アンダーワールドを音楽監督に起用し、開会式や閉会式ではポール・マッカートニーやザ・フー、ディジー・ラスカルなどがパフォーマンスを披露したロンドン五輪以降、ポップ・カルチャーを意識した演出が目立つオリンピックのセレモニー。その後も、ロシアで行われたソチ五輪では、同国出身のタトゥーが、ブラジルで開催されたリオデジャネイロ五輪には、マルセロDやダニエル・ジョビンなどが出演。自国の文化を世界に向けてアピールしていた。

2018年の平昌五輪も、この流れを引き継ぎ、開会式の入場行進では、韓国の伝統的な大衆音楽と一緒に、PSYの”Gangnam Style”やBIGBANGの”Fantastic Baby”、防弾少年団の”DNA”といった、近年のポピュラー・ミュージックを使用。韓国発の国際的なヒット・ソングを使った演出で、会場を盛り上げた。

この”Louder”は、平昌五輪のオフィシャル・ソングとして使用された曲の一つ。BIGBANGのテヤンが歌うこの曲は、閉会式で上映された、同大会のハイライト映像のBGMにも使われていたので、耳にしている人も多いだろう。

プロデュースは、グループの作品を数多く手掛けてきたテディ・パクと、彼がYG傘下に設立したブラック・レーベルのクリエイターが担当。ソングライティングにはテヤン自身も参加している。

この曲は、パンチの効いたビートと、軽やかなエレキ・ギターのカッティングを強調した、爽やかなトラックをバックに、スタイリッシュなメロディを朗々と歌うテヤンの姿が印象的なアップ・ナンバー。テンポを一定に保ちつつ、曲の途中で何度もビートを切り替える演出と、アレンジが変わっても違和感を抱かせない、絶妙なメロディ。それを巧みに乗りこなすヴォーカルの組み合わせが光っている。

本作を聴いて気になったのは、欧米の流行を追いかけつつ、自分達のスタイルに合った音楽を作れるようになった、韓国のヒップホップ、R&Bミュージシャン達の存在だ。”Gangnam Style”や”Fantastic Baby”の時代には、流行のサウンドを取り入れつつ、ミュージック・ビデオやファッションの奇抜さで、リスナーの注目を集めていた彼らが、新しいサウンドを追いかけながら、それを自分達の持ち味を生かした楽曲に落とし込み、音楽で勝負できるようなった点は、大きな変化だろう。

「アジア人による個性的なポップス」として世界に知られるようになった韓国のR&Bが、長い時間をかけて「韓国の文化を取り込んで、独自の進化を遂げたR&B」になったことを再認識させられる良曲。世界各地に広まり、その地の文化を取り込みながら進化していくヒップホップやR&Bの影響力と、外国の音楽を意識しながら、自分達の音楽を磨き上げている各国のミュージシャンへの興味を搔き立ててくれる、面白い作品だ。

Produce
TEDDY, R. Tee, Joe Rhee, 24

Track List
1. Louder