ブラック・ミュージック千本ノック~SoulとR&Bと色々な音楽~

管理人が手に入れたR&Bのアルバム、1000枚の紹介文を書き続けるブログ その先に見えるものは天国か地獄か・・・

あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。

昨年、といってもこのブログを始めたのは11月の終わりからですが、たくさんの方に読んでいただき、ありがとうございました。

個人的な感想を申し上げると、昨年はチェンジ・ザ・ラッパーのブレイクやフランク・オーシャンの動向に象徴されるように、ストリーミング限定、配信限定のヒット曲の存在感が大きくなってきたと思います。

この流れが今年はどんな影響を与えるのか未知数な部分はありますが、私は私なりに魅力的な音楽をフィジカル、ダウンロード、ストリーミング関係なく紹介したいなと思っています。

駄文が続くと思いますが、生暖かい目で見守っていただければ幸いです。

さて、新年一発目の記事のおまけとして、昨年中に取り上げたかったけれども取り上げられなかった曲を1つ。

2016年に公開されたディズニー映画の一つ、実写版『ジャングル・ブック』 の主題歌。67年のアニメ版ではアカデミー賞の最優秀歌曲部門にもノミネートした、"The Bare Necessities"のリメイクです。

演奏はDr.ジョン&ナイト・トリッパーズ、プロデュースは彼が2014年にリリースした、ルイ・アームストロングのレパートリーをカヴァーしたトリビュート・アルバム、”Ske-Dat-De-Dat: The Spirit Of Satch”をプロデュースしている、テキサス出身のトロンボーン奏者、サラ・モロウによるもの。

映画では、熊のバルーが主人公の少年、モーグリに自分の生き方を語るシーンで使われている曲で、67年に発表されたオリジナル・ヴァージョンではバンジョーを軽快にかき鳴らす陽気なアップ・ナンバーでした。

今回のカヴァーでは、原曲のテンポを大幅に落とし、ホーン・セクションのアンサンブルをきっちりと聴かせるニューオーリンズ・ジャズに作り変えることで、原曲の明るい雰囲気は残しつつ、歌やメロディをしっかりと聴かせるアレンジに組み替えてます。

”Ske-Dat-De-Dat: The Spirit Of Satch”では手堅いアレンジが賛否を呼びましたが、今回は原曲が異ジャンルの作品だからか、彼らの手堅さが良い方向で発揮されていると思います。

最後に、今年もどうかよろしくお願いします。





 

The Dream – Love You To Death EP [2016 Roc Nation]

2000年代半ば、ニーヨが『In My Own Words』でブレイクして以来、これまでソングライターとして裏方で活躍していたミュージシャンが、自身の名義でも作品をリリースすることが珍しくなくなった。この中にはゴードン・チェンバースのように、ある程度の成功を収めた人もいれば、曲作りの才能には恵まれていても、シンガーとしては幸運に恵まれず、成功することができなかった人も数多くいた。

そんな中、ザ・ドリームことテリウス・ナッシュは、ソロ・シンガーとしても息の長い活動を続けるソングライターの一人。

作家としては、リアーナの”Umbrella”やマライア・キャリーの”Touch My Body”、ブリトニー・スピアーズの”Me Against The Music”など、多くのヒット曲を手掛けてきた一方で、自身の名義でも6枚のフル・アルバム(うち1枚はテリウス・ナッシュ名義)と1枚のEPをリリースしている。

キャピトルから2015年に発表されたEP『Crown』以来となる新作は、ジェイ・Zが率いるロック・ネイションからリリースされた5曲入りのミニ・アルバム。本作でもこれまでの作品と同様、ほぼすべての楽曲を自身の手で制作、プロデュースしており、作品のクオリティは極めて安定している。

アルバムのオープニングを飾る”Lemon Lean”では、過去の作品でもおなじみのラップとヴォーカルの中間のようなスタイルの歌を使ったミディアム・バラード。甘い歌声で語り掛けるように歌うドリームの姿と、弾き語り風のシンセサイザーをアクセントに使ったモダンなトラックが格好良い。続く”College Daze”では、静かに唸るようなベースの音色とシンセサイザーの伴奏をバックに、しみじみと歌うバラード。ファルセットを多用したサビの部分が、クリス・ブラウンやオマリオンの曲にも少し似ている。

また、外部のプロデューサーが制作にかかわっている”Rih-Flex”と”Madness”は、彼らの個性が発揮された、ドリームの曲としては新しいタイプの作品。

まず、ジェローム・ポッターやサミュエル・グリズマーが参加した”Rih-Flex”は、リアーナの”Umbrella”を思い起こさせる荘厳でダークなトラックに、ほとんどラップといっても差し支えない、しゃべるようなメロディが乗っかったミディアム・ナンバー。カニエ・ウエストの2016年作『The Life Of Pablo』に参加している面々だけあって、音色を絞り込みつつ、リスナーに強烈な印象を残すトラック作りのテクニックは、頭一つ抜けている。そして、モニカやボーイズ・II・メンなど、多くのR&Bアーティストを手掛けている、カルロス・マッキンニーやジェローム・ゴードン、テヴィン・ゴードンが参加した”Madness”は、こちらもカニエ・ウエストっぽい、少ない音数のトラックを使ったミディアム・ナンバー。ラップのような歌が、隙間だらけのトラックの上で響く光景が、寂しい雰囲気を醸し出している。

そして、アルバムの最後を飾る”Ferris Wheel”は、柔らかいシンセサイザーの音色と、強力なフィルターをかけた幻想的なトラックが、ラリー・レバンがプレイした80年代のハウス・ミュージックを彷彿させるアップ・ナンバー。オートチューンやトーク・ボックスでヴォーカルを加工する曲は珍しくないが、エフェクターを使って自分自身を素材にしてしまうのは斬新かもしれない。

2作連続の配信限定作品だが、各楽曲への力の入れ具合は過去の作品と変わらない。フルアルバムのリリースが楽しみだ。

Producer
Terius "The-Dream" Nash

Track List
1. Lemon Lean
2. College Daze
3. Rih-Flex
4. Madness
5. Ferris Wheel

 





Bobby Womack - Bravest Man in the Universe [2012 XL Recordings]

サム・クックに引き上げられて音楽業界に入り、ジャニス・ジョップリンやアレサ・フランクリンとも仕事をしてきたアメリカ音楽界の生き証人、ボビー・ウーマック。50年以上のキャリアを誇る彼にとって、21世紀最初のオリジナル作品であり、生前最後のスタジオ録音となった2012年のアルバムは、ブラーやゴリラズの中心人物であるデーモン・アルバーンとの競作。

両者の競演は、ゴリラズの3作目『Plastic Beach』に収められている”Stylo”でも行われているが、アルバム1枚分の共同作業となると今回が初めて。ブリティッシュ・ロックの枠に留まらず、ヒップホップやエレクトロなどを積極的に取り入れてきたデーモンと、流行のサウンドを取り入れつつも、ヴォーカル&ギターという昔ながらのスタイルにこだわってきたボビーが、どのような化学反応を起こすのか、とても気になるところだ。

で、肝心の中身だが、アルバムのオープニングを飾る”The Bravest Man In The Universe”では、地鳴りのような重低音が鳴り響くベース・ミュージックをトラックに採用している。前衛的な作風のロック・バンドではしばし用いられる演奏スタイルだが、ソウル・シンガーの楽曲で使われるのは非常に珍しい。この曲では、ボビーの空気を切り裂くような激しいバリトン・ヴォイスと、地響きのような重低音を正面からぶつけ、楽曲に緊迫感と荘厳な雰囲気を与えているのは面白い。

また、それ以外の曲に目を向けると、レディオ・ヘッドやフライング・ロータスを彷彿させる、「間」を効果的に使った伴奏と、若干20代(当時)のシンガー・ソングライター、ラナ・デル・レイの神秘的なヴォーカルをフィーチャーした”Dayglo Reflection”や、各楽器に強烈なエフェクトをかけて、ダブやサイケデリック・ロックとは異なるアプローチで、幻想的なサウンドを構築した”Whatever Happened To The Times”。洗練されたシンセサイザーの音色と、精密なビートからなるハウス・トラックの上で、熱いシャウトを張り上げみせる”Love Is Gonna Lift You Up”など、電子楽器を単なる生楽器の代替品に留めず、新しいサウンドやアレンジを生み出すツールとして積極的に活用した曲が目立つ。

だが、それと同時に、加齢による衰えこそ見えるものの、前衛的なトラックを目の前にしても動じることなく、若いころ変わらないパワフルなヴォーカルを愚直に響かせるボビーの存在が、楽曲にある種の懐かしさと普遍性を与えていると思う。

彼らの音楽を聴くと、どんなに時代が変わっても、歌手に求められるものは変わらないことを再認識させられる。ボビーのような「歌」で相手の心に何かを残してくれる歌手が、これからも増えてほしいと願うばかりだ。

Producer
Damon Albarn, Richard Russell

Track List
1. The Bravest Man In The Universe
2. Please Forgive My Heart
3. Deep River
4. Dayglo Reflection feat. Lana Del Rey
5. Whatever Happened To The Times
6. Stupid
7. If There Wasn't Something There
8. Love Is Gonna Lift You Up
9. Nothin' Can Save Ya feat. Fatoumata Diawara
10. Jubilee (Don't Let Nobody Turn You Around)





Bravest Man in the Universe
Bobby Womack
Xl Recordings
2012-06-12


 
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