口の中でシンセサイザーの音を鳴らすことで、ロボットのような声を作り出すトークボックス。ザップのロジャー・トラウトマンやガイのテディ・ライリーなどが採用し、多くのヒット曲を生み出す一方、体内で音を鳴らす負荷の大きさや、楽器の音に合わせて歌う演奏の難しさから、使い手を選ぶ楽器としても知られている。

ウッディファンクは、この楽器の名手として知られる日本のシンガー・ソングライター。2012年には、ザップのグレッグ・ジャクソンがプロデュースした楽曲を含むアルバムを発表。その後も、ブーツィー・コリンズやジブラ、渋さ知らズやXLミドルトンなど、国やジャンルの枠を超えて、様々なアーティストとコラボレーションしてきた実力者だ。

本作は、2017年のアルバム『Pop』と、2015年のアルバム『Honey & Oh Yeah』の収録曲をリミックスした、2曲入りのシングル。ボビー・グローバーやブーツィー・コリンズが参加したことでも話題になった楽曲を、ゴールデン・ブリッジの名義で発表した『T.B.C.』や『I Can Prove It』も記憶に新しい、T-Grooveとmonologの二人が再構築。三者三葉のアプローチで、世界を舞台に活躍してきた面々による、ソウル・ミュージックへの深い愛情が発揮された新鮮な作品になっている。

1曲目の”GET THE PARTY STARTED”は、2017年の『Pop』の収録曲。オリジナル・ヴァージョンではダイナミックなスウィングと、80年代のファンク・バンドを彷彿させるロー・ファイなサウンドが魅力だったが、今回のリミックスではハウス・ミュージックを連想させるスタイリッシュなビートと、軽快なギターのカッティング、キュートなコーラスを強調したディスコ・ブギーにアレンジしている。四つ打ちのビートと、軽やかなギターを組み合わせたスタイルはダフト・パンクの”Get Lucky”を思い起こさせる。

また、”LET THE MUSIC PLAY”は2015年の『Honey & Oh Yeah!』の収録曲のリミックス。ジェイムズ・ブラウンの緻密なファンク・サウンドと、トーク・ボックスを組み合わせた手法が斬新だった楽曲を、ギターやパーカッションを組み合わせて、フィリー・ソウルっぽく纏めたアレンジが新鮮な曲だ。トーク・ボックスの強烈なサウンドを、柔らかい音色の楽器で流麗なダンス・ミュージックに組み込むセンスが面白い。原曲のアクセントになっていた、ブーツィー・コリンズの合いの手も、きちんと組み込む構成も心憎い。

このシングルの聴きどころは、リミックスとは思えない自然な編曲と、オリジナルとは全くことなる表情を見せるリミックス技術だろう。ザップやジェイムズ・ブラウンの影響が色濃かった原曲を、トーク・ボックスの強烈なサウンドを活かして、モダンなディスコ音楽に組み替えるスキルは圧巻の一言。しかも、ヴォーカルの加工は最小限に留め、ライブでも演奏されそうな新曲に落とし込めている点も見逃せない。

海外のヒップホップやR&B、往年のソウル・クラシックと比べても見劣りしない、日本発の本格的なソウル作品。タキシードやダフト・パンクが好きな人には是非聴いて欲しい良作だ。


Producer
Serigho Muto

Track List
1. GET THE PARTY STARTED
2. LET THE MUSIC PLAY