melOnの音楽四方山話

オーサーが日々聴いている色々な音楽を紹介していくブログ。本人の気力が続くまで続ける。

2016年11月

Sharon Jones & The Dap Kings – Miss Sharon Jones!(Original Motion Picture Soundtrack) [2016_Daptone]

2013年に膵癌を公表して以来、病と闘いながらステージに立ち続けていたシャロン・ジョーンズ。このアルバムは、そんな彼女の活動を追いかけた、ドキュメンタリー映画のサウンドトラックとして発表された。

もっとも、本作はサウンドトラックと銘打っているものの、その中身は、これまでに彼女が発表してきた楽曲から選りすぐった編集盤。この中には、2007年に発売された『100 Days, 100 Nights』から、2014年に発表された『Give The People What They Want』までの、3枚のオリジナル・アルバムに収められた楽曲と、2011年にリリースされた編集盤『Soul Time!』で初めてCD化された、レコード限定で発表された楽曲から選び抜かれた16曲(2枚組のアナログ盤は19曲)が収録されている。

このアルバムを聴いて強く感じるのは、彼女達の一本筋が通った音楽性と、それを実現する高い技術力。本作のオープニングを飾る、『100 Days, 100 Nights』が初出のアップ・ナンバー”Tell Me”で見せる、シュープリームスを彷彿させる打楽器の音色を効果的に使った明るいダンス・サウンドから、2004年に7インチ・レコードのみで発表されたバラード”Longer & Stronger”で楽しめる、エタ・ジェイムスを彷彿させる迫力のある歌声と緊張感あふれる演奏。グラミー賞のベストR&Bアルバム部門にもノミネートした『Give The People What They Want』の収録曲、”Stranger To My Happiness”で見せる、レイ・チャールズとレイレッツのようなヴォーカルとコーラスの絶妙な掛け合いまで、彼女らの音楽の根底には、モータウンやスタックスのソウル・ミュージックや、ジェイムズ・ブラウンのファンクに代表される、往年のブラック・ミュージックから受けた影響が流れている。そして、デビュー以降、ヒップホップのように一つのフレーズを繰り返し演奏したり、ジャズで使われるような変拍子を取り入れたりしながら、先人とは違う自分達の音楽を作り上げていたように思う。

だが、彼女らの最大の魅力といえば、何よりもシャロン嬢の歌声だ。アレサ・フランクリンやエタ・ジェイムスの系譜に立つ豊かな声量と、アップテンポの曲が多いバンドのレパートリーの中でも、強烈なシャウトやファルセットを正確に放つ技術は、長い黒人音楽の歴史でも屈指のものだろう。

残念なことに、本作はシャロン嬢にとって生前最後のリリースになってしまった。しかし、このアルバムは彼女が残した足跡とその魅力を知る、最良の1枚になったと思う。このアルバムを通して、シャロン・ジョーンズという素晴らしいシンガーと彼女を支えてきた一流のバンドがいたことを、心の中に刻んでほしい。

Producer
Bosco Mann

Track List
1. Tell Me
2. Retreat!
3. Genuine Pt.1
4. Longer and Stronger
5. If You Call
6. 100 Days, 100 Nights
7. People Don't Get What They Deserve
8. Humble Me
9. I'll Still Be True
10. Let Them Knock
11. Stranger to My Happiness
12. Keep on Looking
13. Mama Don't Like My Man
14. I Learned the Hard Way
15. Slow Down, Love
16. I'm Still Here

 





Miss Sharon Jones!
Sharon Jones & The Dap-Kings
Daptone
2016-08-28



SWV - Still [2016_eOneMusic]

90年代には、”Right Here”や”Weak”などのヒット曲で、歴史にその名を刻んできた3人組ガールズ・グループ、SWVが2016年にリリースした、5枚目のオリジナル・アルバム。

2012年に発売された、彼女達にとって再結成後初めてのフル・アルバム『I Missed You』では、ケイシア・コールの”Let It Go”やジャズミン・サリヴァンの”Need U Bad”などをヒットさせたCainon Lambをプロデューサーに迎え、90年代のR&Bを彷彿させる親しみやすいメロディと、2000年以降の楽曲制作では欠かせない存在になったシンセサイザーの鋭いサウンドを巧みに融合して、往年のR&Bファンの期待に応えつつ、懐古趣味では終わらせない、21世紀のR&B像を提示してくれた。

4年ぶりとなる本作では、ケイノン・ラムに加え、新たにヒップホップのプロデューサーとして活躍しているビッグ・Dが制作を担当。前作の路線を踏襲しつつ、流行も適度に取り入れた2016年のSWVを披露している。

アルバムに先駆けて発表された”Ain’t No Man”は、しっとりとしたメロディを、可愛らしいコーラスと、ジャーメイン・デュプリの影響を伺わせる打ち込みのビートでポップに聴かせるミディアム・バラード。また、もう一つの先行リリース曲”MCE(Man Crush Everyday)”は、”Weak”と”Use Your Heart”を混ぜた合わせたような、切ないメロディと気怠い雰囲気が合わさったスロー・バラードを聴かせてくれる。どちらの曲も、彼女らの持ち味である口ずさみやすいメロディを大切にしつつ、新しいサウンドを確実に取り入れた、良質なR&Bだ。

また、それ以外の収録曲では、”Right Here”や”I’m So Into You”を意識したフレーズが飛び出すタイトル曲”Still”や、”Anything”の2016年版といった趣のミディアム”Love Song”ような曲がある一方、パトリス・ラッシェンの”Never Gonna Give You Up”をサンプリングした、四つ打ちのダンス・ナンバー”On Night”や、ハロルド・メルビン&ブルー・ノーツの”I Miss You”をサンプリングした爽やかなバラード”Miss You”など、マーク・ロンソンの”Uptown Funk”以降、再び盛り上がっているディスコ・ミュージックや往年のソウル・ミュージックを取り入れた曲が登場している。

90年代のキャッチーなメロディを大切にしながら、流行のサウンドを積極的に取り入れた本作は、往年のR&Bファンを納得させつつ、新しい世代に彼女達や90年代R&Bの魅力を伝える橋渡し役になりそうだ。


Track List
1. Still
2. MCE (Man Crush Everyday)
3. On Tonight
4. Let's make music
5. Ain't No Man
6. Love Song
7. When Love Didn't Hurt
8. Miss You
9. Leaving You Alone
10. What We Gonna Do





スティル
SWV
ビクターエンタテインメント
2016-02-10


はじめに

突然ですが、今日からブログをはじめました。

FaceBookやTwitter全盛期が交流の中心になって、
色々な分野の情報がWikiに集積されている中で、
なんで今さらブログなんだと思うこともありましたが、
色々と比較した結果、ブログがベストだと判断しました。

このブログを立ち上げたきっかけは、自分が好きな音楽。
特に最近の新録R&Bやヒップホップ、ソウル、ジャズなどの情報を取り上げる
日本語の媒体が少なくなっていると思ったからです。

音楽情報の主役が紙からインターネットに移って、
世間の多数派を視野に入れたものと、
極少数のマニアを対象にしたメディアに二極化していく中、
そのどちらでもない存在。 
初心者にはわかりやすく、マニアにも得るものがある
文章を提供したいなと思って始めました。

まあ、いつまで続けられるかわかりませんが。
最後までお付き合いください。
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