影響を与えるのか未知数な部分はありますが、私は私なりに魅力的な音楽をフィジカル、ダウンロード、ストリーミング関係なく紹介したいなと思っています。

駄文が続くと思いますが、生暖かい目で見守っていただければ幸いです。

さて、新年一発目の記事のおまけとして、昨年中に取り上げたかったけれども取り上げられなかった曲を1つ。

2016年に公開されたディズニー映画の一つ、実写版『ジャングル・ブック』 の主題歌。67年のアニメ版ではアカデミー賞の最優秀歌曲部門にもノミネートした、"The Bare Necessities"のリメイクです。

演奏はDr.ジョン&ナイト・トリッパーズ、プロデュースは彼が2014年にリリースした、ルイ・アームストロングのレパートリーをカヴァーしたトリビュート・アルバム、”Ske-Dat-De-Dat: The Spirit Of Satch”をプロデュースしている、テキサス出身のトロンボーン奏者、サラ・モロウによるもの。

映画では、熊のバルーが主人公の少年、モーグリに自分の生き方を語るシーンで使われている曲で、67年に発表されたオリジナル・ヴァージョンではバンジョーを軽快にかき鳴らす陽気なアップ・ナンバーでした。

今回のカヴァーでは、原曲のテンポを大幅に落とし、ホーン・セクションのアンサンブルをきっちりと聴かせるニューオーリンズ・ジャズに作り変えることで、原曲の明るい雰囲気は残しつつ、歌やメロディをしっかりと聴かせるアレンジに組み替えてます。

”Ske-Dat-De-Dat: The Spirit Of Satch”では手堅いアレンジが賛否を呼びましたが、今回は原曲が異ジャンルの作品だからか、彼らの手堅さが良い方向で発揮されていると思います。

最後に、今年もどうかよろしくお願いします。





 
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