ハイチ共和国のクロワ・デ・ブーケ生まれ、ニューヨーク育ちのラッパー、ワイクリフ・ジョン。

80年代からヒップホップ・グループ、トランスレイター・クルーとして活動し、93年にコロンビアと契約。フージーズに改名すると、96年に発表した2枚目のアルバム『The Score』が全世界で1000万枚以上を売り上げる大ヒット。90年代を代表するヒップホップ・グループとなる。

その後、97年にグループが活動を休止すると、『 Wyclef Jean Presents the Carnival Featuring the Refugee All-Stars (generally called The Carnival)』でソロに転向。以後、2016年までに通算7枚のアルバムをリリース。2010年にはハイチの大統領選挙にも出馬を試みている(在留期間の関係で立候補は受理されず)。

今回のアルバムは、2010年の『If I Were President: My Haitian Experience』以来、約8年ぶりとなる新作。マデリン・ネルソンを中心に複数のプロデューサーを起用し、これまでの作品同様、ヒップホップやR&B、レゲエやカリブ海の音楽を混ぜ合わせた、バラエティ豊かな音楽になっている。

本作のオープニングを飾る”The Ring”は、フージーズの”Fu-Gee-La”を思い起こさせる、泥臭いビートと、歌うようなラップが印象的なミディアム・ナンバー。コーラスを効果的に使った荘厳な伴奏が心地よい曲だ。

これに対し、ヤング・サグを招いた”I Swear”は、シンセサイザーを多用した伴奏が心地よいアップ・ナンバー。カリプソの要素を取り入れたトラックは、ウィズキッドの作品にも少し似ている。しなやかなトラックをバックに、流麗な歌を響かせるワイクリフにも注目してほしい。

また、”Lady Haiti”は、色鮮やかな音色の伴奏が心地よいアップ・ナンバー。作風としては”I Swear”に近いが、こちらの曲は低音を抑え気味にして、パーカッションの華やかな雰囲気と軽快さを強調している。肩の力を抜いて、軽やかに歌うワイクリフの安定したパフォーマンスも見逃せないか曲だ。

そして、本作に先駆けて発表された”Hendrix”は、荒々しいギターの音色がサンタナを彷彿させる曲。 しゃがれたワイクリフの歌声が、哀愁を帯びた楽曲の魅力を引き出している面白い曲だ。

前作から長いブランクがあったものの、彼の作風は大きく変わることなく、ソウル、R&B、ヒップホップ、レゲエ、カリブ海音楽などを巧みに引用した、独創的な作品に落とし込んでいる。それにとどまらず、シンセサイザーを駆使したカラフルなトラックを用意することで、ムーンバートンなどの新しい音楽をしっかりと拾い上げているようにも見える。

ハイチとアメリカの2国を代表するミュージシャンとして、確固たる地位を築き上げた彼らしい、

Producer
Wyclef Jean, Madeline Nelson, John "Jube" Altino etc

Track List
1. The Ring
2. I Swear feat. Young Thug
3. Rear View
4. Holding On The Edge feat. Walk the Moon
5. Little Things feat.T-Baby and Allyson Casado
6. Lady Haiti
7. Party Started feat. Farina and Nutron
8. Hendrix
9. Life Matters
10. If I Was President 2016





J'ouvert
Wyclef Jean
Ent. One Music
2017-02-03