ブラック・ミュージック千本ノック~SoulとR&Bと色々な音楽~

管理人が手に入れたR&Bのアルバム、1000枚の紹介文を書き続けるブログ その先に見えるものは天国か地獄か・・・

男性グループ

Offonoff - Boy. [2017 HIGHGRAND]

2003年にヒップホップ・グループ、エピック・ハイの中心人物としてアルバム『Map of the Human Soul』でメジャー・デビュー。アメリカの音楽を意識した本格的なサウンドと、時代に鋭く切り込んだリリックで、韓国を代表するミュージシャンの一人に上り詰めた、韓国系カナダ人のラッパー兼プロデューサー、タブロことイ・ソンウン。2011年に、BIGBANGやPSYといった、世界を股にかける人気ミュージシャンが在籍しているYGエンターテイメントに移籍すると、これまで以上に斬新な作品を次々と発表。2017年に入ってからも、アメリカのR&Bシンガー、ガラントのシングル”Cave Me In”や、PSYのアルバム『4×2=8』に収録されている”Auto Reverse”に客演するなど、新しい音楽に挑戦している。

そんな彼が、YGエンターテイメントの傘下に設立したサブ・レーベルがハイグランドだ。ロック・バンドのヒョゴやブラック・スカーツなど、アメリカの音楽を踏襲した作風がウリのYGの中でも、特に先鋭的な音楽性のミュージシャンが所属していることで、音楽ファンから注目を集めているこのレーベル。今回、そこからアルバム・デビューを果たしたのが、韓国発の2人組のヒップホップ・グループ、オフオンオフだ。

素顔や年齢など、細かいプロフィールは不明だが、2015年ごろからインターネット上に作品を発表しており、2016年前後にハイグラウンドと契約。これまでに2枚のシングルをリリースしている。

本作は、それに続く彼らにとって初のフル・アルバム。ゲストにはタブロのほか、ジ・インターネットのシドとコラボレーションしたシングル”Love”が話題になったディーンや、ディーンの作品にも携わっているシンガー・ソングライターのミソ、韓国のプロダクション・チーム、ラド・ミュージアムが参加。クラブや音楽配信サービスを主戦場に、欧米のクラブ・ミュージックから多くの影響を受けたサウンドを武器に戦う、実力派ミュージシャン達が集結している。

アルバムのオープニングを飾る”In The Car”は、レミー・シャンドやドゥウェレの作品を連想させる、シンセサイザーを多用した抽象的なサウンドと、繊細でソウルフルなヴォーカル魅力的なミディアム・ナンバー。シルクのようにきめ細かいテナー・ヴォイスが心地よい曲だ。

これに対し、タブロとミソをフィーチャーした”Cigarette”は、DJスピナの音楽を連想させる、フワフワとしたトラックが印象的なミディアム・ナンバー。フロエトリーやレ・ヌビアンズ、ナオなどを思い起こさせる、華奢だけど存在感のあるミソのヴォーカルが光っている。タブロのラップがアクセントになって、楽曲に起伏を付けている点も面白い。

また、ディーンを起用した”Gold”は、ピアノ伴奏を引用したメロウなトラックが素敵なミディアム・ナンバー。ドレイクパーティーネクストドアを連想させる、ファルセットを織り交ぜた歌うようなラップが心地よい。脇を固めるディーンのテナー・ヴォイスにも注目してほしい。

そして、本作に先駆けて発表されたシングル曲”Photograph”は、シンセサイザーの伴奏を効果的に使ったロマンティックな作品。甘い歌声を活かした切ない雰囲気のメロディが素敵な曲だ。ゲストがいない分、彼らの歌やトラックの美しさが際立っていると思う。叩き上げの実力者である、二人のスキルが思う存分堪能できる良作だ。

彼らの音楽は、ファンキーDLやミツ・ザ・ビーツのような、ジャズのエッセンスを取り入れたヒップホップのトラックと、ロビン・シックやファレル・ウィリアムスのようなファルセットを駆使したヴォーカル、歌うようなラップを組み合わせたキャッチーで聴きやすいものだと思う。ガグルや瘋癲といった、ジャズの影響を受けたヒップホップ・グループが多い日本人の目には、ありふれた作品のようにも映るときがあるが、ドレイクなどを連想させる歌とラップを織り交ぜたパフォーマンスを取り入れることで、きちんと独自性を発揮していると思う。

韓国のヒップホップ、R&B界隈の人材の厚さと、高い実力を再認識させられる佳作。タブロのように、メジャーとアンダーグラウンド、両方のシーンで活躍する存在になってくれるのか、今から楽しみなアーティストだ。

Track List
1. In the Car
2. Cigarette feat. Tablo, Miso
3. Gold feat. Dean
4. Good2me feat. Punchnello
5. Boy
6. Photograph
7. Film Roll
8. Dance
9. Midnight
10. Noon 12:04am
11. Homeless Door feat. Rad Museum
12. Overthinking





OFFONOFF/ BOY -1集 <通常盤> (CD) 韓国盤 オフオンオフ ボーイ OFF ON OFF
OFFONOFF/ BOY -1集 <通常盤> (CD) 韓国盤 オフオンオフ ボーイ OFF ON OFF

CDB - Tailored for Now [2017 Warner Music Australia]

91年に4人組のヴォーカル・グループとして結成。ピーター・アンドレのバック・コーラスとして、マドンナのツアーに帯同するなどして経験を積んだ後、95年にアルバム『Glide With Me』でメジャー・デビュー。”Hey Girl (This Is Our Time)”や、アース・ウィンド&ファイアのカヴァー”Let's Groove”が、ニュージーランドのチャートを制覇、オーストラリアの音楽賞を獲得するなど、一躍人気グループの仲間入りを果たした、メルボルン発の男性ヴォーカル・グループCDB。

97年にはメンバーのアンドリューがガンの治療のため脱退。ユダ・ニコラス加入して2枚目のアルバム『Lifted』をリリース。こちらもオーストラリアのヒット・チャートで46位に入るなど、一定の成果を残した。しかし、その後は各人が自身の活動に力を入れるため、99年にグループを解散してしまう。

その後、各人のソロ活動を経て2006年に再結成。2008年にマイケル・ジャクソンのカヴァー” P.Y.T. (Pretty Young Thing)”を発表すると、2010年には同曲を含むベスト・アルバムを発売している。

今回のアルバムは、彼らにとって実に20年ぶりとなる新作。彼らが活躍した90年代のR&Bを中心に、今も根強い人気のある曲を、原曲の雰囲気を活かしつつ、彼らのスタイルに合わせてアレンジ、カヴァーしている。

アルバムのオープニングを飾る”If I Ever Fall In Love”は、ゲフィンからデビューした、4人組男性ヴォーカル・グループ、シャイの93年のヒット曲のカヴァー。スロー・テンポのバラードを荘厳なアカペラに組み替えた発想の大胆さが光っている。90年代に活躍し、当時の空気を知る彼らのセンスと、長いキャリアで培われた実力が発揮された曲だ。

これに対し、ボビー・ブラウンの89年のヒット曲”Every Little Step”のカヴァーは、原曲を意識した明るくポップなダンス・ナンバー。ベイビーフェイス作の甘酸っぱいメロディと、跳ねるようなニュー・ジャック・スウィングのビートを忠実に再現するだけでなく、4人のヴォーカルも、当時の彼らを連想させるような、甘く爽やかな、ポップスのスタイルに寄せている。往年の名曲と彼らの輝きは、今も色あせていないことに気づかせてくれる名カヴァーだ。

また、この曲とは異なる手法でオリジナルを忠実に再現したのが、SWVが92年に発表した”Right Here ”のカヴァー。本作では、93年にリリースしたリミックス・ヴァージョンをベースにしているが、原曲でサンプリングしているマイケル・ジャクソンの”Human Nature”の音源は使わず、シンセサイザーなどを使ってイチから作っている。SWVのヴァージョンでは、ココ達の若く溌剌とした歌声が印象的だったが、今回のカヴァーでは成熟した4人の豊かな表現力と滑らかなハーモニーで、流麗なメロディの魅力を強調している。原曲ではマイケル・ジャクソンの声を使っているパートも、メンバーがマイケルそっくりに歌っているなど、凝った作りが面白い。

そして、本作の目玉といっても過言ではないのが、ボーイズIIメンが92年にリリース。総合チャートで13週連続1位を獲得し、92年のナンバー・ワン・ヒットになった”End of the Road”のカヴァーだ。ベイビーフェイスの手によるロマンティックなメロディと、メンバーの力強い歌声と高い技術力を生かしたダイナミックなアレンジが魅力のバラードを、原曲に忠実な形でカヴァーしている。オリジナル同様、キーボードなどを使ったきらびやかな伴奏と、年季を重ねてスケールが大きくなった4人のヴォーカルが堪能できる本格的なバラード。90年代の彼らを知る人が聴いたら、その進化に驚くと思う。

今回のカヴァー・アルバムは、彼ら自身も何度となく耳にしてきたであろう90年代の楽曲を中心に取り上げているだけあって、その完成度は非常に高い。しかも男性ヴォーカル・グループの作品だけでなく、男性ソロ・シンガーや女性グループ、キッズ・グループの作品も取り上げるなど、その守備範囲は生半可なものではない。これらの曲をアレンジも含め忠実に再現し、さらに自分達の色も盛り込めたのは、ロック・シンガーとして活躍していたゲイリーやアンドリュー達、各メンバーの努力の賜物だと思う。

90年代に活躍したポップ・グループの手によって、彼らが腕を磨き、飛躍していった時代の音楽を現代によみがえらせた。魅力的なカヴァー・アルバム。気にある曲があったら、ぜひ元ネタを検索して欲しい。豊かで奥深い、90年代のR&Bが思う存分堪能できると思う。

Producer

Gary Pinto, Andrew De Silva

Track List
1. If I Ever Fall In Love
2. She's Got That Vibe
3. Every Little Step
4. Right Here
5. The Floor
6. This Is How We Do It
7. End of the Road
8. Just Got Paid
9. I Want Her
10. All My Life
11. 90's Chill Medley [Can We Talk, That’s the Way Love Goes, I Like the Way (The Kissing Game), Candy Rain]





BTS - You Never Walk Alone [2017 Big Hit Entertainment]

2017年4月に、ユニヴァーサル傘下のデフ・ジャム・ジャパンと契約を結び、多くの人を驚かせた韓国出身の6人組ダンス・ヴォーカル・グループ、BTS(漢字圏の地域では「防弾少年団」表記)。彼らが2016年にリリースした、3枚目のフル・アルバム『Wings』に、ボーナス・トラックを追加した4枚目のアルバム。

2011年に結成。動画投稿サイトや音楽ストリーミング・サイトに作品を投稿したり、先輩グループのバック・ダンサーを務めるなど、地道な下積みを経た後、アルバム『2 COOL 4 SKOOL』でレコード・デビュー。同年には、韓国の音楽シーンでは異例ともいえる、小規模事務所発のグループによる新人賞の獲得という記録を残した。

その後も、順風満帆とはいえない環境の中で、地道にライブや新曲発表を重ね、2015年にはEP『The Most Beautiful Moment In Life 』(漢字圏では『花様年華』)シリーズで本格的にブレイク。2016年には、本作にも収録されている”Blood Sweat & Tears”(邦題は”血汗涙”)を発表。公開から約半年で再生回数が1億回を超え、複数の国でヒット・チャートに名を刻む大ヒットとなった。また、同曲を収めたアルバム『WINGS』がビルボード総合チャートの25位になる大躍進を見せた。

彼らの代表曲となった”Blood Sweat & Tears”は、グループの楽曲を数多く手掛けているPドッグとメンバー自身のペンによる作品。アリーヤの”Rock The Boat”やR.ケリーの”Loveland”を彷彿させる、浮遊感のあるトラックと、ファルセットを多用したセクシーなパフォーマンスが光る楽曲。線の細い高音はファレル・ウィリアムズにも似ているが、どちらかといえばマーカス・ヒューストンやトレイ・ソングスなどの、色っぽいヴォーカルをウリにする歌手が好きな人向けの曲だ。

一方、もう一つのシングル曲”Not Today”は、荒々しいシンセサイザーのリフが印象的なダンス・ポップ。こちらは、王道のK-Popが好きな人向けの曲っぽい。余談だが、廃工場や荒野でメンバーが忍者とダンスをするMVは、外国人の抱く日本文化のイメージが垣間見れて面白い。

また、それ以外のアルバム曲では、トリッキー・ステュアートがプロデュースした”BTS Cypher Pt. 4”が光っている。アッシャーの”Bump”やマライア・キャリーの”Touch My Body”などを手がけてきた彼らしい、艶めかしい音色を使ったトラックと、ヴォーカルの色気を引き出すメロディが魅力のスロー・ナンバー。ラップ担当の3人が、ドレイクを思い起こさせるメロディのあるフロウを聴かせているので、ぜひ注目してほしい。

それ以外にも、Vのソロ曲”Stigma”などは、R&Bが好きな人には見逃せない曲だ。ピアノやホーンを使った太く温かい音色の伴奏に乗せて、ゆったりと歌う姿が印象的な、ロマンティックなミディアム・バラード。ファルセットを効果的に使った、繊細で色っぽいヴォーカルも魅力的。日本のミュージシャンにも似たようなスタイルの楽曲はあるが、ディアンジェロの”Brown Sugar”やマックスウェルの”Fortunate”を彷彿させる、ソウル・ミュージックの要素を取り込んだR&Bを、ダンス。ヴォーカル・グループのメンバーのソロ曲に選ぶセンスは大胆だと思う。

そして、本作で異彩を放っているのが、サウス・ロス・アンジェルス出身で3回もグラミー賞を獲得しているブルース・シンガー”Am I Wrong”のカヴァーだ。ケブ・モー本人もプロデューサーに名を連ねたトラックは、ブルースハープが乱れ飛び、ハンドクラップが心掻き立てる、激しいビートのアップ・ナンバー。ダンスホール・レゲエの影響を伺わせる、跳ねるようなビートと、彼の声をサンプリングしたフレーズが、ブルースの泥臭さを、10代から20代の若者をターゲットにした、ダンス・ミュージックと融合するのに一役買っている。この曲を通して、ケブ・モーの存在が各国の若者に知れ渡ったら、面白いことになりそうだ。

元々、韓国出身のミュージシャンは、アメリカのヒップホップやR&Bを取り入れた作品が多いが、彼らの音楽は、その傾向が極端なように映る。彼らより前に成功した2PMやビッグバンであれば、前者はアジアのポップスの影響を残していたし、ビッグバンはEDMの要素を前面に打ち出していた。そんな、「アジアのアッシャー」「アジアのクリス・ブラウン」に厳しい評価を下すことの多い海外市場で、あえてアメリカのR&Bを韓国語に置き換えたスタイルで挑み、一定の成果を上げた彼らの存在は、非常に興味深い。

ザイオンTの作品でも書いたことだが、言語や体型、習慣が異なるアジア出身の歌手が、欧米のR&Bを取り込むことは簡単ではない。その中で、アメリカのトレンドをそのまま取り入れるという大胆な手法で、R&Bを自分の音楽に昇華し、ヒットチャートで戦える曲に落とし込んでいった点はもっと評価されてもいいと思う。アジア地域のポップスの常識を書き換えた野心的なアルバムを残してきた彼ら。今後の展開が今から楽しみだ。

Producer
Pdogg, BTS

Track List
1. Intro: Boy Meets Evil
2. Blood Sweat & Tears
3. Begin (Jungkook solo)
4. Lie (Jimin solo)
5. Stigma (V solo)
6. First Love (Suga solo)
7. Reflection (Rap Monster solo)
8. MAMA (J-Hope solo)
9. Awake (Jin solo)
10. Lost
11. BTS Cypher Pt. 4
12. Am I Wrong (Keb' Mo' sample/cover)
13. 21st Century Girls
14. Two! Three! (Still Wishing There Will Be Better Days)
15. Interlude: Wings
15. Spring Day
16. Not Today
17. Outro: Wings
18. A Supplementary Story: You Never Walk Alone






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