ブラック・ミュージック千本ノック~SoulとR&Bと色々な音楽~

管理人が手に入れたR&Bのアルバム、1000枚の紹介文を書き続けるブログ その先に見えるものは天国か地獄か・・・

2017年09月

Stokley - Introducing Stokley [2017 Concord]

1991年に、同じミネソタ州出身の人気プロダクション・チーム、ジャム&ルイスが経営するパースペクティブ・レコードからリリースしたアルバム『Meant to Be Mint』でメジャー・デビュー。以後、ニュー・ジャック・スウィングからネオ・ソウル、ロックやジャズまで、様々なスタイルを吸収しながら、多くのファンを魅了してきたセント・ポール出身のソウル・バンド、ミント・コンディション。

メンバーの入れ替わりやレーベルの移籍を繰り返しながら、2016年までに9枚のオリジナル・アルバムと多くのシングルを発表。多くの作品が全米R&Bチャートに登場する人気バンドとなった。

ストークリー・ウィリアムスは結成から30年以上、バンドのリード・ヴォーカルを務めてきた、グループの核ともいえる人物。ヴォーカル以外にもドラムやパーカッション、キーボードなど、複数の楽器を使いこなし、演奏者やソングライター、プロデューサーとして、アッシャーやジャネット・ジャクソン、プリンスなど、多くの人気ミュージシャンの作品に携わってきた。

今回のアルバムは、そんな彼にとって初のソロ・アルバム。エスペランザ・スポルディングやタジ・マハルなど、通好みのミュージシャンの作品を数多く配給してきたコンコードからのリリースだ。全ての楽曲で彼自身が制作とプロデュースを担当し、彼以外にもフェイス・エヴァンスなどの作品を手掛けてきたカルヴィン・ハギンスや、ミュージックレディシの作品に携わってきたイヴァン・バリアスがソングライターやプロデューサーとして起用。ロバート・グラスパーやエステール、ウェイルといった人気ミュージシャンがゲストとして招かれた、豪華な作品になっている。

アルバムの1曲目は、本作に先駆けて公開された”Level”。ロス・アンジェルスを拠点に活動するプロダクション・チーム、A-チームと共作したスロー・ナンバーだ。ヒップホップの軽やかなビートと、力強い歌声を引き立てるシンプルだけど味わい深いメロディ、緩急をつけながらじっくりと歌うストークリーのヴォーカルが一体化した良質なバラードは、ラップのような歌い方を取り入れた曲が流行する中で、メロディを丁寧に聴かせるヴォーカル曲はある意味珍しい。

また、グラミー賞のR&B部門で受賞経験もあるジャズ・ピアニスト、ロバート・グラスパーが参加した”Art In Motion”は、カルヴィン・ハギンスとイヴァン・バリースがペンを執ったスロー・ナンバー。そよ風のような柔らかくて優しいメロディが心地よい作品だ。美しいメロディを引き立てるロバート・グラスパーの艶っぽいピアノの演奏と、ストークリーのセクシーなヴォーカルが曲の魅力を引き出している。

また、エステールとのデュエット曲”U & I”は、カルヴィン・ハギンスとイヴァン・バリースが制作に携わっている、しっとりとした雰囲気のミディアム・ナンバー。長い間、音楽業界の一線で活躍している両者だが、コラボレーションは今回が初めてだ。デビュー当時のメアリーJ.ブライジを思い起こさせる、古いレコードから抜き出したような温かい音色のビートをバックに、モニカを彷彿させる甘く切ない歌声を披露するエステールの存在が光る作品。エステールのみずみずしいヴォーカルと、ストークリーの包み込むような大人の色気の組み合わせも魅力的だ。

そして、本作の最後を飾るのは、ジャマイカのクラレンドン教区出身のシンガー、オミを招いた”Wheels Up”だ。ケヴィン・リトルを連想させる爽やかで軽妙なヴォーカルが魅力のオミと、ベテランらしい老練な歌唱が素敵なストークリーのコンビネーションが格好良いアップ・ナンバーだ。スティール・パンなどの音色を取り入れた、カリプソっぽい明るく楽しい雰囲気の伴奏が気持ち良い。20年以上の長い間、色々なスタイルに取り組んできたストークリーだが、中南米の音楽との相性の良さは予想外だった。

初のソロ作品となる今回のアルバムでは、ミント・コンディションを彷彿させる、一つ一つの楽器の出音にまで気を配った、丁寧な作りのスロー・ナンバーやミディアム・ナンバーを中心に、グループの作品では使いにくい音色やアレンジも取り入れた良作になっている。スティール・パンやサンプリング風の音色、ジャズなどのエッセンスを吸収することで、グループで築き上げたストークリーのイメージを残しつつ、自分のスタイルを確立しているあたりは、色々なアーティストと仕事をしてきた彼らしさが発揮されていると思う。

演奏と歌唱で多くのファンを魅了していたミント・コンディションの良さを残しつつ、グループ名義の作品とは一味違うアプローチを聴かせてくれる面白い作品。流行の音楽には抵抗があるけど、新しい音には興味のある、好奇心旺盛な大人にお勧めの、安定感と新鮮さが魅力の佳作だ。

Producer
Stokley Williams, Carvin "Ransum" Haggins, Johnnie "Smurf" Smith, Ivan "Orthodox" Barias, Sam Dew

Track List
1. Level
2. Organic
3. Think About U
4. Cross The Line
5. Art In Motion feat. Robert Glasper
6. Hold My Breath
7. Victoria
8. U & I feat. Estelle
9. Way Up feat. Wale
10. Be With U
11. Forecast
12. Victoria (reprise)
13. We/ Me
14. Now
15. Wheels Up feat. Omi






Introducing Stokley
Stokley
Concord Records
2017-06-23

Ledisi - Let Love Rule [2017 Verve]

2000年に自身のレーベル、ル・サンからリリースした1枚目のアルバム『Soulsinger』が、ソウルフルな歌声とロマンティックなメロディが光る佳作として評判になり、インディー・レーベル発の作品ながら、音楽ファンの間でも注目を集め、各国のレコード・ストアで目立つ位置に陳列された、ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のシンガー・ソングライター、レディシことレディシ・アニベド・ヤング。

実は彼女、ジャズ・ミュージシャンのラリー・サンダースを父に持ち、祖父は伝説のブルース・シンガー、ジョニー・エース。それ以外にも、ミュージシャンとして活動している親戚が何人もいるという音楽家一族の出身。そんな彼女は、8歳の頃から地元のジャズ・バンドでヴォーカルを担当し、大学を卒業した後は西海岸を拠点にミュージシャンとして活動していたという。

2007年にジャズの名門レーベル、ヴァーヴと契約し彼女は、2016年までに5枚のアルバムを制作。全ての作品をアルバム・チャートの上位に送り込み、グラミー賞を含む多くの音楽賞にノミネートするなど、歌唱力をウリにした通好みのシンガーでありながら、商業的にも一定の成果を収め続ける本格派のミュージシャンとして活躍してきた。

今回のアルバムは、前作『The Truth』以来、実に3年ぶりとなる通算8枚目のオリジナル・アルバム。前作に引き続き、レックス・ライドアウトがプロデュースを担当。ほぼ全ての曲で彼女自身がペンを執り、カーク・フランクリンやDJカリルといった個性的なプロデューサーを起用し、ゲスト・ミュージシャンとしてBJザ・シカゴ・キッドジョン・レジェンドといった人気ミュージシャンが参加した力作になっている。

本作の収録曲で最初に気になったのは、彼女自身がプロデュースしたミディアム・ナンバー”Add To Me”だ。ダイナミックなベース・ラインと躍動感のあるビートの上で、軽やかなストリングスの演奏が響き渡るミディアム・ナンバー。一度聴いたら忘れない、キャッチーなフレーズを繰り返し鳴らすスタイルは、ヒップホップのビートにも似ている。力強い歌声を器用に扱う姿は、”Be Happy”や”I’m Going Down”などで、ソウル・ミュージックのフレーズを引用した複雑なトラックを巧みに乗りこなした、メアリーJ.ブライジを彷彿させる。

しかし、彼女の魅力は何といっても”歌”にスポットを当てたバラードだろう。そういう意味では、レックス・ライドアウトに加え、ストーンズ・スロウから4枚のアルバムを出しているバンド、ステップキッズのジェフ・ギテルマンが制作に参加した”Here”は、彼女のヴォーカルを思う存分堪能できる良曲だ。ストリングスとキーボードを駆使したしなやかな伴奏をバックに、美しい歌声をじっくりと聴かせているミディアム・バラード。力強い歌声が魅力の彼女だが、この曲でも流麗なメロディを丁寧に乗りこなしつつ、随所でパワフルな歌唱を披露している。

また、ゲスト・ヴォーカルを招いた作品では、2016年のアルバム『In My Mind』も記憶に新しいBJザ・シカゴ・キッドが参加した”Us 4ever”が面白い。70年代のソウル・ミュージックを思い起こさせる、温かい音色のギターが印象的な伴奏をバックに、しっとりと歌う二人の姿が印象的なスロー・ナンバーだ。ジャズの経験が豊富なレディシにヒップホップの影響が色濃いBJと、声質も音楽性も大きく異なる二人だが、この曲は両者に共通するルーツであるソウル・ミュージックの要素を強調することで、二人のスタイルを残しつつ、一つの作品に落とし込んでいる。シンセサイザーを盛り込んだモダンなトラックと、二人の泥臭いヴォーカルを組み合わせたジョン・レジェンドとのデュエット曲”Give You More”とはタイプの異なる曲を用意しつつ、きちんと自分の個性を発揮する技術は流石としか言いようがない。

そして、本作からの先行シングルである”High”は、彼女の作品に何度も参加しているダリル・キャンペルやチャールズ・ヒンショウが制作に携わっているスロー・ナンバー。同じフレーズを繰り返し演奏するホーン・セクションやキーボードが、ヒップホップのサンプリング・ソースのようにも聴こえる。曲調は”Add To Me”にも似ているが、こちらの曲ではアレサ・フランクリンを連想させるパワフルなヴォーカルを聴かせている。

彼女の初期の作品では、ジャズ・ヴォーカルのアルバムと勘違いしそうな程、繊細でテクニカルな演奏と歌唱が目立っていたが、ヴァーヴとの契約以降は、その傾向も薄れ、60年代、70年代のソウル・ミュージックや、現代のヒップホップ、R&Bを混ぜ合わせた、現代のトレンドを大人向けにアレンジしたR&B作品が増えてきている。大人向けの作品というと、往年の名アーティストを意識したものや、過剰な演出を控えたシンプルなものが多いが、彼女は新しい手法を積極的に取り入れつつ、それらをバンド・サウンドやソウル・ミュージックの歌唱法と混ぜ合わせることで、聴き手に懐かしさを感じさせつつ、新鮮な印象を与えていると思う。

ジャズとソウル・ミュージックをベースにしつつ、R&Bやヒップホップの手法も適度に取り入れることで、新鮮だけど飽きの来ない唯一無二の作品に落とし込んだ良作。ヒップホップやR&Bを聴いて育った人にこそ聴いて欲しい、大人になったヒップホップ世代のためのヴォーカル作品だ。

Track List
Ledisi Young, Rex Rideout, DJ Khalil, Timothy Bullock, Butta-N-Bizkit, Kirk Franklin etc

Track List
1. I Choose Today [Interlude] (Iyanla Vanzant)
2. Shot Down
3. Tomorrow Is A New Start [Interlude] (Soledad O’Brien)
4. Let Love Rule
5. Add To Me
6. Hello To The Pain [Interlude] (Iyanla Vanzant)
7. Hello
8. Forgiveness
9. Here
10. Us 4ever feat. BJ The Chicago Kid
11. Give You More feat. John Legend
12. High
13. Understanding / I Love You [Interlude] (Soledad O’Brien)
14. All The Way
15. If You Don't Mind





Let Love Rule
Ledisi
Verve
2017-09-22

Fergie - Double Dutchess [2017 Duthcess, BMG]

 1995年のメジャー・デビュー以降、親しみやすいメロディとヒップホップのイメージに囚われないバラエティ豊かなサウンドで、多くのファンを獲得してきたブラック・アイド・ピーズ。そんな彼らの転機となった2003年のアルバム『Elephunk』からグループに参加し、楽曲にポップで華やかな雰囲気をもたらしてきた女性シンガーが、ファーギーことステイシー・アン・ファーガソンだ。

カリフォルニア州のハシエンダハイツ出身の彼女は、10代のころから役者としてテレビ番組などに出演。その後、友人とガールズ・グループ、ワイルド・オーキッドを結成し、2枚のアルバムを残している。

ブラック・アイド・ピーズに加入した後は、その可愛らしくて個性的な歌声で存在感を発揮。また、2006年には初のソロ・アルバム『Dutchess』を発表。ブラック・アイド・ピーズの奇抜でキャッチーなサウンドと彼女のキュートなヴォーカルが合わさった作風が評価され、アメリカ国内だけで500万枚以上を売り上げる大ヒット作となった。

このアルバムは、前作から実に12年ぶりとなる2枚目のソロ作品。2015年に活動を再開したブラック・アイド・ピーズのライブには帯同せず、脱退したという噂もあった彼女だが、本作ではバンドの中心人物であるウィル・アイ・アムがプロデューサーとして参加。それ以外にも、DJアモやサーキットといったヒットメイカー達が作家陣に名を連ねている

本作の1曲目は、ザ・ゲームやマシンガン・ケリーなどの作品を手掛けているJPディド・ディス・ワンが制作に参加した”Hungry”。クリス・ブラウンの作品を彷彿させる陰鬱なトラップのビートに乗って、迫力のある歌声を聴かせてくれるミディアム・ナンバー。ラップを担当しているリック・ロスの重い低音が、楽曲の重厚な雰囲気を強調している。

これに対し、ウィル・アイ・アムがプロデュースを担当し、ニッキー・ミナージュをゲストに招いた”You Already Know”は、ヒップホップやエレクトロ・ミュージックとファンクを混ぜ合わせたキャッチーなアップ・ナンバー、多くのヒップホップ・クラシックにサンプリングされているリン・コリンズの”Think”を引用した軽快なビートに乗って、キュートな掛け合いを聴かせてくれるポップな作品だ。軽妙なラップや変幻自在のビートは、ブラック・アイド・ピーズのスタイルにそっくりだ。

また、前作に収録されている彼女の代表曲”London Bridge”を手がけたポロウ・ダ・ドンがプロデュースした”M.I.L.F. $”は、EDMやトラップの要素をふんだんに取り入れた躍動感あふれるサウンドが格好良いダンス・ナンバー。ディプロの音楽を連想させるエレクトロ・ミュージックに傾倒したトラックだが、きっちりと乗りこなしてヒップホップ作品に落とし込めているのは、変則的なビートが多いブラック・アイド・ピーズでの経験の賜物だろうか。

そして、本作の収録曲では最も早い、2014年にリリースされた”L.A.LOVE (la la)”は、ロス・アンジェルス出身のプロデューサー、DJマスタードを起用した作品。シンセサイザーを駆使してエレクトロ・ミュージックやトラップの要素を盛り込んだビートの上で、セクシーだけど荒々しいラップを繰り出すヒップホップ作品になっている。リル・ウェインやフューチャーの音楽を思い起こさせる、硬い音を多用したビートを、キャッチーなヒップホップに聴かせるセンスは流石の一言。絶妙なタイミングで入り込むYGのラップが、楽曲の重々しい雰囲気を引き立てている。

今回のアルバムでは、前作の路線を踏襲しつつ、新しい音を積極的に取り入れた2017年版の『Dutchess』を披露している。ヒップホップ・グループでありながらポップスのトレンドを取り入れてきた。ブラック・アイド・ピーズが飛躍するきっかけを作った彼女だけあって、コアなヒップホップを消化して、誰もが楽しめるポップスに落とし込める技術は群を抜いている。

ライブに俳優活動と、マルチな活躍を見せていた彼女だが、ミュージシャンとしても一線級の存在であることを再確認させてくれる良作。今の彼女がグループに戻ったらどんな化学反応を起こすのか、次の展開が楽しみになる充実の内容だ。

Producer
will.i.am, DJ Ammo, Alesso, Fergie, Cirkut, DJ Mustard etc

Track List
1. Hungry feat. Rick Ross
2. Like It Ain’t Nuttin’
3. You Already Know feat. Nicki Minaj
4. Just Like You
5. A Little Work
6. Life Goes On
7. M.I.L.F. $
8. Save It Til Morning
9. Enchanté (Carine) feat. Axl Jack
10. Tension
11. L.A.LOVE (la la) feat. YG
12. Love Is Blind
13. Love Is Pain






Double Dutchess
Fergie
Bmg
2017-09-22

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