melOnの音楽四方山話

オーサーが日々聴いている色々な音楽を紹介していくブログ。本人の気力が続くまで続ける。

配信限定

Maeta - Habits [2021 Roc Nation]

ヒップホップ界の帝王、ジェイZが創設し、リアーナ、ヴィック・メンサ、ジェダキスといった大物タレントを抱えるロック・ネイション

近年は、ジャマイカを代表するレゲエ・シンガーのブジュ・バントンや、AOMGとH1GHRミュージック、2つのレーベルを率いてアジアとアメリカのヒップホップ・シーンの橋渡しをしているジェイ・パクを引き込み、ポップ・ミュージックの一大帝国として確固たる地位を築いている。

ここに新たに加わったのが、若干20歳(本稿執筆時点)のR&Bシンガー、マエタだ。 インディアナポリス出身の彼女は、10代の頃から豊かな感受性と鋭い嗅覚が光る楽曲を次々と発表し、多くの人から注目を集めてきた。

今回のEPでは、アルバムに先駆けて発表された"Teen Scene"でケイトラナダとバディを起用し、それ以外の曲でも、テディ・ワトソンやDJマスタードといったヒットメーカーがプロデュースを担当。時代の最先端をひた走る楽曲と、現代のトレンドを押さえた楽曲をバランスよく並べている。 

また、彼女の歌もドレイクのようなラップと歌が融合したタイプのものから、エリカ・バドゥのように独特の節回しで歌うもの、レーベルの大先輩、リアーナにも似たじっくりと歌い込むものまで、曲調に応じて様々なスタイルを使い分けている。

ただ、彼女の声質自体はジェネイ・アイコのような可愛らしいソプラノ・ヴォイスのため、どんな曲でもポップに聴こえる。この斬新さと親しみやすさの絶妙なバランスが、彼女の音楽の特徴であり面白さなのだ。

新しい音を積極的に取り入れ、独自の世界観を表現しつつ、あくまでもポップスとして聴かせている。アーティストとして必要な能力と、ポップスターに求められる資質を兼ね備えた逸材だ。

Producer
Kaytranada, DJ Mustard, Teddy Watson etc

Track List
1. Teen Scene feat. Buddy
2. Toxic feat. Beam
3. Habits
4. Bitch Don't Be Mad
5. Sending My Love
6. Gift
7. Doesn't Mean A Thing feat. Leven Cari




Habits [Explicit]
Roc Nation Records LLC
2021-04-30

 

Eaeon - Fragile [2021 Mot Music]

レディオヘッドを彷彿させる幻想的なサウンドで、インディ発ながら多くの好事家を引きつけてきた韓国の2人組バンドMOT。

グループが2012年に活動を休止したあとも、ヴォーカルeAeon(イ・イオン)は個人として活動を続け、2018年にはBTSのRMのソロ・アルバム『mono.』に収録された"badbye"でコラボレーション。「韓国のジェイムス・ブレイク」と例えられる神秘的な演奏で、世界屈指のスターの作品に強いインパクトを残した。

約10年ぶりとなる新作の目玉は、"badbye"での客演のお礼とばかりに、RMが参加した"Don't"だ。シンセサイザーとギターやベースを組み合わせた重厚な伴奏をバックに、感情を吐き出すイ・イオンと、優しく語りかけるRMのラップの対比が光る。"badbye"が好きな人は是非聴いてほしい佳曲だ。

それ以外の曲も、ピアノを使った弾き語りにシンセサイザーで彩りを添えた"Bye Bye"や、電子楽器の音色の上で言葉を紡ぐ"Maybe"、コンピュータが作り出す幻想的な音をバックに朗々と歌う"Btfl Mind"など、新しい機材を使って、イ・イオンが生み出す繊細なメロディとみずみずしいヴォーカルを盛り上げる曲が多い。

欧州で盛んなフォークとエレクトロニカ、ソウルとエレクトロニカを融合させるスタイルを、韓国のポップスに適用しようとした野心的な作品。 世界屈指の人気スターになった BTSのリーダーが惚れ込むことも納得の、美しいメロディと緻密な演奏、前衛的なサウンドが堪能できる良作だ。

Producer
eAeon etc

Track List
1. Don't feat. RM
2. Bye Bye
3. I Just
4. Evermore
5. Let's Get Lost
6. Mad Tea Party feat. Swervy
7. Btfl Mind
8. I Wonder
9. Null feat. Jclef
10 Maybe




Bye Bye
Motmusic
2021-04-30


Shelly FKA DRAM - Shelley FKA DRAM [2021 EMPIRE Atlantic]

ドラムことシェリー・マーシャン・マッセンバーグ・スミスは、ヴァージニア州出身のシンガーソングライター。

2016年に出したリル・ヨッティとコラボレーション曲、"Bloccori"が700万ダウンロードの大ヒットを記録すると、その後はゴリラズ、チャンス・ザ・ラッパーといった、個性豊かなミュージシャン達と次々と競演。流行の音をキャッチアップしつつ、バリー・ホワイトやジェラルド・リヴァートを彷彿させる、柔らかい歌声を繰り出す独特のスタイルで、唯一無二の地位を築き上げた。

ミックステープを含めると、通算7枚目のスタジオ作品となる今回のアルバム。収められている楽曲は、シンセサイザーを駆使した現代的なサウンドと、ふくよかな体型から放たれる、甘くとろけるような歌声が絡み合うロマンティックなR&Bだ。バス・ドラムやベースの重低音が目立つトラックの上で、サマー・ウォーカーと絡む姿がロナルド・アイズレーっぽい"All Pride Aside"や、ラファエル・サディークの『Instant Vintage』を連想させるレトロなソウルを、シンセサイザーで再構築したような"Cooking with Grease"、エムトゥーメイの"Juicy Fruits"を彷彿させるしなやかなミディアム・ナンバーや、パーラメントを連想させるダイナミックなベースが印象的な曲、ゴスペルの要素を盛り込んだ曲など、さまざまなスタイルの曲を揃えている。

本作でも、彼の音楽は往年のソウルの要素をふんだんに取り入れている。だが、それでも新鮮に聴こえるのは、音圧の高い楽器を最小限の数に絞って使うことで、スタイリッシュなアレンジにしていること、トラップやダブステップといった、新しい音楽の要素を取り込んでいることが大きいのだ。

ソウル・ミュージックの伝統を踏襲しつつ、現代のサウンドと融合した、現在進行形のソウル・ミュージック。古き良き音楽が好きな人も、最先端のサウンドを追いかけている人も、新鮮に聞こえるはずだ。

Producer
Shelley FKA DRAM  etc

Track List
1. All Pride Aside with Summer Walker
2. Exposure
3. Something About Us
4. Beautiful
5. The Lay Down with H.E.R. & WATT
6. '93 Acura Vigor with Erykah Badu
7. Married Woman
8. Cooking With Grease
9. Remedies
10. Rich & Famous
Shelley FKA DRAM [Explicit]
W.A.V.E. Recordings/EMPIRE/Atlantic
2021-04-30


 
記事検索
タグ絞り込み検索
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

アクセスカウンター


    にほんブログ村 音楽ブログへ
    にほんブログ村
    にほんブログ村 音楽ブログ ブラックミュージックへ
    にほんブログ村

    音楽ランキングへ

    ソウル・R&Bランキングへ
    読者登録
    LINE読者登録QRコード
    メッセージ

    名前
    メール
    本文
    • ライブドアブログ