ブラック・ミュージック千本ノック~SoulとR&Bと色々な音楽~

管理人が手に入れたR&Bのアルバム、1000枚の紹介文を書き続けるブログ その先に見えるものは天国か地獄か・・・

Soul

Ruben Studdard - Ruben Sings Luther [2018 Seg Music]

ファンタジアやジョーダン・スパークスなどの人気シンガーを輩出し、アメリカを代表する人気オーディション番組になったアメリカン・アイドル。同番組の第2シーズンで優勝し、レコード会社との契約を獲得したのが、西ドイツ(当時)のフランクフルト生まれ、アラバマ州バーミンガム育ちのシンガー、ルーベン・スタッダードこと、クリストファー・ルーベン・スタッダードだ。

米軍で働く父のもとに生まれた彼は、3歳のころから歌に取り組み、教会のステージに立つようになると、地元では知らぬものがいないほどの名歌手になったという。その一方で、ハイスクール時代にはフットボールにも夢中になっていたらしい。

そんな彼は、母親の持っていたレコードでソウル・ミュージックやゴスペルに慣れ親しんでいたこともあり、ソウル・ミュージックをレパートリーに持つ地元のジャズ・バンドに加入。その後、アメリカン・アイドルに応募し、優勝することになる。

同番組で有名になった彼は、2003年にウエストライフの”Flying Without Wings"のカヴァーで、アリシア・キーズも在籍していたJレコードからメジャー・デビュー。同じ年には初のフル・アルバム『Soulful』を発表し、全米総合アルバム・チャートを制覇。180万枚を売り上げる大ヒット作にした。その後も、2016年までに5枚のアルバムを録音。ずんぐりむっくりとした見た目に違わぬ親しみやすい雰囲気と、ゴスペルを土台にした本格的なヴォーカルで、多くの人に親しまれてきた。

このアルバムは、彼に取って通算7枚目のスタジオ・アルバムにして、初のカヴァー集。70年代から2000年代にかけて、多くの名曲を残してきたルーサー・ヴァンドロスの楽曲を取り上げた作品集で、アメリカン・アイドルの初戦で”Superstar”を披露し、審査員から声質や音楽性が似ていることを指摘された彼にとって、縁の深いアーティストの作品に取り組んだアルバムでもある。

本作の1曲目は、94年に発表された”Always and Forever”。ストリングスを贅沢に使ったバラードを、原曲に忠実なアレンジで丁寧に歌い込んでいる。メロディの部分では抑揚を利かせつつ、サビの部分で一気に盛り上がる展開に心が痺れる。シンプルな構成故に、歌い手の表現力が試される難易度の高いバラードを、きっちりと歌い上げる技術が聴きどころ。

続く”Never Too Much”は81年に発表され、グラミー賞も獲得したルーサーの代表曲。リズミカルなギターのカッティングと、しなやかなストリングスの組み合わせた伴奏に乗せて、グラマラスな歌声を響かせている原曲を、オーケストラを加えた豪華な伴奏をバックに朗々と歌ってみせる。原曲に比べると低音は弱く、ダンス・ミュージックっぽくない面もあるが、その分、ヴォーカルの魅力が引き立っている。

また、88年に発売された”Love Won't Let Me Wait”は、元デルフォニックスのメジャー・ハリスが75年にリリースしたシングルが元ネタ。アイザック・ヘイズやシールなど、古今東西の名シンガーが歌い継いできたバラードを、オリジナルにも負けない豪華な伴奏に乗せて披露している。パワフルな歌声が魅力のルーベンだが、ここではロマンティックなメロディが魅力の楽曲を、オリジナル版を意識して甘く歌っている。

そして、”Never Too Much”と同じアルバムに収録されている、ディオンヌ・ワーウィックの作品のカヴァー”A House Is Not a Home”は、本作のハイライトといっても過言では内容。ピアノとオーケストラを効果的に使った高級感溢れる演奏と、絶妙な力加減でメロディを歌い込むルーベンの姿が印象的、線が細く、繊細な歌声のオリジナル、パワフルな歌声が魅力のルーサー版の良いところを合わせたような名演だ。アメリカン・アイドルの決勝でも披露していた曲だが、今回の録音では当時よりもさらに熟練したパフォーマンスが楽しめる。

このアルバムの面白いところは、ライブ・ツアーと連動した作品ということで、実際にステージで披露されることを意識した、オーケストラを含む豪華なバンド・サウンドをバックに楽しめる点だ。高コストなこともあり、最近は珍しくなった大人数のバンドを用意し、主役の歌を引き立てている点は面白い。また、ルーベンも周囲の大きな期待に応え、大編成のバンドと一体になって、多彩な表現を披露している。この両者の一体感が本作の醍醐味だろう。

恵まれた歌声と、高い技術で人気を博してきた彼らしい、本格的なヴォーカル作品。低コストで様々な演奏を生み出せるデジタル機材がポップスに欠かせないものとなっている時代に、あえて生演奏と歌手の表現力にこだわった曲作りが心に残る良作だ。

Track List
1. Always and Forever
2. Never Too Much
3. So Amazing
4. Don't You Know That?
5. Bad Boy / Having a Party
6. Love Won't Let Me Wait
7. Here and Now
8. Til My Baby Comes Home
9. A House Is Not a Home
10. Power of Love






WODDYFUNK - N.Y.B. monolog & T-Groove Remix [2018 Intermass Records]

口の中でシンセサイザーの音を鳴らすことで、ロボットのような声を作り出すトークボックス。ザップのロジャー・トラウトマンやガイのテディ・ライリーなどが採用し、多くのヒット曲を生み出す一方、体内で音を鳴らす負荷の大きさや、楽器の音に合わせて歌う演奏の難しさから、使い手を選ぶ楽器としても知られている。

ウッディファンクは、この楽器の名手として知られる日本のシンガー・ソングライター。2012年には、ザップのグレッグ・ジャクソンがプロデュースした楽曲を含むアルバムを発表。その後も、ブーツィー・コリンズやジブラ、渋さ知らズやXLミドルトンなど、国やジャンルの枠を超えて、様々なアーティストとコラボレーションしてきた実力者だ。

本作は、2017年のアルバム『Pop』と、2015年のアルバム『Honey & Oh Yeah』の収録曲をリミックスした、2曲入りのシングル。ボビー・グローバーやブーツィー・コリンズが参加したことでも話題になった楽曲を、ゴールデン・ブリッジの名義で発表した『T.B.C.』や『I Can Prove It』も記憶に新しい、T-Grooveとmonologの二人が再構築。三者三葉のアプローチで、世界を舞台に活躍してきた面々による、ソウル・ミュージックへの深い愛情が発揮された新鮮な作品になっている。

1曲目の”GET THE PARTY STARTED”は、2017年の『Pop』の収録曲。オリジナル・ヴァージョンではダイナミックなスウィングと、80年代のファンク・バンドを彷彿させるロー・ファイなサウンドが魅力だったが、今回のリミックスではハウス・ミュージックを連想させるスタイリッシュなビートと、軽快なギターのカッティング、キュートなコーラスを強調したディスコ・ブギーにアレンジしている。四つ打ちのビートと、軽やかなギターを組み合わせたスタイルはダフト・パンクの”Get Lucky”を思い起こさせる。

また、”LET THE MUSIC PLAY”は2015年の『Honey & Oh Yeah!』の収録曲のリミックス。ジェイムズ・ブラウンの緻密なファンク・サウンドと、トーク・ボックスを組み合わせた手法が斬新だった楽曲を、ギターやパーカッションを組み合わせて、フィリー・ソウルっぽく纏めたアレンジが新鮮な曲だ。トーク・ボックスの強烈なサウンドを、柔らかい音色の楽器で流麗なダンス・ミュージックに組み込むセンスが面白い。原曲のアクセントになっていた、ブーツィー・コリンズの合いの手も、きちんと組み込む構成も心憎い。

このシングルの聴きどころは、リミックスとは思えない自然な編曲と、オリジナルとは全くことなる表情を見せるリミックス技術だろう。ザップやジェイムズ・ブラウンの影響が色濃かった原曲を、トーク・ボックスの強烈なサウンドを活かして、モダンなディスコ音楽に組み替えるスキルは圧巻の一言。しかも、ヴォーカルの加工は最小限に留め、ライブでも演奏されそうな新曲に落とし込めている点も見逃せない。

海外のヒップホップやR&B、往年のソウル・クラシックと比べても見劣りしない、日本発の本格的なソウル作品。タキシードやダフト・パンクが好きな人には是非聴いて欲しい良作だ。


Producer
Serigho Muto

Track List
1. GET THE PARTY STARTED
2. LET THE MUSIC PLAY



Tuxedo & Zapp – Shy [2018 Stones Throw]

2017年初頭に3曲入りのEP『Fun With The Tux』を発表。その後、同作に新曲を追加した『Tuxedo II』をリリース。8月には、ロック・フェスへの出演を含む来日公演を成功させたことも記憶に新しい、メイヤー・ホーソンとジェイク・ワンによる音楽ユニット、タキシード。

彼らの約1年ぶりとなる新曲は、トーク・ボックスと電気楽器を駆使した独特のスタイルで、今も多くのファンがいる、オハイオ出身のファンク・バンド、ザップとのコラボレーション作品。80年代から多くのヒット曲を世に送り出してきた彼らは、99年に稀代のフロント・マン、ロジャー・トラウトマンが亡くなった後も、残されたメンバーで新作を録音し、来日公演を含む多くのステージをこなしてきた。

両者のコラボレーション曲は、タキシードが得意とする四つ打ちのビートと、ザップのウリである電気楽器のグラマラスなサウンドを組み合わせたディスコ・ナンバー。モダンな音色の伴奏や、トーク・ボックスを使ったヴォーカルは、一回聴いただけでザップの作品とわかるものだが、ハウス・ミュージック寄りのビートや、メイヤー・ホーソンの甘い歌声が入る箇所は、きちんとタキシードの曲に聴こえるから面白い。

この曲の醍醐味は、ソウル・ミュージックやハウス・ミュージックに近いタキシードのスタイルと、ザップのファンクが合わさって、一つの作品になっていることだ。水と油のように音楽性の異なる両者の音楽が合わさって、双方の個性を残しつつ、両者の音楽が融合した斬新な楽曲になっているところだろう。

強烈な個性が魅力のミュージシャンが手を組み、両者の可能性を切り開いた、画期的なダンス・ナンバー。1+1が2に留まらず、3にも5にもなる可能性を秘めていることを僕らに教えてくれる素晴らしいコラボレーションだ。

Producer
Tuxedo & Zapp

Tracck List
1. Shy
2. Shy(Instrumental)



Shy [7 inch Analog]
Tuxedo
Stones Throw
2018-02-02

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