2009年に発表した甘いメロディのミディアムナンバー、”Just Ain't Gonna Work Out”がソウル・ファンの注目を集めて以来、ソロ活動に客演にと大忙しのミシガン州はアナーバー出身のシンガー・ソングライター、メイヤー・ホーソン。2015年にリリースされたDJのジェイク・ワンとのユニット、タキシード名義でのアルバム以来となるオリジナル・アルバムが、米BMG傘下のロック・レーベル、ベイグラントから発表された。

モーメンツやマンハッタンズを彷彿させる、ロマンティックなメロディのソウル・ミュージックにはじまり、ガレージ・ロックやラップ風のヴォーカルのR&B、4つ打ちのディスコ・ミュージックまで、作品ごとに新しいスタイルを取り入れてきた彼。だが、今回のアルバムでは、新しい試みを少し抑え、ファースト・アルバムから続く、ソウル・ミュージックとヒップホップを融合させた作風に集中している。

実質的な1曲目、”Cosmic Love”は、ジェフ・ローバー・フュージョンの”Rain Dance”(ジャ・ルールとアシャンティが歌った、”Down 4 U”でサンプリングされたことでも有名だ)にも似た、ふわふわとしたキーボードの音色の上で、彼の甘い歌声が響くミディアム・バラード。彼の過去作が好きな人なら、この曲を聴いた瞬間にCDをレジに持って行くだろう。この後も、60年代のモータウン・サウンドを連想させる緻密なバンドの演奏に、ドラム・マシンの音色をアクセントとして加えたトラックと、軽快なメロディが心地よいミディアム・ナンバー”Book Of Broken Hearts”や、彼の声を幾重にも重ねて、デルフォニックスやシャイ・ライツを連想させる甘いコーラスを一人で再現した”Breakfast In Bed”など、どの曲がシングル・カットされても違和感のない良曲を次々と繰り出している。

そんな本作のハイライトは、本作では唯一、ロックに寄ったアップ・ナンバー”Love Like That”と、アナログ・シンセとホーン・セクションのリフが70年代のスライ・ストーンを思い起こさせる”Out Of Pocket”の2曲。デビュー・アルバムのころからちょくちょく見受けられる、彼の雑食性が反映された楽曲の一つだが、経験を重ねてしなやかさを増したヴォーカルのおかげで、ノーマン・ホイットフィールドが手掛けたテンプテーションズの楽曲のような、癖のあるソウル・ミュージックとして楽しめる。

甘い歌声とロマンティックなメロディ、そして歌声を引き立てる堅実で丁寧な伴奏の3つが揃った本作は、使われる音色こそ違えど、60年代、70年代のソウル・ミュージックに限りなく近い。過去の音楽を踏襲しつつ、現代のサウンドと融合させた彼の作品は、保守的だが新しい、何度聞いても飽きないものだ。

Producer
Mayer Hawthorne etc

Track List
1. Man About Town
2. Cosmic Love
3. Book Of Broken Hearts
4. Breakfast In Bed
5. Lingerie & Candlewax
6. Fancy Clothes
7. The Valley
8. Love Like That
9. Get You Back
10. Out Of Pocket





Man About Town
Mayer Hawthorne
Bmgri
2016-04-08