ブラック・ミュージック千本ノック~SoulとR&Bと色々な音楽~

管理人が手に入れたR&Bのアルバム、1000枚の紹介文を書き続けるブログ その先に見えるものは天国か地獄か・・・

2016年11月

BADBADNOTGOOD – IV [2016_Innovative Leisure Records]

2012年に動画投稿サイトで公開された、オッド・フューチャーのインスト・カヴァーが音楽ファンの注目を集めた、トロント出身の4人組ジャズ・バンドによる5枚目のオリジナル・アルバム。

2014年にロスアンジェルスのレーベルと契約を結ぶや否や、2015年には、ウータン・クランのゴーストフェイス・キラーとのコラボレーション・アルバムを発表し、本作からはサックス奏者のリーランド・ウッディが正式に加入するなど、次々と新しい手を繰り出してくる彼ら。このアルバムでは、新メンバーが加わったことで豊かになった音色を活かし、前作以上にバラエティ豊かな音楽を聴かせている。

アルバムに先駆けて「フロッピー・ディスク」で発表されたアップ・ナンバー”Up”では、ビズ・マーキーの影響をうかがわせる軽快なブレイク・ビーツと、RZAを彷彿させるロマンティックなメロディを混ぜ合わせた、妖艶でキャッチーなグルーヴを披露。また、フューチャー・アイランドのフロントマン、サミュエル・ヘリングがマイクを握ったミディアム”Time Moves Slow”では、アイザック・ヘイズ・ムーブメントを思い起こさせる粘っこい演奏で、サミュエルの粗削りな歌声を70年代のドロドロとしたサザン・ソウルと融合して、往年のソウル・ミュージックのサウンドを、現代的で爽やかな雰囲気に作り変えている。

その一方で、ビヨークを思い出させる幻想的な歌声が魅力のシンガー、シャルロット・デイ・ウィルソンをフィーチャーしたミディアム”In Your Eyes”では、しっとりとしたメロディにストリングスやヴィブラフォンの音色を盛り込み、ジャニス・ジョップリンを連想させる、黒人音楽のエッセンスを取り込んだポップスを演出している。このように、黒人音楽から多くの影響を受けつつ、それをロックやポップスに還元する技術も持ち合わせるなど、柔軟な発想とそれを裏打ちする技術を兼ね備えている。

ジャズやヒップホップ、ファンクやソウル・ミュージックをベースにしながら、そこに囚われない視野と人脈の広さで、インストゥメンタル・バンドの可能性を押し広げた佳作。今度は誰とどんな化学反応を起こすのか、次のアクションが楽しみになる期待の成長株だ。

Track List
1. And That, Too.
2. Speaking Gently
3. Time Moves Slow (Feat. Sam Herring)
4. Confessions Pt II (Feat. Colin Stetson)
5. Lavender (Feat. Kaytranada)
6. Chompy's Paradise
7. IV
8. Hyssop of Love (Feat. Mick Jenkins)
9. Structure No. 3
10. In Your Eyes (Feat. Charlotte Day Wilson)
11. Cashmere
12. Up (Bonus Track)

Producer
BADBADNOTGOOD





IV [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRIL2034)
BADBADNOTGOOD
BEAT RECORDS / INNOVATIVE LEISURE
2016-07-08

Lee Fields – Special Night [2016_Big Crown Records]

79年の『Let’s Talk It Over』でソウル・ファンの注目を集めたあと、長い苦労の時代を経て、2002年の『Problems』で再ブレイクを果たしたノース・カロライナ出身のシンガー、リー・フィールズ。彼にとって2014年の『Emma Jean』以来、2年ぶりとなるオリジナル・アルバム。

御年65歳ながら、ジェイムズ・ブラウンを彷彿させるヴォーカルは衰え知らず。豊かな声を棍棒のように振り回し、喜怒哀楽を全身で表現する姿は70年代から全く変わっていない。しかし、今回のアルバムは、彼を支えるバンド・メンバーの成長によって、これまでとは一味違う作品になっている。

彼の音楽を演奏で支えてきたザ・エクスプレッションズは、今までもシャロン・ジョーンズやエイミー・ワインハウスのアルバムで、絶妙なグルーヴと豊かな表現力を発揮してきたメンバーを擁する実力派バンド。そんな彼らは、近年、レディ・ガガやノラ・ジョーンズといった、様々なジャンルのトップ・アーティストの作品に携わり、ディズニー映画『ジャングル・ブック』の音楽を手掛けるなど、活躍の舞台をさらに広げている。本作では、そんな彼らの経験を反映した、幅広い音楽性と各人の際立った個人技が、主役の歌の魅力をこれまで以上に引き出している。

リー・フィールズのパンチが効いた歌声が光るミディアム・バラード”Precious Love”では、気怠い雰囲気のホーン・セクションで、ロマンティックなムードを出しつつ、一音一音の粒が立ったキーボードで、楽曲にメリハリを効かせてくれる。また、オープニングを飾る”Special Night”では、ジミー・スミスばりに荒々しい演奏を聴かせるオルガンが、泣き崩れるようなヴォーカルと絡み合い、まるでデュエットのようにお互いを引き立てている。それ以外にも、他のメンバーは、楽器の音色で自分の個性をアピールしつつ、バンドとして一つの楽曲を下支えしており、バンド全体では、これまで以上に大胆な表現を披露している。

70年代から活躍するベテラン・シンガーと、10年代に入ってますます目覚ましい活躍を見せる中堅バンド。親子ほどの年齢差がある両者は、お互いに刺戟し合い、前作以上に豊かな表現を見せてくれた。年を重ねて円熟味を増したシンガーと、幅広い音楽を飲み込んだバンドの競演は、ソウルもロックもブルースも取り込んでいた、往年のソウル・ミュージシャンに通じるものがある。

Track List
1. Special Night
2. I’m Coming Home
3. Work To Do
4. Never Be Another You
5. Lover Man
6. Make The World
7. Let Him In
8. How I Like It
9. Where Is The Love
10. Precious Love

Producer
Thomas Brenneck



SPECIAL NIGHT
LEE & THE EX FIELDS
BI CR
2016-11-11

Miles Davis & Robert Glasper ‎– Everything's Beautiful [2016_Columbia,Blue Note]

ジャズの世界に、ヒップホップやR&Bの要素を取り込んだ、『Black Radio』シリーズが大成功。一躍21世紀を代表するミュージシャンに上り詰めた、ヒューストン出身のピアニスト、ロバート・グラスパーによる通算5枚目となるオリジナル・アルバム。

今回の作品はアーティスト名が示す通り、所属レーベルの大先輩であり、ジャズ界を代表する巨人、マイルス・デイヴィスとのコラボレーション・アルバム。といっても、マイルスは既に故人なので、本作では彼が残した膨大な録音を再構成し、現代のミュージシャンの演奏と組み合わせた、仮想セッションの形を取っている。

本作を聴いて最初に驚くのは、空気を切り裂くようなマイルスの鋭い演奏が、大胆に解体されていることだろう。もっとも、70年代以降のマイルスは膨大な演奏を録音し、それをプロデューサーのテオ・マセロが編集することで一つの作品に仕上げていたので、彼が21世紀まで生きていたら、このようなスタイルを積極的に受け入れていたかもしれない。

74年の『Get Up With It』に収められている”Maiysha”に、エリカ・バドゥが歌詞をつけた”Maiysha (So Long)”では、ダブを連想させる幻想的な響きを醸し出した原曲に対し、音と音の隙間を意識した立体的なアレンジと、彼女の気怠い雰囲気のヴォーカルで、『Kind Of Blue』に収録されマイルスの代表曲”So What”を彷彿させるモーダルな演奏にリメイク。1958年にリリースされた『Milestones』のタイトル曲をジョージ・アン・マルドロウと再構築した”Milestones”では、原曲の有名なフレーズを、SF映画の効果音のようなシンセサイザー音で演奏しつつ、強く歪ませたギターや、エフェクターで響きを増した声を加えて、フライング・ロータスやマッドリブにも通じる、抽象性の高いインストルメンタル・ヒップホップに生まれ変わらせている。

このように、本作では原曲の音色やメロディを取り込みつつ、それを分解、再構成して、新しい解釈を加えた曲が目立つ。

その一方で、”Right On Brotha”のように、マイルスの演奏をそのままの形で残しつつ、DJスピナによるハウスのビートや、スティービー・ワンダーのブルース・ハープを絡ませることで、マイルスが現代のミュージシャンとセッションをしているように思わせる曲もあるなど、色々なスタイルを使い分けた、彼らしい作品に仕上がっている。

メロディやアレンジを大胆に改編しながら、マイルスの音の出し方や間の取り方、新しい音へ挑戦し続ける姿勢を忠実に踏襲した点は、コラボレーションと呼ぶにふさわしい。彼が現代に蘇って、現代のヒップホップやR&Bと出会ったら、こんな曲を作るだろうな思わせる内容だ。

Producer
Robert Glasper

Track List
1. Talking Shit
2. Ghetto Walkin” featuring Bilal
3. They Can’t Hold Me Down” featuring Illa J
4. Maiysha (So Long)” featuring Erykah Badu
5. Violets” featuring Phonte
6. Little Church” featuring Hiatus Kaiyote
7. Silence Is The Way” featuring Laura Mvula
8. Song For Selim” featuring KING
9. Milestones” featuring Georgia Ann Muldrow
10. I’m Leaving You” featuring John Scofield and Ledisi
11. Right On Brotha” featuring Stevie Wonder




Everything's Beautiful
Miles Davis
Sony Legacy
2016-05-27


記事検索
タグ絞り込み検索
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

アクセスカウンター


    にほんブログ村 音楽ブログへ
    にほんブログ村
    にほんブログ村 音楽ブログ ブラックミュージックへ
    にほんブログ村

    音楽ランキングへ

    ソウル・R&Bランキングへ
    LINE読者登録QRコード
    LINE読者登録QRコード
    メッセージ

    名前
    メール
    本文
    • ライブドアブログ