フィリピン生まれ、オーストラリアのシドニー育ちのシンガー・ソングライター、グレン・ルマンタ。
2012年ごろから、SNSや動画投稿サイトに、フランク・オーシャンの”Super Rich Kids”やミュージックの”Half Crazy”、マックスウェルの”Pretty Wings”といった、男性R&Bシンガーによるヒット曲のカヴァーをアップロードする一方、ライブなども精力的に行ってきた。
そして、2016年には初のオリジナル曲となるシングル『What You Deserverd』を発表。翌年には本作にも収録されている『Silver』を発売。90年代のR&Bシンガーを思い起こさせる甘いメロディと柔らかい歌声で注目を集めた。そして、このアルバムは『In My Element』に続く彼の初のEPで、初のフィジカル・リリース作品でもある。
甘い歌声とロマンティックなトラックが印象的なイントロ”In My Element”に続く実質的な1曲目”Heart Strings”は”Half Crazy”を彷彿させる、。太く温かい音色の伴奏と滑らかな歌唱が魅力のミディアム・ナンバー。甘い歌声を活かして、悠々と歌うグレンの姿が耳に残るムーディーな楽曲だ。
一方、これに続く”Treat You Good (Your Mind)”は、ベイビーフェイスの”When I See You Again”を思い起こさせる、しっとりとしたメロディと甘酸っぱいヴォーカルが光るスロー・バラード。90年代のR&Bを連想させる、生楽器っぽい音色のシンセサイザーも当時の音楽の雰囲気を作るのに一役買っている。20代とは思えないR&Bへの造詣の深さと、高い歌唱力が堪能できる良曲だ。
そして、本作では希少なアップ・ナンバー”Know You Better”は、ジョンBの”Simple Melody”などを連想させる、洗練されたメロディとスマートな歌声が聴きどころ。他の曲とのバランスを考えたのか、ドラムの音圧を抑えているのは少し気になるが、耳元を駆け抜ける爽やかなヴォーカルは見逃せない存在だ。
また、キーボードとギターを軸にした伴奏に乗せて、一つ一つの言葉を丁寧に紡ぎ出す姿が印象的なミディアム・バラード”Imagination”は、ライブで演奏する姿が目に浮かぶ、生演奏っぽい伴奏が格好良い楽曲。多くの曲で使われているフィンガー・スナップが、切ない雰囲気を際立たせている。
だが、本作のクライマックスはアルバムの最後を飾る”Silver”だろう。本作に先駆けて配信限定でリリースされたされたこの曲は、ベイビーフェイスっぽい甘ずっぱいメロディと、ギターやキーボードを巧みに配置した、優しい雰囲気と繊細な音色が印象的な伴奏、恋人に語り掛けるように、優しく歌うグレンのヴォーカルが合わさった美しいミディアム・バラード。若き日のアッシャーの代表曲”Nice & Slow”や、テヴィン・キャンベルの”Can We Talk”にも通じる、爽やかな歌声とロマンティックなメロディの相乗効果が魅力的だ。
彼の楽曲を聴いて、真っ先に思い出したのはベイビーフェイスやトニー・リッチなどの90年代に一世を風靡した男性シンガー達の音楽。スマートで繊細な歌声と、それを活かすロマンティックなメロディ、そして絶妙なさじ加減でヴォーカルの良さを引き立てる伴奏が揃った音楽は、90年代に流行した美しいメロディのR&Bナンバーを彷彿させる。
自主制作の限られた環境で、使える機材を最大限駆使して、自分の持ち味である甘い歌声を活かした甘い雰囲気のR&Bを作り上げた才能は恐ろしい。90年代のブラック・ミュージックに慣れ親しんできた世代の人にこそ聴いてほしい、歌とメロディを思う存分堪能できる傑作だ。
Producer
Glenn Lumanta
Track List
1. In My Element (int.)
2. Heart Strings
3. Treat You Good (Your Mind)
4. Know You Better
5. Imagination
6. Silver
2012年ごろから、SNSや動画投稿サイトに、フランク・オーシャンの”Super Rich Kids”やミュージックの”Half Crazy”、マックスウェルの”Pretty Wings”といった、男性R&Bシンガーによるヒット曲のカヴァーをアップロードする一方、ライブなども精力的に行ってきた。
そして、2016年には初のオリジナル曲となるシングル『What You Deserverd』を発表。翌年には本作にも収録されている『Silver』を発売。90年代のR&Bシンガーを思い起こさせる甘いメロディと柔らかい歌声で注目を集めた。そして、このアルバムは『In My Element』に続く彼の初のEPで、初のフィジカル・リリース作品でもある。
甘い歌声とロマンティックなトラックが印象的なイントロ”In My Element”に続く実質的な1曲目”Heart Strings”は”Half Crazy”を彷彿させる、。太く温かい音色の伴奏と滑らかな歌唱が魅力のミディアム・ナンバー。甘い歌声を活かして、悠々と歌うグレンの姿が耳に残るムーディーな楽曲だ。
一方、これに続く”Treat You Good (Your Mind)”は、ベイビーフェイスの”When I See You Again”を思い起こさせる、しっとりとしたメロディと甘酸っぱいヴォーカルが光るスロー・バラード。90年代のR&Bを連想させる、生楽器っぽい音色のシンセサイザーも当時の音楽の雰囲気を作るのに一役買っている。20代とは思えないR&Bへの造詣の深さと、高い歌唱力が堪能できる良曲だ。
そして、本作では希少なアップ・ナンバー”Know You Better”は、ジョンBの”Simple Melody”などを連想させる、洗練されたメロディとスマートな歌声が聴きどころ。他の曲とのバランスを考えたのか、ドラムの音圧を抑えているのは少し気になるが、耳元を駆け抜ける爽やかなヴォーカルは見逃せない存在だ。
また、キーボードとギターを軸にした伴奏に乗せて、一つ一つの言葉を丁寧に紡ぎ出す姿が印象的なミディアム・バラード”Imagination”は、ライブで演奏する姿が目に浮かぶ、生演奏っぽい伴奏が格好良い楽曲。多くの曲で使われているフィンガー・スナップが、切ない雰囲気を際立たせている。
だが、本作のクライマックスはアルバムの最後を飾る”Silver”だろう。本作に先駆けて配信限定でリリースされたされたこの曲は、ベイビーフェイスっぽい甘ずっぱいメロディと、ギターやキーボードを巧みに配置した、優しい雰囲気と繊細な音色が印象的な伴奏、恋人に語り掛けるように、優しく歌うグレンのヴォーカルが合わさった美しいミディアム・バラード。若き日のアッシャーの代表曲”Nice & Slow”や、テヴィン・キャンベルの”Can We Talk”にも通じる、爽やかな歌声とロマンティックなメロディの相乗効果が魅力的だ。
彼の楽曲を聴いて、真っ先に思い出したのはベイビーフェイスやトニー・リッチなどの90年代に一世を風靡した男性シンガー達の音楽。スマートで繊細な歌声と、それを活かすロマンティックなメロディ、そして絶妙なさじ加減でヴォーカルの良さを引き立てる伴奏が揃った音楽は、90年代に流行した美しいメロディのR&Bナンバーを彷彿させる。
自主制作の限られた環境で、使える機材を最大限駆使して、自分の持ち味である甘い歌声を活かした甘い雰囲気のR&Bを作り上げた才能は恐ろしい。90年代のブラック・ミュージックに慣れ親しんできた世代の人にこそ聴いてほしい、歌とメロディを思う存分堪能できる傑作だ。
Producer
Glenn Lumanta
Track List
1. In My Element (int.)
2. Heart Strings
3. Treat You Good (Your Mind)
4. Know You Better
5. Imagination
6. Silver