ブラック・ミュージック千本ノック~SoulとR&Bと色々な音楽~

管理人が手に入れたR&Bのアルバム、1000枚の紹介文を書き続けるブログ その先に見えるものは天国か地獄か・・・

男性グループ

Majid Jordan - The Space Between [2017 OVO Sound, Warner]

2013年に、ドレイクが経営するOVOサウンドと契約。同社に所属する初の音楽ユニットになったマジッド・ジョーダン。

トロント大学の学生だったジョーダン・ウルマンとマジッド・アリ・マスカティが2011年に結成したこのグループは、最初ころは自宅で楽曲を制作し、インターネットの音楽配信サービスに公開することで名を上げてきた。

楽曲が評価され、OVOと契約した彼らは、2013年にドレイクのシングル”Hold On, We're Going Home”のソングライター兼ゲスト・ヴォーカルでレコード・デビュー。全米総合シングル・チャートの4位という華々しいデビューを飾ると、翌年には自身名義の”A Place Like This”を皮切りに、複数のシングルを発売。2016年には初のフル・アルバムとなる『Majid Jordan』をリリースしている。

このアルバムは、前作の発売から僅か1年半という短い間隔でリリースされた通算2枚目のフル・アルバム。マジッド・ジョーダン名義でプロデュースした作品が大半を占めていた前作に対し、本作ではほとんどの曲がジョーダン一人のプロデュースによるもの。それに加え、前作にも参加している40やナインティーン85などの、OVOに所属するプロデューサーが顔をそろえ、彼の持ち味であるスタイリッシュなR&Bの良さを引き立てている。

アルバムの目玉は、なんといってもスターゲイトが制作に参加した”Body Talk”だろう。ニーヨやリアーナの楽曲を手掛け、昨年はディズニー映画の主題歌でもペンを執るなど、多芸っぷりを発揮しているスターゲイトの才能が加わったこの曲は、レゲトンの要素を盛り込んだビートと、しなやかなメロディが印象的なダンス・ナンバー。洗練された歌唱が魅力の彼と、スターゲイトが得意とする流麗なメロディの相性は抜群だ。陽気で華やかなレゲトンを、洗練されたメロディのR&Bと一体化するセンスも素晴らしい。

また、同じレーベルに所属するパーティーネクストドアをフィーチャーした”One I Want”は、OVOらしいシンセサイザーを多用したトラックと、歌とラップを織り交ぜた歌唱が光るミディアム・ナンバー。彼らが得意とするスタイルをベースにしながら、聴き手に新鮮な印象を与えるアレンジが魅力の好曲だ。

それ以外の曲では、ドレイクからリンキン・パークまで、様々なジャンルのアーティストの作品に関わってきたイルセイ・ジューバーがソングライティングで参加した”Phases”が面白い。しっとりとした雰囲気のバラードから、80年代のディスコ・ミュージックを思い起こさせるモダンなダンス・ナンバーへと繋がっていく展開が面白い佳曲だ。80年代のダンス・ミュージックの極端に洗練されたサウンドを、現代のポップスに落とし込むスキルが素晴らしい。

そして、先日、2枚目のフル・アルバム『Morning After』をリリースしたレーベル・メイトの音楽ユニットdvsnとコラボレーションした“My Imagination”は、dvsnが制作に参加したアップ・ナンバー。シンセサイザーの音を重ね合わせたスタイリッシュなサウンドをバックに、みずみずしい歌声を響かせる姿が印象的な楽曲だ。甘酸っぱい歌声を引き立てる爽やかなメロディーが心地よい曲だ。

彼らの面白いところは、アッシャーやオマリオン、ジャスティン・ビーバーといった、人気シンガーにも通じる、甘く爽やかなヴォーカルを備えながら、その声を使って本格的なR&Bに取り組んでいるところだろう。ポップ・スターになりうるポテンシャルを持った声を用いて、繊細な表現が求められるシンプルで洗練されたR&Bを作ったことで、若い世代には親しみやすく、大人には若々しさと落ち着いた雰囲気に落とし込んでいる点は見逃せないと思う。

親しみやすいけど上品、新鮮だけど飽きの来ない魅力的な作品だ。

Producer
40, Jordan Ullman, Majid Jordan, Nineteen85, Stargate

Track List
1. Intro
2. Gave Your Love Away
3. OG Heartthrob
4. Body Talk
5. Not Ashamed
6. One I Want feat. PartyNextDoor
7. You
8. Phases
9. Asleep
10. What You Do to Me
11. My Imagination feat. Dvsn
12. The Space Between
13. Outro





Majid Jordan
Warner Bros / Wea
2017-12-15

Boyz II Men - Under The Streetlight [2017 MasterWorks, Sony]

これまでに6000万枚以上のレコードを売り上げ、ボーイズ・グループとしては歴代トップ10、黒人男性だけで構成されたグループとしてはジャクソン5に次ぐ2位という記録を残しているフィラデルフィア出身のヴォーカル・グループ、ボーイズIIメン。

85年に同じハイスクールに通う5人によって結成されたこのグループは、当時流行していたニュー・エディションを意識したスタイルで活動を始めると、たちまち地元で話題になる。その後、公演でフィラデルフィアを訪れていたベル・ヴィヴ・デヴォー(ニュー・エディションのメンバーで構成されたグループ)の前で演奏を披露したことをきっかけにプロへの道を歩み始め、91年にモータウンからアルバム『Cooleyhighharmony』でメジャーデビュー。アメリカ国内だけで900万枚を売り上げる大ヒットとなる。

また、翌年には映画「ブーメラン」のサウンドトラックに収録されている”End of the Road”が全米総合シングル・チャートで13週連続1位という大記録を残すと、94年にはアルバム『II』をリリース。アメリカ国内だけで1200万枚を売り上げるなど、こちらも大きな成功を収める。また、同作からシングル・カットされたシングル”I'll Make Love to You”が全米総合シングル・チャートで連続14周1位という記録を残している。

そして、95年にはマライア・キャリーとのコラボレーション曲”One Sweet Days”をリリース。この曲は全米総合シングル・チャートの1位を16週間守り抜き、2017年にルイス・フォンスイの”Despacito”が同じ記録を樹立するまで、唯一無二の記録としてその名を残した。

しかし、2000年代に入ると周囲の人々との音楽性の食い違いや、ファンから求められる音楽と自分達のスタイルのギャップなどに苦しみ、活動が停滞するようになる。

そんな中でリリースされたがこのアルバム。2014年の『Collide』以来、約3年ぶり通算12枚目のLPとなる本作では、「クラシカルで、ハーモニーを大切にしたサウンド」をコンセプトに掲げ、50年代、60年代のソウル・クラシックのカヴァーを中心に収録。ゲストとしてテイク6やブライアン・マックナイト、ジミー・マーチャントのような実力派シンガーを招いた、本格的なヴォーカル・アルバムに仕上げている。

アルバムの1曲目を飾るのは、50年代に一世を風靡したヴォーカル・グループ、フランキー・ライモン&ティーンエイジャーズが56年に発表した大ヒット曲”Why Do Fools Fall In Love”のカヴァー。今回はジミー・マーチャントを招き、10代半ばの少年たちが世に放った名曲を円熟した歌声と正確無比なハーモニーで歌い直している。シンプルな編成のバンドをバックに、ポップなメロディを軽やかに歌い上げるリード・シンガーと、息の合ったコーラス・ワークのコンビネーションが光っている。変声期前後の少年達が歌っていたオリジナルとは一味違う、老練なパフォーマンスが素敵な作品。

続く”A Thousand Miles Away ”は、ニューヨークのクイーンズ発のコーラス・グループ、ハートビートが57年にリリースした作品のリメイク。美しいコーラスに拘ったスタイルで30年以上活動し、日本にも多くのファンがいるアラバマ州ハンツビル出身のヴォーカル・グループ、テイク6とのコラボレーション。ボーイズIIメンの3人とテイク6の6人、合計9人による荘厳なコーラスが心地よいスロー・ナンバー。ソウル・ミュージックと言えば、パワフルなヴォーカルが魅力の作品が多いが、この曲では9人の高い歌唱力を活かした、緻密なコーラス・ワークで勝負している。

また、リトル・アンソニー&インペリアルズが58年に発表した”Tears On My Pillow”のカヴァーは、90年代から活躍しているバラーディア、ブライアン・マックナイトを招いた作品。この曲もオリジナルは少年グループによる録音だが、こちらはブライアン・マックナイトの滑らかな歌声を軸にした上品なバラードに纏め上げている。この曲や”Why Do Fools Fall In Love”のような、キッズ・グループの作品を、声域も技術も異なる大人が歌うのは一筋縄にはいかないが、彼らは曲に応じてコラボレーション相手を変えることで、楽曲の隠れた魅力を引き出しながら、自分達の音楽に染め上げている。

そして、本作の収録曲では唯一、女性シンガーを起用した”Anyone Who Knows What Love Is”は、ニューオーリンズ出身の歌姫、アーマ・トーマスが64年にリリースした作品のカヴァー。アメリカの 人気テレビ・ドラマ「グリー」のメルセデス・ジョーンズ役でも有名な女優のアンバー・ライリーを招き、アメリカの音楽史に残るディーヴァの作品に正面から取り組んだ、本作の収録曲では異色の録音だ。ほかの作品では見られない、パワフルな歌唱を披露する3人も素晴らしいが、若き日のアーマが降臨したような、堂々とした歌いっぷりのアンバーの存在が輝いている。彼女が担当したパートが、本作のハイライトといっても過言ではない。

今回のアルバムでは、50年代から60年代のソウル・ミュージックを数多く取り上げているが、収録曲に耳を傾けると、往年のサウンドを忠実に再現したものとも、現代風にアレンジしたものとも異なる、独創的な解釈に驚かされる。伴奏を生演奏にすることで、往年のソウル・ミュージックを彷彿させるシンプルだけど温かく、ポップでコミカルなものにまとめられている。しかし、現代のシンガーに合わせてヴォーカルは艶やかで洗練されたものになっているのは、2017年に本作をリリースする彼らのバランスが発揮されたものといっても過言ではないだろう。

その実力で、ポピュラー・ミュージック界に多くの足跡を残してきたヴォーカル・グループが、豊かな経験と高い技術をフルに活かして、自分達のルーツ・ミュージックに取り組んだ意欲作。今時のR&Bやヒップホップが好きな人にこそ聴いて欲しい、それぞれの時代に個性豊かな作品を残してきた、黒人音楽の世界の一端を垣間見れる面白いアルバムだと思う。

Track List
1. Why Do Fools Fall In Love feat. Jimmy Merchant
2. A Thousand Miles Away feat. Take 6
3. Stay
4. I Only Have Eyes For You
5. Up On The Roof
6. I’ll Come Running Back To You feat. Brian McKnight
7. Tears On My Pillow feat. Brian McKnight
8. A Sunday Kind Of Love feat. Brian McKnight
9. Anyone Who Knows What Love Is feat. Amber Riley
10. Ladies Man



a

Under the Streetlight
Masterworks
2017-10-20

Wu-Tang Clan - The Saga Continues [2017 eOne]

往年のブラック・ミュージックをサンプリングしているにもかかわらず、他のミュージシャンとは一味違う不気味な雰囲気を醸し出すトラックと、ドスの効いた声で紡がれる攻撃的なラップが印象的だった93年のデビュー・アルバム『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』で、多くの音楽ファンの度肝を抜いた、ニューヨークのスタッテン・アイランド出身のヒップホップ・グループ、ウータン・クラン。

91年にプリンス・ラキームの名義でトミー・ボーイからアルバムをリリースしているRZAを中心に、彼の従兄弟であるGZAやオール・ダーティー・バスタード(2004年に死去)、既にラッパーとして活動していたゴーストフェイス・キラーやU-ゴッドといった個性豊かな面々からなる彼らは、RZA達が生み出すおどろおどろしいのに中毒性の高いビートと、全身全霊で自分のキャラをアピールする各メンバーのラップを武器に、多くのヒット作を残してきた。

また、メアリーJ.ブライジとのコラボレーション曲でグラミー賞を獲得したメソッド・マンや、マライア・キャリーの”Fantasy”のリミックス版で、主役を押しのける強烈なパフォーマンスを披露したオール・ダーティー・バスタードをはじめ、映画「キル・ビル」の映画音楽を手掛けたRZAや、様々なコラボレーション作品を含む多くのアルバムを残しているゴーストフェイス・キラーなど、各メンバーがソロ・アーティストとしても成功を収めてきた。

このアルバムは、2014年の『A Better Tomorrow』 以来、約3年ぶりとなる新作。すべての楽曲をリーダーのRZAと、彼らのライブをDJとして支えているマスマティックスが制作し、各曲ではメンバーに加え、キラー・プリーストやストリート・ライフのような準メンバー、レッドマンやショーン・プライスなどの人気ミュージシャンが集結、地道な活動で鍛え上げた逞しさとしなやかさを兼ね備えたヒップホップを聴かせている。

アルバムの実質的な1曲目”Lesson Learn'd”は、インスペクター・デックとメソッド・マンのコラボレーション作品。デビュー当時の彼らを思い起こさせる、微妙な揺らぎが不安を掻き立てるビートの上で渋いラップを聴かせるインスペクター・デックと、軽い声質でがなり立てるようなラップを披露するレッドマンのコンビネーションが光る曲だ。どことなくだが、90年代に鮮烈なデビューを飾ったときのことを思い起こさせる。

これに対し、ゴーストフェイス・キラー、メソッド・マン、RZAというソロでも実績豊富な面々に加え、ブロンクス出身のベテラン・ラッパー、ショーン・プライスが参加した”Pearl Harbor”は、ドロドロとしたビートの上で繰り広げられるマイク・リレーが魅力の作品。楽器の演奏とサンプリングを混ぜ合わせたビートの上で、個性豊かな4人のラップが次々と繰り出されるスリリングな曲だ。タイトルからも予想できるように、日本人には少し引っ掛かる内容のリリックだが、それを割り引いても捨てがたい魅力がある。

また、本作に先駆けて公開された”People”は、本作の収録曲では唯一ウータン・クランのメンバー全員が集結した曲。ディプロマッツの”I've Got the Kind of Love”をサンプリングしたソウルフルなトラックの上で、各人が強烈な個性を発揮している佳作。ゲストとして招かれたレッドマンを含めると8人の大人数によるマイク・リレーだが、各人のキャラがきちんと立っているから恐ろしい。

そして、アルバムの収録曲では珍しい、ヴォーカル・パートが入っている”G'd Up”はメソッド・マンに加えてムジー・ジョーンズとR-ミーンが参加した作品。ウータンの面々に比べると、知名度では大幅に劣る面々だが、メソッド・マンに負けない存在感を発揮している。ほかの曲に比べると、ドラムの音を強調したシンプルなトラックだが、サビを担当する泥臭いヴォーカルと合わさるとちょうどいい感じに聴こえる。

尖ったビートとラップで華々しいデビューを飾った彼らだが、今回のアルバムでは2000年以降の彼らの作品で頻繁に見られるような、強烈な印象を与えつつ、聴き手を疲れさせないポップな楽曲が増えていると思う。音楽界のトップ・スターから気鋭のビート・メーカーまで、様々なタイプのアーティストとコラボレーションしながら、映画音楽にも携わるなど、様々な仕事で結果を残してきた経験が、先鋭的だけど大衆的という、独特な作風を育んだのだと思う。

強い個性と、それを支える確かな実力を備えた彼らにしか作れない唯一無二の作品。色々なラッパーが試行錯誤しながら新しい音楽を生み出していた、90年代のヒップホップ・シーンの熱気と、ベテランらしい高い完成度が同居した、懐かしさと新鮮さが同居した面白い音楽だ。

Producer
RZA, Mathematics

Track List
1. Wu-Tang the Saga Continues Intro feat. Rza
2. Lesson Learn'd feat. Inspektah Deck and Redman
3. Fast and Furious feat. Huehef and Raekwon
4. Famous Fighters (Skit)
5. If Time Is Money (Fly Navigation) feat. Method Man
6. Frozen feat. Method Man, Killa Priest and Chris Rivers
7. Berto and the Fiend (Skit) feat. Ghostface Killah
8. Pearl Harbor feat. Ghostface Killah, Method Man, RZA, and Sean Price
9. People Say Wu-Tang Clan feat. Redman
10. Family (Skit)
11. Why Why Why feat. RZA and Swinkah
12. G'd Up feat. Method Man, R-Mean and Mzee Jones
13. If What You Say Is True Wu-Tang Clan feat. Streetlife
14. Saga (Skit) feat. RZA
15. Hood Go Bang feat. Redman and Method Man
16. My Only One feat. Ghostface Killah, RZA, Cappadonna and Steven Latorre
17. Message D5. The Saga Continues Outro feat. RZA



WU-TANG: THE SAGA CONTINUES [CD]
WU-TANG CLAN
36 CHAMBERS ALC/EONE
2017-10-13

記事検索
タグ絞り込み検索
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

アクセスカウンター


    にほんブログ村 音楽ブログへ
    にほんブログ村
    にほんブログ村 音楽ブログ ブラックミュージックへ
    にほんブログ村

    音楽ランキングへ

    ソウル・R&Bランキングへ
    LINE読者登録QRコード
    LINE読者登録QRコード
    メッセージ

    名前
    メール
    本文
    • ライブドアブログ