ブラック・ミュージック千本ノック~SoulとR&Bと色々な音楽~

管理人が手に入れたR&Bのアルバム、1000枚の紹介文を書き続けるブログ その先に見えるものは天国か地獄か・・・

バンド・ユニット

Maroon 5 - Red Pill Blues [2017 222 Records, Interscope]

2002年にアルバム『Songs About Jane』で表舞台に登場して以来、発売した5枚のアルバム全てが、アメリカでプラチナ・ディスクを獲得し、複数の国でゴールド・ディスクに認定されるなど、21世紀を代表するロック・バンドとして、多くの足跡を残してきたマルーン5。

ロス・アンジェルスの同じハイスクールに通っていた、4人によって結成されたバンド「カーラズ・フラワーズ」が前身である彼らは、メンバーの脱退や復帰、加入を経験しながら、レコーディングやライブを継続的に行ってきた。また、2010年以降は、オーディション番組で共演したことがきっかけに作られた、クリスティーナ・アギレラとのコラボレーション・シングル”Moves like Jagger”を皮切りに、ラッパーやR&Bシンガーとの共作にも積極的に取り組んできた。そして、2014年以降は、ソロ・アーティストとしても実績豊富な、PJモートンをキーボード奏者として迎え、これまで以上にR&B志向を強めるなど、着実にファン層を広げていた。

本作は、2014年の『V』以来となる、通算6枚目のスタジオ・アルバム。前作に引き続き、インタースコープから配給されたアルバムで、プロデュースはヴォーカルのアダムのほか、ディプロやジョン・ライアンといった、各ジャンルを代表するヒット・メイカーが担当。ゲストにはSZAケンドリック・ラマーなど、今をときめく面々が名を連ねた、トップ・ミュージシャンにふさわしい作品になっている。

まず、このアルバムの目玉といったら、なんといっても”What Lovers Do”だろう。キーボード担当のサム・ファーラーが制作を主導し、フィーチャリング・アーティストとしてSZAを招いたこの曲は、シンセサイザーと乾いた音色の生演奏を巧みに組み合わせたサウンドと、爽やかな歌声の組み合わせが心地良いミディアム・ナンバー。カラっとした音色と甘酸っぱいテナー・ヴォイスをフル活用した作風は、ファレル・ウィリアムスをフィーチャーしたカルヴィン・ハリスの”Feels”によく似ている。

これに対し、もう一つのシングル曲である”Wait”は、彼らの楽曲のほか、ワン・ダイレクションなどの作品に携わっているジョン・ライアンが制作に参加したミディアム・バラード。大部分の伴奏をシンセサイザーで録音した、R&B寄りの伴奏をバックに、アダムの甘い歌声を思う存分堪能できる。シンセサイザーを多用した伴奏と、スウィートな歌声の組み合わせは、ウィークエンドの音楽を連想させる。

そして、クラブDJの世界では常にトップクラスの人気を誇るディプロと、同分野を代表するシンガーの一人として、高い評価を受けているジュリア・マイケルズを起用した”Help Me Out”は、切ないメロディが印象的なアップ・ナンバー。甘い歌声のアダムと鋭い歌声のジュリアのコンビネーションが光る佳曲だ。ディプロ達が作る、洗練された伴奏も見逃せない。

しかし、アルバムの収録曲でも特に異彩を放っているのが、ケンドリック・ラマーを招いた”Don't Wanna Know”だろう。ジャスティン・ビーバーの”Love Yourself”や、映画「シング」の主題歌であるスティーヴィー・ワンダーの”Faith”などを手掛けている、ベニー・ブランコがプロデュースした、ウィズ・カリファやエイコンの作品を彷彿させる、陽気なビートが心地よいミディアム・ナンバーだ。カリプソやアフリカ音楽の要素を盛り込んだこの曲は、軽妙な歌を聴かせるアダムと、普段の攻撃的なイメージとは全く違う、リズミカルなラップを披露するケンドリック・ラマーのコンビネーションが面白い。ポップで洗練されたサウンドが魅力のロック・バンドと、ハードコアなラップをウリにするラッパーのコラボレーションとは思えない、意外性が魅力だ。

今回のアルバムでは、前作に引き続き、R&Bやヒップホップへの傾倒を深めた、スタイリッシュなメロディと伴奏の楽曲が並んでいる。シングル化された “What Lovers Do”や“Don’t Wanna Know”のように、ほとんどR&Bといっても過言ではない、電子楽器を駆使したモダンなビートを取り入れた作品も多い。にもかかわらず、R&Bシンガーやラッパーの作品と一線を画しているのは、甘酸っぱい歌声で爽やかに歌い上げる、アダムの存在が大きいと思う。黒人シンガーとは一味違うヴォーカルで、R&Bの手法を盛り込んだ楽曲を作り上げたことが、彼ら凄いところだろう。

現代のアメリカの音楽界のトレンドになっている、ヒップホップやR&Bを吸収しつつ、自分達の音楽に昇華した面白い作品。ビートルズ以降、色々な国のミュージシャンが取り組んできた、黒人音楽を取り込んだ演奏の、一つの完成形ともいえるアルバムだ。

Producer
Adam Levine, Jacob "J Kash" Hindlin, Jason Evigan, Diplo, John Ryan, Benny Blanco etc

Track List
(DISC 1)
1. Best 4 U
2. What Lovers Do feat. SZA
3. Wait
4. Lips On You
5. Bet My Heart
6. Help Me Out with Julia Michaels
7. Who I Am feat. LunchMoney Lewis
8. Whiskey feat. A$AP Rocky
9. Girls Like You
10. Closure
11. Denim Jacket
12. Visions
13. Don’t Wanna Know feat. Kendrick Lamar
14. Cold ft. Future

(DISC 2)
1. Moves Like Jagger
2. Dayllight
3. Maps
4. Stereo Hearts
5. This Love, with 6. Animals





レッド・ピル・ブルース(デラックス盤)
マルーン5
ユニバーサル ミュージック
2017-11-01

N.E.R.D. - No One Ever Really Dies [2017 I am Other, Columbia]

2014年にソロ名義でリリースした”Happy”が世界的なヒットとなり、その後も、映画「ミニオンズ」シリーズや「ドリーム」などの映画のサウンドトラックをプロデュース。それ以外にも、ダフト・パンクやカルヴィン・ハリスの作品で自慢の喉を披露している、売れっ子ミュージシャンのファレル・ウィリアムス。そして、彼と組んだプロダクション・チーム、ネプチューンズの名義で、ジェイZやノー・ダウト、宇多田ヒカルなどにヒット曲を提供してきたチャド・ヒューゴ。彼らにシェイ・ヘイリーなどのメンバーを加えたバンドが、このN.E.R.D.だ。

デビュー前から、ネプチューンズが携わった作品のレコーディングやライブなどで腕を振るってきた彼らは、2002年にアルバム『In Search Of...』を発表。乾いた音色を使った軽快なトラックが魅力のネプチューンズとは全く異なる、荒々しいギターの演奏が光る”Rock Star”などのヒット曲を残すが、 商業的には今一歩の結果に終わる。その後、2004年に『Fly or Die』をリリース。同作からシングル・カットされた”She Wants to Move”がQ-ティップやデ・ラ・ソウルなどが名を連ねる、ネイティブ・ダンの面々を起用したリミックス・ヴァージョンも含めヒット。また、2008年には『Seeing Sounds』、2010年には『Nothing』を発売している。

このアルバムは、前作から約7年ぶりとなる通算5枚目となるスタジオ・アルバム。リアーナケンドリック・ラマー、エド・シーランといった、今をときめく人気ミュージシャンが顔を揃えた、ヒット・メイカーらしい豪華な作品になっている。

アルバムの1曲目は、ファレルに加え、トリッキー・スチュアートのところで活動していた、カーク・ハレルが制作に携わった”Lemon”。ゴムボールのように跳ねるビートと、ピコピコという電子音を組み合わせたトラックは、クリプスの”Grindin'”などで一世を風靡した、2000年代初頭のネプチューンズを思い起こさせる。しかし、ドラムン・ベースを連想させるビートや、曲調を次々と切り替えてリスナーの度肝を抜く手法は、ヒップホップの枠に捉われないN.E.R.D.っぽい。変則的なビートをしっかりと乗りこなすリアーナの存在も見逃せない。

これに対し、グッチ・メインウェイルという、重くパンチの効いた声が魅力のラッパー二人が参加した”Voilà”は、乾いたギターの音色が心地よいアップ・ナンバー。ギターやベースを使って、ロックの要素を盛り込むスタイルは、デビュー作のころから変わらないN.E.R.D.らしいものだ。肩の力を抜いたラップで、軽快な伴奏に溶け込んだ2人のラップもいい味を出している。

また、フューチャーを招いた”1000”は、アーハの”Take on Me”を思い起こさせる、軽快な伴奏が格好良いアップ・ナンバー。途中で細かく刻んだ声ネタを盛り込んだり、クイーンの”We Will Rock You”を連想させるフレーズが飛び出すのも面白い。大胆な発想で強烈な印象を残しつつ、ポップスとして完成させる彼らのスキルが発揮された良曲だ。

そして、本作の隠れた目玉が、ケンドリック・ラマーをフィーチャーした”Don't Don’t Do It!”だ。カーティス・メイフィールドの”Tripping Out”を彷彿させる、しっとりした伴奏の上で切ない歌声を聴かせたと思いきや、途中からパンク・ロックに切り替わる奇想天外な曲。今をときめくケンドリック・ラマーが、唸るようなギターの演奏をバックに歌う光景は必聴。

個性的なサウンドで多くのヒット曲を生み出してきた、ネプチューンズやファレルの作品とは一味違う、ドラムン・ベースやグライム、パンク・ロックといった、色々な音楽のエッセンスを取り入れた音楽性が魅力のN.E.R.D.。久しぶりの新作でも、彼らの持ち味は変わっていない。

しかし、今回の作品では”Lemon”のように、ヒップホップのトレンドと呼応したような作品が目立っている。それは、彼ら地震がトレンドを意識したことも大きいが、ブラッドオレンジソランジュをプロデュースし、ゴリラズのアルバムに多くのラッパーが参加したように、ロックやエレクトロ・ミュージックとヒップホップやR&Bの距離が縮まり、混ざり合った曲が増えたことも大きいと思う。そんな、色々なジャンルの音楽が混ざり合った時代を先取りしつつ、流行とは一定の距離を置いた作品に落とし込んでいることが、彼らの音楽の魅力だと思う。

新しいトレンドを生み出してきた彼らの、本気が伺える佳作。これまでの作品同様、商業的に大きく成功するタイプの作品ではないが、今後のヒップホップやR&Bのトレンドを先取りした演奏が楽しめる。音楽のファッションショーといった趣のアルバムだ。

Producer
Pharrell Williams, Chad Hugo, Kuk Harrell, Mike Larson, Rhea Dummett

Track List
1. Lemon feat. Rihanna
2. Deep Down Body Thurst
3. Voilà feat. Gucci Mane and Wale
4. 1000 feat. Future
5. Don't Don’t Do It! feat. Kendrick Lamar
6. ESP
7. Lightning Fire Magic Prayer
8. Rollinem 7's feat. André 3000
9. Kites feat. Kendrick Lamar and M.I.A.
10. Secret Life Of Tigers
11. Lifting You feat. Ed Sheeran




No One Ever Really Dies
N.E.R.D
Sony
2017-12-15

THE BAWDIES - NEW [2017 Victor Entertainment]

小学校の頃からの同級生だったというROY(Vo,B)、JIM(G,Cho)、MARCY(Dr,Cho)に、高校で同じクラスになったTAXMAN(G,Vo)を加えた4人によるロック・バンド、ボウディーズ。彼らはメジャー・デビューの前から海外ツアーやフジ・ロック・フェスティバルを経験するなど、ライブに定評のある実力派のロック・バンドとして、その名を轟かせてきた。

2009年にラヴ・サイケデリコのナオキがプロデュースした曲を含むアルバム『THIS IS MY STORY』でメジャー・デビューすると、50年代、60年代のロックン・ロールを取り入れた武骨なサウンドと洗練されたビジュアルのギャップが注目を集めCDショップ大賞を受賞。その後も精力的にライブやレコーディングを行い、2011年には初の武道館公演を敢行、2015年には2度目の武道館公演とヨーロッパ・ツアーを行っている。

このアルバムは、2015年の『Boys!』以来、2年ぶりとなる通算6枚目(カヴァー集の『Going Back Home』を含むと7枚目)のオリジナル・アルバム。プロデューサーには、これまでの作品にも携わっているNAOKIとペトロールズの長岡亮介を起用。彼らは演奏でも参加し、4人が生み出すパワフルなサウンドに彩りを添えている。

アルバムのオープニングを飾るのは、本作からの先行シングル”THE EDGE”。彼ら自身のプロデュースによるこの曲は、「崖っぷち」というタイトルの通り、荒々しいサウンドと余計な音をそぎ落としたシンプルなアレンジが格好良い曲。4人のパワフルな演奏が魅力の彼らだが、この曲では彼らの持ち味が一際強調されている。

また、”45s”は2016年にリリースされたゴー・ゴー・バニラズとのスプリット・シングル『Rockin' Zombies』に収録されていた楽曲。後輩との共演を意識したのか、彼らの初期作品に近い、粗削りな演奏と勢いのある歌唱が印象的。パンク・ロックの爆発するようなエネルギーとロックンロールの野太いサウンド、リズム&ブルースの躍動感が融合した良曲だ。

そして、ペトロールズの長岡亮介がプロデュースした”SUNSHINE”は、50年代、60年代のポピュラー・ミュージックが持つ温かい雰囲気を取り込んだミディアム・ナンバー。乾いたギターの音色としゃがれたロイの歌声が、チャック・ベリーを彷彿させる。パンク・バンド=アップ・ナンバー中心というイメージを良い意味で裏切る、彼らの音楽への造詣の深さが垣間見える佳曲だ。

それ以外の曲では、メジャー・デビュー以降、多くの作品に携わってきたナオキがプロデュースした”NEW LIGHTS”も見逃せない曲だ。ラヴ・サイケデリコの曲を思い起こさせる、気怠い雰囲気とモータウンやスタックスの音楽を連想させる、太くて温かい音色が印象的なミディアム・ナンバー。ラジオや書籍、ライブの開園前BGMなどでエッタ・ジェイムスやボビー・パターソン、レイ・チャールズなどを取り上げてきた彼らしい、リズム&ブルースやソウル・ミュージックへの愛着が感じられる作品だ。

今回のアルバムでは、年季を重ねて若手から中堅へと立場が変わっていく中で、自身の原点に立ち返った作品だと思う。ソニックスやオーティス・レディングなど、様々なジャンルのミュージシャンを貪欲に研究する情熱と、一音目が鳴った瞬間に聴衆を自分達の世界に引き込む存在感、最初から最後まで衰えることのないエネルギッシュなパフォーマンスは、デビュー当時の嗜好を残しつつ、年季を重ねて実力をつけた現在の彼ららしいものだと思う。

ロック・バンドという手法で、オーティス・レディングやエッタ・ジェイムスのような往年の黒人ミュージシャンが持つ、エネルギッシュで躍動感あふれるサウンドを再現した面白い作品。普段はあまり現代のロックを聴かない、昔の音楽を中心に聴く人にこそ手に取って欲しい。

Producer
BAWDIES, 長岡亮介, NAOKI

Track List
1. THE EDGE
2. HELLO
3. 45s
4. DANCING SHOES[“NEW” Version]
5. RAINY DAY
6. SUNSHINE
7. POPULAR GIRL
8. MAKE IT SNOW[“NEW” Version]
9. MY EVERYTHING
10. SHAKE, SHOUT & SOUL
11. HOT NIGHT, MOON LIGHT
12. NEW LIGHTS





NEW (初回限定盤)
THE BAWDIES
ビクターエンタテインメント
2017-02-08

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