ブラック・ミュージック千本ノック~SoulとR&Bと色々な音楽~

管理人が手に入れたR&Bのアルバム、1000枚の紹介文を書き続けるブログ その先に見えるものは天国か地獄か・・・

バンド・ユニット

THE BAWDIES - NEW [2017 Victor Entertainment]

小学校の頃からの同級生だったというROY(Vo,B)、JIM(G,Cho)、MARCY(Dr,Cho)に、高校で同じクラスになったTAXMAN(G,Vo)を加えた4人によるロック・バンド、ボウディーズ。彼らはメジャー・デビューの前から海外ツアーやフジ・ロック・フェスティバルを経験するなど、ライブに定評のある実力派のロック・バンドとして、その名を轟かせてきた。

2009年にラヴ・サイケデリコのナオキがプロデュースした曲を含むアルバム『THIS IS MY STORY』でメジャー・デビューすると、50年代、60年代のロックン・ロールを取り入れた武骨なサウンドと洗練されたビジュアルのギャップが注目を集めCDショップ大賞を受賞。その後も精力的にライブやレコーディングを行い、2011年には初の武道館公演を敢行、2015年には2度目の武道館公演とヨーロッパ・ツアーを行っている。

このアルバムは、2015年の『Boys!』以来、2年ぶりとなる通算6枚目(カヴァー集の『Going Back Home』を含むと7枚目)のオリジナル・アルバム。プロデューサーには、これまでの作品にも携わっているNAOKIとペトロールズの長岡亮介を起用。彼らは演奏でも参加し、4人が生み出すパワフルなサウンドに彩りを添えている。

アルバムのオープニングを飾るのは、本作からの先行シングル”THE EDGE”。彼ら自身のプロデュースによるこの曲は、「崖っぷち」というタイトルの通り、荒々しいサウンドと余計な音をそぎ落としたシンプルなアレンジが格好良い曲。4人のパワフルな演奏が魅力の彼らだが、この曲では彼らの持ち味が一際強調されている。

また、”45s”は2016年にリリースされたゴー・ゴー・バニラズとのスプリット・シングル『Rockin' Zombies』に収録されていた楽曲。後輩との共演を意識したのか、彼らの初期作品に近い、粗削りな演奏と勢いのある歌唱が印象的。パンク・ロックの爆発するようなエネルギーとロックンロールの野太いサウンド、リズム&ブルースの躍動感が融合した良曲だ。

そして、ペトロールズの長岡亮介がプロデュースした”SUNSHINE”は、50年代、60年代のポピュラー・ミュージックが持つ温かい雰囲気を取り込んだミディアム・ナンバー。乾いたギターの音色としゃがれたロイの歌声が、チャック・ベリーを彷彿させる。パンク・バンド=アップ・ナンバー中心というイメージを良い意味で裏切る、彼らの音楽への造詣の深さが垣間見える佳曲だ。

それ以外の曲では、メジャー・デビュー以降、多くの作品に携わってきたナオキがプロデュースした”NEW LIGHTS”も見逃せない曲だ。ラヴ・サイケデリコの曲を思い起こさせる、気怠い雰囲気とモータウンやスタックスの音楽を連想させる、太くて温かい音色が印象的なミディアム・ナンバー。ラジオや書籍、ライブの開園前BGMなどでエッタ・ジェイムスやボビー・パターソン、レイ・チャールズなどを取り上げてきた彼らしい、リズム&ブルースやソウル・ミュージックへの愛着が感じられる作品だ。

今回のアルバムでは、年季を重ねて若手から中堅へと立場が変わっていく中で、自身の原点に立ち返った作品だと思う。ソニックスやオーティス・レディングなど、様々なジャンルのミュージシャンを貪欲に研究する情熱と、一音目が鳴った瞬間に聴衆を自分達の世界に引き込む存在感、最初から最後まで衰えることのないエネルギッシュなパフォーマンスは、デビュー当時の嗜好を残しつつ、年季を重ねて実力をつけた現在の彼ららしいものだと思う。

ロック・バンドという手法で、オーティス・レディングやエッタ・ジェイムスのような往年の黒人ミュージシャンが持つ、エネルギッシュで躍動感あふれるサウンドを再現した面白い作品。普段はあまり現代のロックを聴かない、昔の音楽を中心に聴く人にこそ手に取って欲しい。

Producer
BAWDIES, 長岡亮介, NAOKI

Track List
1. THE EDGE
2. HELLO
3. 45s
4. DANCING SHOES[“NEW” Version]
5. RAINY DAY
6. SUNSHINE
7. POPULAR GIRL
8. MAKE IT SNOW[“NEW” Version]
9. MY EVERYTHING
10. SHAKE, SHOUT & SOUL
11. HOT NIGHT, MOON LIGHT
12. NEW LIGHTS





NEW (初回限定盤)
THE BAWDIES
ビクターエンタテインメント
2017-02-08

dvsn - Morning After [2017 OVO Sound Warner Bros.]

2006年にドレイクが設立。当初は彼のミックス・テープを配給するためのレーベルだったが、2012年以降は、ワーナー・ミュージックと契約した彼が率いるレーベルとして多くの人気ミュージシャンやクリエイターを輩出しているOVOサウンド。当初はボイ・ワン・ダやT-マイナスといった、プロデューサーが主力だったが、2013年のパーティーネクストドアやマジッド・ジョーダンを皮切りに、シンガー・ソングライターや音楽ユニットとも契約するようになる。特に、パーティーネクストドアは2枚のアルバムを全米R&Bチャートの1位に送りこむなど、レーベル内でもドレイクに次ぐ華々しい成果を上げてきた。

dvsnはシンガー・ソングライターのダニエル・ディレイと音楽プロデューサーのナインティーン85によるユニット。2015年に同レーベルと契約すると、翌年に発表した1枚目のフル・アルバム『Sept. 5th』がR&Bチャートの17位となるスマッシュ・ヒット。マックスウェルを彷彿させる、ダニエルの繊細でしなやかなヴォーカルと、ナインティーン85が作り出す洗練されたトラックが話題になった。

このアルバムは、前作から約1年ぶりとなる2枚目のフル・アルバム。制作には2人に加えレーベル・メイトの40や、ドレイクの作品にも数多く携わっているマニーシュ、オランダの人気ソングライター、ロビン・ハンニバル等が参加。前作の手法を踏襲しつつ、それを拡大したスタイリッシュなR&Bを聴かせている。

アルバムに先駆けてリリースされたシングル曲”Think About Me”は、制作を2人、プロデュースをナインティーン85が担当したバラード。重い音を使ったビートを軸にしたトラックと、みずみずしいヴォーカルのコンビネーションが魅力のバラード。浮遊感が心地よい上物が彼の色っぽい歌声を引き立てている。

これに続く”Don't Choose”はパーティーネクストドアがソングライティングに参加したスロー・ナンバー。彼の作品を連想させる、チキチキという音を使ったヒップホップ寄りのビートの上で、語り掛けるように歌う姿が印象的な曲。流れるようなメロディでありながら、ラップのように多くの言葉を盛り込むパーティーネクストドアのスタイルと、ナインティーン85が手掛けるシンプルなトラックの組み合わせが新鮮だ。コーラスとして組み込んだ、アイザック・ヘイズの歌声がアクセントになっている。

また、マニーシュが制作に携わった”Mood”は、ファルセットを多用した美しいメロディとピアノやギターの音色を巧みに取り入れたトラックづくりのセンスが光るスロー・ナンバー。高音を多用したスタイルはマックスウェルの”Fortunate”や”I Wanna Know”などを思い起こさせる。電子楽器を中心に使いつつ、アコースティック楽器のような音色を盛り込んで70年代のソウル・ミュージックのように聴かせる手法は面白い。

だが、本作の目玉は、二人で制作したスロー・ナンバー”P.O.V.”だろう。R.ケリーがペンを執ったマックスウェルのバラード”Fortunate”をサンプリングしたこの曲は、90年代のR&Bを思い起こさせる温かい音色のトラックと、ダニエルの繊細な歌声の組み合わせが気持ち良い作品。楽曲の冒頭で使われているマックスウェルの歌声が、ダニエルのきめ細かで滑らかな歌声を際立たせている。

彼の音楽は、レーベル・メイトのR&Bミュージシャンであるマジッド・ジョーダンやロイ・ウッズ、プラザと比べると、繊細な歌声の魅力を引き立たせる、流麗なメロディをじっくりと聴かせる作風が特徴的だ。シンプルなトラックとしなやかなメロディという、90年代から現代にかけて、色々なミュージシャンが挑戦し、ヒット曲を残してきたR&Bの王道ともいえるスタイルを取り入れながら、新しい音楽のように聴かせているのは、音の配置や響きにも配慮した彼らの高いスキルによるものが大きいと思う。

新しい音を取り入れているにもかかわらず、どこか懐かしい雰囲気を感じる佳作。90年代にR&Bを聴いていた人にお勧めしたい本格的なR&Bグループだ。

Producer
Nineteen85, 40, Alpha, Maneesh, Noël, Robin, Hannibal

Track List
1. Run Away
2. Nuh Time / Tek Time
3. Keep Calm
4. Think About Me
5. Don't Choose
6. Mood
7. P.O.V.
8. You Do
9. Morning After
10. Can't Wait
11. Claim
12. Body Smile
13. Conversations in a Diner






The Isley Brothers & Santana - Power Of Peace [2017 Sony Legacy]

57年にシングル”The Cow Jumped Over the Moon”で表舞台に登場して以来、60年もの間、音楽業界の一線で活躍しているソウル・グループ、アイズレー・ブラザーズ。一方、66年の結成以降、50年以上、コンスタントに作品を発表し、多くのステージに立ち続けたロック・バンド、サンタナ。この音楽業界屈指のキャリアを誇る、2組のベテランによる初のコラボレーション作品が『Power Of Peace』だ。

アイズレー・ブラザーズにとっては2006年の『Baby Makin' Music』以来、実に10年ぶり(ただし、2013年にはロナルドのソロ作品『This Song Is For You』がeOneから発売されている)、サンタナにとっては2016年の『Santana IV』以来のアルバムとなる本作。ロナルド(ヴォーカル)とアーニー(ギター)のアイズレー兄弟と、カルロス(ギター)とシンディ・ブラックマン(ギター)のサンタナ夫妻に加え、名うてのスタジオ・ミュージシャン達が参加。『Santana IV』や彼らのステージでも披露された、ソウル・ミュージックとロックの距離が近かった時代の、ダイナミックでワイルドな黒人音楽に取り組んでいる。

アルバムの1曲目は、チェンバー・ブラザーズの68年のヒット曲”Are You Ready People”(原題は”Are You Ready”)のカヴァー。ストリングスなどを使った分厚い演奏のオリジナルに対し、こちらではツイン・ギターやパーカッションなど、演奏者を絞った伴奏を取り入れている。荒々しいパーカッションの演奏が乱れ飛ぶ前奏から、鋭いギターの音色が耳に突き刺さるハードな伴奏へとつながる展開が格好良い。『It's Our Thing』や『Get Into Something』でも披露していた、ロナルドの激しいシャウトも聴きどころだ。

これに続くのは、ヴァージニア州ポーツマス出身のシンガー・ソングライター、スワンプ・ドッグが70年に発表した”Total Destruction To Your Mind”のカヴァー。原曲もギターやベースの音色を強調した、泥臭いロック・ナンバーだったが、彼らはそれをより攻撃的な作品にリメイク。鍵盤を叩くようなキーボードの伴奏や、荒っぽいヴォーカルはオリジナルを踏襲しているが、ダイナミックなギター・ソロを加えるなど、よりハードなアレンジを施している。バーケイズのような泥臭さと荒々しさが同居したロック・サウンドと、ロナルドの柔らかい歌声、スワンプ・ドッグのキャッチーなメロディを一つに融合させた面白い作品だ。

そして、スティーヴィー・ワンダーが73年に発表した楽曲”Higher Ground”のリメイクは、原曲よりもテンポを落とし、ドロドロとしたファンク・チューンにまとめ上げたミディアム・ナンバー。ハモンド・オルガンの伴奏を目立つように配置するなど、原曲の雰囲気を残しながら、ジミ・ヘンドリックスを思い起こさせる荒々しいギターの音色を加えるなど、オリジナルとは一味違うアレンジを施している。原曲を知らない人が聴いたら、ジミ・ヘンドリックスの曲のカヴァーと勘違いしてもおかしくない、ワイルドで幻想的なパフォーマンスが格好良い曲だ。

それ以外の曲で、ぜひ聞いてほしいのが、本作が初出となる”I Remember”だ。97年にシンディが制作したスロー・ナンバーは、シンディのキュートなヴォーカルと、ロナルド・アイズレーの滑らかなハイ・テナーの相性の良さが光る、ロマンティックなメロディの曲だ。曲の起承転結が明確な点や、しっとりとしたメロディは、アイズレー・ブラザーズやサンタナというよりも、アース・ウィンド&ファイアの”Reasons”や”After The Love Has Gone”にも近い印象。シンディの可愛らしいヴォーカルを優しく包み込む、ロナルドの貫禄あふれる歌声もいい味を出している。

今回のアルバムでは、スティーヴィー・ワンダーや、チェンバー・ブラザーズ、インプレッションズなど、60年代、70年代のソウル・ミュージックの名曲や、そのスタイルを踏襲した新曲を中心に、色々なスタイルの作品を収録している。しかし、どの曲も彼らの手による大胆なアレンジが施されており、何度も繰り返し聴かないと元ネタがわからないほど、大きく変わった曲も少なくない。だが、どれだけ奇想天外な解釈を加えても、当時の音楽によく似た雰囲気を感じることができるのは、刺々しいギターの音色や、力強いドラムの演奏、そして滑らかでグラマラスなロナルドのヴォーカルなど、彼らが経験し、演奏してきた、70年代のソウル・ミュージックのエッセンスを、丁寧に取り入れているからだろう。

色々なジャンルの音楽が花開き、融合と分裂を繰り返しながら互いに刺激を与えあっていた60年代後半から70年代の音楽の醍醐味を思う存分堪能できる傑作。人間が演奏する音楽の奥深さを感じてほしい。

Producer
Carlos Santana, Cindy Blackman Santana

Track List
1. Are You Ready People
2. Total Destruction To Your Mind
3. Higher Ground
4. God Bless The Child
5. I Remember
6. Body Talk
7. Gypsy Woman
8. I Just Want To Make Love To You
9. Love, Peace, Happiness
10. What The World Needs Now is Love Sweet love
11. Mercy Mercy Me (The Ecology)
12. Let The Rain Fall On Me
13. Let There Be Peace On Earth





パワー・オブ・ピース
サンタナ&アイズレー・ブラザーズ
SMJ
2017-08-09

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