melOnの音楽四方山話

オーサーが日々聴いている色々な音楽を紹介していくブログ。本人の気力が続くまで続ける。

男性グループ

W-inds. - DoU -EP [2020 Flight Master, Pony Canyon]

安室奈美恵、SPEED、DA PUMP、三浦大知、きら星のように輝くスターを輩出し、日本のR&B界を牽引してきたライジング・プロダクション。同事務所の中でも一際強い個性を放っているのが、橘慶太、千葉涼平、緒方龍一からなる三人組、W-inds.だ。

ライジングのヴォーカル・グループには珍しい、全員が沖縄以外の出身者(橘が福岡、緒方 と千葉が北海道出身)という彼ら。2001年に”Forever Memories”でメジャー・デビューを果たすと、瞬く間に紅白歌合戦やレコード大賞の常連となる人気グループに上り詰めた。

また、2003年には台湾のチャートで日本人男性歌手として初の1位を獲得。2009年には当時から、アジア全域で絶大なる人気を博していたBIGBANGG-Dragonとのコラボレーション・シングル”Rain Is Fallin”’をリリース。アジアを代表する男性アーティストの夢の共演ということもあり、日本、韓国に留まらない話題曲となった。

そして、近年は橘がソング・ライティングやトラックメイクにも才能を発揮、本職にも負けないビート・メイクの技術で、世界でも珍しい、「セルフ・プロデュースができるダンス・ヴォーカル・グループ」として確固たる地位を築いている。

本作は昨年リリースされた”Get Down”以来、約半年ぶりとなる新作。作詞、作曲、編曲すべてが橘慶太の手による力作となっている。

タイトル曲の”DoU”は、90年代に流行したしなやかなメロディのR&Bと、トロピカル・ハウスを融合したダンス・ナンバー。色っぽいメロディやトラックに合わせて、地声からファルセットまでスムーズにつなぐヴォーカルの技術が聴きどころ。歌って踊るヴォーカルには難しいヴォーカル・アレンジを、敢えて取り入れる大胆さに驚かされる。

続く、”Candy”は彼らの真骨頂ともいえるミディアム・テンポのR&B、シンセサイザーのリフと軽快なビートが印象的なトラックはデビュー当時の彼らを彷彿させる。しかし、ヴォーカルのアレンジやそれぞれの楽器の音色は現代の彼らの音楽に合わせてアップデートされていて、過去の作品の焼き直しとは一線を画している。

そして、通常盤のみにおさめられている”We Dont’ You Talk Anymore...”は、彼らとも親交が深い、Sky-HiことAAAの日高光啓を起用したヒップホップ・チューン、Diploのサウンドを柔らかくしたような、ポップなEDMのビートの上で、ファルセットを多用した歌を聴かせる橘と、ゆったりとしたラップを披露する日高のコンビネーションが光る曲。EDMとヒップホップを組み合わせたポップスといえば、BIGBANGやBLACKPINKといった韓国の人気アーティストが得意にするスタイルだ。しかし、この曲では同じスタイルを取り入れながら、より軽妙なアレンジにすることできちんと差別化している。

本作から感じるのは、彼らの音楽に対する誠実さと探求する心の強さだ。歌やダンスのスキルに磨きをかけつつ、楽曲制作にも挑戦するメンバーのエネルギーは生半可なものではない。しかも、その制作技術も、本職のプロデューサーに師事し、細かな音の違いにも気を配るなど、人気アーティストの余技とは言えないものになっている。その一方で、本職のラッパーとの実力差が明確なラップ・パートについては、外部のラッパーを招聘することで対応するなど。きちんと他のミュージシャンとも協働している。この、「良いものを作るために、自分達で取り組むことと、外部のミュージシャンの協力を仰ぐ場面を使い分ける誠実さ」が、彼らの活躍の舞台を世界に広げ、息の長い活動を可能にしているのだと思う。

歌とダンスを高いレベルでこなし、周囲の人々と協力しながら自分たちの音楽を作る彼らの姿は、アイドルとアーティストの新しい形を示している。世界を席巻する韓国のボーイズ・バンドとは異なるスタイルで音楽の可能性を模索する、稀有なグループだ。

Producer
Keita Tachibana

Track List
1.DoU
2.Candy
3.We Don't Need To Talk Anymore... feat. Sky-Hi



DoU [初回盤][CD+DVD]
w-inds.
ポニーキャニオン
2020-01-22


Got7 - Present: You [2018 JYP Entertainment]

韓国出身者としては初の全米シングル・チャート入りを果たしたワンダー・ガールや、2018年にロックネイションからアルバム『Ask Bout Me』をリリースしたジェイ・パクも在籍していた2PM、日本人メンバーがサブ・ヴォーカルを担当していることでも話題になったTWICEや、BTSを育てたバン・ヒュンソクなど、個性豊かなタレントを送り出してきたJYPエンターテイメント。

同社から2014年にデビューしたのが、様々な地域から集まった7人のメンバーからなる男性ヴォーカル・グループ、ガット7。

韓国出身のJBとJr.による音楽ユニット、JJプロジェクトに5人のメンバーを加えたこのグループは、韓国出身のJBとタイ出身のバンバンをリード・ヴォーカルに据え、台湾系アメリカ人のマークと香港出身のジャクソンがラップを担当するという、韓国でも珍しい国際色豊かな編成に加え、ワンダー・ガールズや2PMでも見せていた、欧米のR&Bと韓国の歌謡曲を融合した音楽性で台頭。メンバーのジャクソンは、中国語のソロ作品もリリースし、アメリカのコンピレーション・アルバムに中国を代表するヒップホップ・アーティストとして取り上げられるなど、常に話題をふりまいてきた。

このアルバムは、彼らにとって通算4枚目(韓国語作品としては3枚目)のスタジオ・アルバム。グループとしての新曲に加え、各メンバーのソロ曲を収めている。また、本作は韓国に加えて、台湾のアルバム・チャートを制覇し、日本やイギリス、フランスのヒット・チャートでも最高の成績を収めるなど、彼らのキャリアを代表する作品となった。

本作の1曲目、アルバムからの先行シングルである”Lullaby”は、宇宙少女やストレイ・キッズにも曲を提供しているプロダクション・チーム、フルブルームが制作を担当。柔らかい音色のシンセサイザーを使った伴奏と、音数を絞ったトラックは、ドレイクの近作にも似た雰囲気。モダンなトラックの上で、エリック・ベリンガーニーヨの音楽を彷彿させる甘いメロディを、じっくりと歌い上げるJBとバンバンの甘酸っぱいハイ・テナーを、マークとジャクソンのラップが適度に引き締めているところに注目してほしい。本作の最後には、同曲の英語版、中国語版、スペイン語版が収められているが、こちらの完成度も高い。

それ以外の曲では、”No One Else”の存在感が光っている。倖田來未や少女時代など、アジアを中心に多くの有名歌手を手掛けてきたスウェーデンのプロデューサー、リンドセイ・ラドウィックと共作した楽曲は、ジェイソン・デルーロやジャスティン・ビーバーの音楽にも似た、爽やかなメロディと軽快なトラックが格好良いダンス・ナンバー。四つ打ちのビートの上で、軽やかに歌うメンバーの姿が印象的。ポップ・スターとしての彼らの能力の高さを感じさせる作品だ。

また、メンバーのソロ曲に目を向けると、JBのソロ曲である”Sunrise”は、2000年代のR.ケリーを思い起こさせるロマンティックなバラード。ローズインピースと共作した楽曲は、ラップのようなフレーズを随所に挟み込んだワイルドでセクシーなメロディと、ファルセットを組み合わせながら、一つ一つの言葉を丁寧に歌い上げるJBのヴォーカルが心に残る曲。曲作りを含め、彼の優れた音楽の才能が遺憾なく発揮されている。

だが、本作の隠れた目玉はジャクソンのソロ曲”Made It”だ。彼のソロ作品を数多く手掛けているボーイトイがプロデュースしたこの曲は、中国の民族音楽を思い起こさせる音色や、アクション映画のサウンドトラックを連想させる荒々しいストリングスを盛り込んだビートが光る作品。彼の母語である英語を駆使して、緩急をつけつつリスナーの懐に切り込んでいくラップは、クラブ・シーンからの叩き上げが多い中華圏のラッパーとは一味違う、力強さと華やかさが印象的だ。

このアルバムを通して強く感じたことは、各人が強烈な個性を発揮しつつ、グループとして一つの方向に進んでいる7人のチーム・ワークだ。メンバーのソロ曲では、躍動感のあるビートを使ったヒップホップや、色っぽいメロディのバラード、ラップを織り交ぜだダンス・ポップなど、自分達の志向を反映した色々なスタイルの楽曲を披露している。その一方で、グループ名義での曲は、多彩な音楽性の楽曲に各人の持ち味を盛り込みながら、一つの作品に集約している。この、各人の個性を磨きつつ、グループとして一つの作品を生み出そうとする団結力が、他のグループにはない魅力だと思う。

世界各地から集められ、厳しい環境のもとで鍛えられた7人にしか作れない、豊かな表現が心に残るアルバム。「アイドル・グループは各メンバーの個性が乏しい」と思っている人にこそ聴いてほしい、メンバーが個性を発揮しつつ、優れたチーム・ワークを見せる姿を存分に堪能できる佳作だ。

Producer
Full8loom, Mirror BOY, Ludwig Lindell, ROSEINPEACE, BOYTOY, Tobias Karlsson etc

Track List
1. Lullaby
2. Enough
3. Save Me (I'll Protect You)
4. No One Else
5. I Am Me
6. Sunrise - JB SOLO
7. OMW - MARK SOLO
8. Made It - JACKSON SOLO
9. My Youth - JINYOUNG SOLO
10. Nobody Knows - YOUNGJAE SOLO
11. Party - BAMBAM SOLO
12. Fine - YUGYEOM Solo
13. Lullaby - English Ver.
14. Lullaby - Chinese Ver.
15. Lullaby - Spanish Ver.
16. Lullaby - Inst Ver.




GOT7 3集 - Present : YOU
GOT7
JYP Entertainment
2018-09-17


BTS - Love Yourself: Answer [2018 BigHit, Columbia, Def Jam]

2018年5月にリリースされた「Love Yourself: Tears」が、アジア系ミュージシャンとして史上初の全米アルバム・チャート1位を獲得したBTS。2018年には4万人規模のニューヨーク公演や2万人規模のロンドン公演を含む大規模な世界ツアーを敢行するなど、今やアジアを代表するヴォーカル・グループとなったBTS。

このアルバムは、前作から僅か3か月という短い間隔でリリースされた彼らの新作。『Love Yourself: Tear』と2017年の『Love Yourself: Her』の収録曲に、既発曲のリミックス版と新曲を加えたベスト盤のようなアルバムになっている。

本作の目玉は、何といっても先行シングルの”IDOL”だろう。彼らの楽曲の大半を手掛けてきたPdoggが制作を担当したこの曲は、韓国の伝統音楽、サムルノリの要素を盛り込んだトラックが格好良いダンス・ナンバー。ビートの組み方のせいか、東アジアの音楽というよりも、レゲエやレゲトンのような中南米の音楽っぽく聴こえる。変則ビートに強い女性ラッパー、ニッキー・ミナージュをフィーチャーしたバージョンでは、女性でありながら男性顔負けの攻撃的なラップを繰り出すニッキーの姿を堪能できる。

これに対し、”Best of Me”の共作者でもあるDJスウィベル達が制作に関わった”I'm Fine”は、エレクトリック・ミュージックを取り入れたビートと2010年頃の韓国のポップスのような、起承転結がはっきりしたメロディは、新しいサウンドを積極的に取り入れてきた彼らが歌うと新鮮に聴こえる。ファルセットを効果的に使ったロマンティックなポップスのメロディと、EDMを取り入れた躍動感のあるビートの組み合わせは、ビッグバンの”Haru Haru”にも似ている。

それ以外の曲では、スロウ・ラビットが手掛けたジンのソロ曲”Epiphany”も見逃せない。アコースティック・ギターを軸にした伴奏と、ジンの持ち味である甘い歌声と豊かな表現力を引き出すダイナミックなメロディが魅力の雄大なバラード。ソロ作品をリリースしているラップ担当の3人の存在感が大きいグループだが、彼らに見劣りしない優れたヴォーカリストがいることが、グループの魅力であることを再認識させてくれる良曲だ。

また、ディスク2に収められた既発曲のリミックスでは、”MIC Drop (Steve Aoki Remix)(Full Length Edition)”が一番の注目株。昨年末にリリースされ、アジア人歌手の楽曲としてはPSYの”Hangover”以来となる全米シングル・チャート25位を記録したこの曲。今回のアルバム版では、シングル版でデザイナーのラップに差し替えれていた冒頭のラップ・パートを、オリジナル版と同じJ-ホープとシュガのラップに戻した、ミュージック・ビデオや音楽番組で披露されているアレンジを採用している。前半のJ-ホープ&シュガによる韓国語によるラップ・パートから、英語のサビ、RMによる英語のラップまで、違和感なく繋ぐ、ヴォーカル・アレンジの巧みさは流石としか言いようがない。オリジナル版よりテンポが高く、歌い手の負荷が高いアレンジをシングルとしてリリースした度胸も恐ろしい。

余談だが、この曲は「オリジナルのトラックによる韓国語版」「オリジナルのトラックによる日本語版」「スティーヴ・アオキのトラックによる英語詞のリミックス版」「スティーヴ・アオキのトラックとデザイナーのラップを加えた英語版のリミックス版」と、複数のバージョンが作られ、その全てが別々の市場でヒットするという珍しい作品でもある。このことからも、彼らの音楽の汎用性の高さがうかがい知れる。

今回のアルバムは、2016年に『Wings』が各国のヒットチャートを席巻して以来、世界を相手に戦うようになった彼らの活動を総括したものになっている。

そして、本作を通して感じたのは、彼らの音楽の完成度と優れたバランス感覚だ。”Best Of Me”や”MIC Drop (Steve Aoki Remix)”のような欧米の尖ったクリエイターと組んだ曲や、”Airplane pt.2”や”IDOL”のような、アジアや中南米のサウンドを取り入れた曲に取り組む一方、”DNA”や”Fake Love”のように韓国のトレンドを踏襲した曲も多くを占めている。また、アルバムには、”Mic Drop”や”Tears”のようなラップが大部分を占める曲と、”The Truth Untold”や”Epiphany”のようなじっくりと歌を聴かせる曲がバランスよく配置されている。この、「アジアを代表する男性グループ」という自分達のポジションを踏まえつつ、欧米の音楽スタイルを積極的に取り入れる姿勢と、才能と人間的な魅力に恵まれたメンバーを揃え、全員の持ち味を引き出す姿勢。この二つを高いレベルで実現できたことが、彼らの独創的でバラエティ豊かな音楽を生み出している。

「7人が揃ってこそのBTS」であることを再確認させられる良作。とびぬけた個性を持つソロ・アーティスト達がしのぎを削る2018年。各メンバーが互いの個性を引き出し合うことで、表現の幅を広げる彼らの音楽は、2020年のトレンドを先取りするものと言っても過言ではないかもしれない。

Producer
Pdogg, Jordan "DJ Swivel" Young, Slow Rabbit, Andrew Taggart, "hitman" bang, Steve Aoki etc

Track List
1. Euphoria
2. Trivia 起 : Just Dance
3. Serendipity (Full Length Edition)
4. DNA
5. Dimple
6. Trivia 承 : Love
7. Her
8. Singularity
9. FAKE LOVE
10. The Truth Untold feat. Steve Aoki
11. Trivia 轉 : Seesaw
12. Tear
13. Epiphany
14. I'm Fine
15. IDOL
16. Answer : Love Myself

Disc 2
1. Magic Shop
2. Best Of Me
3. Airplane pt.2
4. Go Go
5. Anpanman
6. MIC Drop
7. DNA (Pedal 2 LA Mix)
8. FAKE LOVE (Rocking Vibe Mix)
9. MIC Drop (Steve Aoki Remix)(Full Length Edition)
10. IDOL feat. Nicki Minaj






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