ジャマイカ系の母とトリニダード系の父の間に生まれ、10代の頃から音楽活動を行っていた、オンタリオ州ミンサガ出身のシンガー・ソングライター、パーティネクストドアことジャーロン・アンソニー・ブラストウェイト。

インターネット上に公開した自作曲やミックステープが高い評価を受け、彼と同じカナダ出身の人気ミュージシャン、ドレイクが率いるOVOと契約。同レーベルの作品を配給しているワーナーからのメジャー・デビューを果たした。

OVOと契約した後は、2016年までに2枚のフル・アルバムと2枚のEPをリリース。それ以外にも多くの曲にフィーチャリング・アーティストやソングライターとして参加してきた。なかでも、2016年に発売した2枚目のアルバム『PartyNextDoor 3』は、アメリカとイギリスのR&Bチャートを制覇(アメリカではヒップホップチャートでも1位)。同作からシングル・カットされた”Come and See Me”はグラミー賞やビルボード・ミュージック・アワードにもノミネートするなど、破竹の勢いで音楽業界の頂点へと昇り詰めていった。

今回のEPは、自身の名義では『PartyNextDoor 3』以来、約1年ぶりとなる新作。もっとも、今年に入ってからも、元ワン・ダイレクションのゼインのシングル”Still Got Time”や、ドレイクのアルバム『More Life』に収録されている”Since Way Back”に客演し、ビヨンセとジェイZをフィーチャーしたDJキャレドのシングル”Shining”にソングライターとして参加するなど、精力的に活動していた彼だけに、予想以上に短い間隔で作られた印象すらある。

プロデュースは、彼とG.ライを中心に、前作にも携わっているニーンヨや40、ドレイクの『More Life』にも起用されたウォリス・レインやマージなどが参加。OVOとゆかりの深い面々が揃った、小粒だが味わい深い作品になっている。

アルバムの1曲目に収められている”Peace of Mind”は、ジャーロンとG.ライに加え、オズが制作に参加。チキチキというビートに、幻想的なシンセサイザーの上物が加わったトラックが、不思議な雰囲気を醸し出しているミディアム・ナンバーだ。ジャーロンは歌に専念しているものの、まるでミュージカルのように歌と言葉を使い分け、ラップとは違った形で、楽曲に起伏をつけている。ディアンジェロの抽象的なソウル・ミュージックと、マックスウェルの滑らかなメロディ、ドレイクのキャッチーで斬新なヒップホップが融合した面白い曲だ。

続く”Freak In You”は、ニーンヨやトップ・フレアなどが制作に携わった曲。オルゴールのような音色など、ロマンティックな音を詰め込んだトラックと、ジョデシーの”Come And Talk To Me”など、色々なR&Bのヒット曲からフレーズを引用しながら、落ち着いたメロディでじっくりと歌を聴かせる姿が印象的。サビ以外の部分のメロディを、ラップのように崩して歌うことで、ヴォーカルの表現の幅を広げている。ドゥー・ヒルやジャギド・エッジのような、90年代に多くの足跡を残したR&Bシンガー達のスタイルを取り入れながら、しっかりと2017年の自分の音楽に落とし込んでいる佳曲だ。

そして、トップ・フレアとマージが携わっている”Low Battery”は、ドレイクの”Passionfluit”を思い起こさせる、ハウス・ミュージックのビートを使ったアップ・ナンバー。”Passionfluit”は色々な音色を使い分け、カリプソなどを連想させる陽気で華やかな作品に纏め上げていたが、こちらは引き締まった低音と、しなやかなメロディが印象的な、洗練された雰囲気の曲。シンプルなトラックで彼の歌声を引き立てる手法が格好良い。多彩なビートに対応しつつ、きっちりと自分の曲に落とし込む制作技術が光っている。

そして、アルバムの最後を飾る”Rendezvous”は、『More Life』で”Nothings Into Somethings”を担当したウィリス・レーンとの共作。この曲も”Nothings Into Somethings”同様、スローテンポの曲で、歌い手のセクシーな一面を引き出す、艶めかしいメロディが特徴的。声域の幅が広く、声も太いだけでなく、ファルセットを多用したメロディからラップまでこなせる器用さを兼ね備えた彼との相性は抜群で、要所要所で色っぽいヴォーカルを聴かせながら、ラップや地声でしっかりと曲を引き締めている。

今回のアルバムは、前作の路線を踏襲した、音数の少ないトラックと、所々にラップを挟み込んで、滑らかな歌を際立たせたメロディが印象的なものだ。そのスタイルは、直近の客演仕事やソングライターとして携わった作品とは異なるものだが、ヴォーカルとして恵まれた声と技術を持ち、ラップもこなせる彼にとっては、本作のような曲が最適だと思う。また、前作と比べると、メロディが流麗でしなやかになっている。このように、自分の持ち味を生かしつつ、それにあった曲を作る技術に磨きをかけたところが、本作の面白いところだろう。

曲作りから歌やラップまで、なんでもこなせるパーティネクストドアの、更なる成長を感じさせる作品。レーベルのボス、ドレイクと並んでカナダを代表するミュージシャンになる日も近いと感じさせる。魅力的なR&B作品だ。

Producer
PARTYNEXTDOOR, G. Ry, OZ, Neenyo, 40, Top FLR, M3rge, Wallis Lane

Track List
1. Peace of Mind
2. Freak In You
3. Low Battery
4. Rendezvous






COLOURS 2 [Explicit]
OVO Sound/Warner Bros.
2017-06-03