melOnの音楽四方山話

オーサーが日々聴いている色々な音楽を紹介していくブログ。本人の気力が続くまで続ける。

韓国

Got7 - Present: You [2018 JYP Entertainment]

韓国出身者としては初の全米シングル・チャート入りを果たしたワンダー・ガールや、2018年にロックネイションからアルバム『Ask Bout Me』をリリースしたジェイ・パクも在籍していた2PM、日本人メンバーがサブ・ヴォーカルを担当していることでも話題になったTWICEや、BTSを育てたバン・ヒュンソクなど、個性豊かなタレントを送り出してきたJYPエンターテイメント。

同社から2014年にデビューしたのが、様々な地域から集まった7人のメンバーからなる男性ヴォーカル・グループ、ガット7。

韓国出身のJBとJr.による音楽ユニット、JJプロジェクトに5人のメンバーを加えたこのグループは、韓国出身のJBとタイ出身のバンバンをリード・ヴォーカルに据え、台湾系アメリカ人のマークと香港出身のジャクソンがラップを担当するという、韓国でも珍しい国際色豊かな編成に加え、ワンダー・ガールズや2PMでも見せていた、欧米のR&Bと韓国の歌謡曲を融合した音楽性で台頭。メンバーのジャクソンは、中国語のソロ作品もリリースし、アメリカのコンピレーション・アルバムに中国を代表するヒップホップ・アーティストとして取り上げられるなど、常に話題をふりまいてきた。

このアルバムは、彼らにとって通算4枚目(韓国語作品としては3枚目)のスタジオ・アルバム。グループとしての新曲に加え、各メンバーのソロ曲を収めている。また、本作は韓国に加えて、台湾のアルバム・チャートを制覇し、日本やイギリス、フランスのヒット・チャートでも最高の成績を収めるなど、彼らのキャリアを代表する作品となった。

本作の1曲目、アルバムからの先行シングルである”Lullaby”は、宇宙少女やストレイ・キッズにも曲を提供しているプロダクション・チーム、フルブルームが制作を担当。柔らかい音色のシンセサイザーを使った伴奏と、音数を絞ったトラックは、ドレイクの近作にも似た雰囲気。モダンなトラックの上で、エリック・ベリンガーニーヨの音楽を彷彿させる甘いメロディを、じっくりと歌い上げるJBとバンバンの甘酸っぱいハイ・テナーを、マークとジャクソンのラップが適度に引き締めているところに注目してほしい。本作の最後には、同曲の英語版、中国語版、スペイン語版が収められているが、こちらの完成度も高い。

それ以外の曲では、”No One Else”の存在感が光っている。倖田來未や少女時代など、アジアを中心に多くの有名歌手を手掛けてきたスウェーデンのプロデューサー、リンドセイ・ラドウィックと共作した楽曲は、ジェイソン・デルーロやジャスティン・ビーバーの音楽にも似た、爽やかなメロディと軽快なトラックが格好良いダンス・ナンバー。四つ打ちのビートの上で、軽やかに歌うメンバーの姿が印象的。ポップ・スターとしての彼らの能力の高さを感じさせる作品だ。

また、メンバーのソロ曲に目を向けると、JBのソロ曲である”Sunrise”は、2000年代のR.ケリーを思い起こさせるロマンティックなバラード。ローズインピースと共作した楽曲は、ラップのようなフレーズを随所に挟み込んだワイルドでセクシーなメロディと、ファルセットを組み合わせながら、一つ一つの言葉を丁寧に歌い上げるJBのヴォーカルが心に残る曲。曲作りを含め、彼の優れた音楽の才能が遺憾なく発揮されている。

だが、本作の隠れた目玉はジャクソンのソロ曲”Made It”だ。彼のソロ作品を数多く手掛けているボーイトイがプロデュースしたこの曲は、中国の民族音楽を思い起こさせる音色や、アクション映画のサウンドトラックを連想させる荒々しいストリングスを盛り込んだビートが光る作品。彼の母語である英語を駆使して、緩急をつけつつリスナーの懐に切り込んでいくラップは、クラブ・シーンからの叩き上げが多い中華圏のラッパーとは一味違う、力強さと華やかさが印象的だ。

このアルバムを通して強く感じたことは、各人が強烈な個性を発揮しつつ、グループとして一つの方向に進んでいる7人のチーム・ワークだ。メンバーのソロ曲では、躍動感のあるビートを使ったヒップホップや、色っぽいメロディのバラード、ラップを織り交ぜだダンス・ポップなど、自分達の志向を反映した色々なスタイルの楽曲を披露している。その一方で、グループ名義での曲は、多彩な音楽性の楽曲に各人の持ち味を盛り込みながら、一つの作品に集約している。この、各人の個性を磨きつつ、グループとして一つの作品を生み出そうとする団結力が、他のグループにはない魅力だと思う。

世界各地から集められ、厳しい環境のもとで鍛えられた7人にしか作れない、豊かな表現が心に残るアルバム。「アイドル・グループは各メンバーの個性が乏しい」と思っている人にこそ聴いてほしい、メンバーが個性を発揮しつつ、優れたチーム・ワークを見せる姿を存分に堪能できる佳作だ。

Producer
Full8loom, Mirror BOY, Ludwig Lindell, ROSEINPEACE, BOYTOY, Tobias Karlsson etc

Track List
1. Lullaby
2. Enough
3. Save Me (I'll Protect You)
4. No One Else
5. I Am Me
6. Sunrise - JB SOLO
7. OMW - MARK SOLO
8. Made It - JACKSON SOLO
9. My Youth - JINYOUNG SOLO
10. Nobody Knows - YOUNGJAE SOLO
11. Party - BAMBAM SOLO
12. Fine - YUGYEOM Solo
13. Lullaby - English Ver.
14. Lullaby - Chinese Ver.
15. Lullaby - Spanish Ver.
16. Lullaby - Inst Ver.




GOT7 3集 - Present : YOU
GOT7
JYP Entertainment
2018-09-17


BTS - Love Yourself: Answer [2018 BigHit, Columbia, Def Jam]

2018年5月にリリースされた「Love Yourself: Tears」が、アジア系ミュージシャンとして史上初の全米アルバム・チャート1位を獲得したBTS。2018年には4万人規模のニューヨーク公演や2万人規模のロンドン公演を含む大規模な世界ツアーを敢行するなど、今やアジアを代表するヴォーカル・グループとなったBTS。

このアルバムは、前作から僅か3か月という短い間隔でリリースされた彼らの新作。『Love Yourself: Tear』と2017年の『Love Yourself: Her』の収録曲に、既発曲のリミックス版と新曲を加えたベスト盤のようなアルバムになっている。

本作の目玉は、何といっても先行シングルの”IDOL”だろう。彼らの楽曲の大半を手掛けてきたPdoggが制作を担当したこの曲は、韓国の伝統音楽、サムルノリの要素を盛り込んだトラックが格好良いダンス・ナンバー。ビートの組み方のせいか、東アジアの音楽というよりも、レゲエやレゲトンのような中南米の音楽っぽく聴こえる。変則ビートに強い女性ラッパー、ニッキー・ミナージュをフィーチャーしたバージョンでは、女性でありながら男性顔負けの攻撃的なラップを繰り出すニッキーの姿を堪能できる。

これに対し、”Best of Me”の共作者でもあるDJスウィベル達が制作に関わった”I'm Fine”は、エレクトリック・ミュージックを取り入れたビートと2010年頃の韓国のポップスのような、起承転結がはっきりしたメロディは、新しいサウンドを積極的に取り入れてきた彼らが歌うと新鮮に聴こえる。ファルセットを効果的に使ったロマンティックなポップスのメロディと、EDMを取り入れた躍動感のあるビートの組み合わせは、ビッグバンの”Haru Haru”にも似ている。

それ以外の曲では、スロウ・ラビットが手掛けたジンのソロ曲”Epiphany”も見逃せない。アコースティック・ギターを軸にした伴奏と、ジンの持ち味である甘い歌声と豊かな表現力を引き出すダイナミックなメロディが魅力の雄大なバラード。ソロ作品をリリースしているラップ担当の3人の存在感が大きいグループだが、彼らに見劣りしない優れたヴォーカリストがいることが、グループの魅力であることを再認識させてくれる良曲だ。

また、ディスク2に収められた既発曲のリミックスでは、”MIC Drop (Steve Aoki Remix)(Full Length Edition)”が一番の注目株。昨年末にリリースされ、アジア人歌手の楽曲としてはPSYの”Hangover”以来となる全米シングル・チャート25位を記録したこの曲。今回のアルバム版では、シングル版でデザイナーのラップに差し替えれていた冒頭のラップ・パートを、オリジナル版と同じJ-ホープとシュガのラップに戻した、ミュージック・ビデオや音楽番組で披露されているアレンジを採用している。前半のJ-ホープ&シュガによる韓国語によるラップ・パートから、英語のサビ、RMによる英語のラップまで、違和感なく繋ぐ、ヴォーカル・アレンジの巧みさは流石としか言いようがない。オリジナル版よりテンポが高く、歌い手の負荷が高いアレンジをシングルとしてリリースした度胸も恐ろしい。

余談だが、この曲は「オリジナルのトラックによる韓国語版」「オリジナルのトラックによる日本語版」「スティーヴ・アオキのトラックによる英語詞のリミックス版」「スティーヴ・アオキのトラックとデザイナーのラップを加えた英語版のリミックス版」と、複数のバージョンが作られ、その全てが別々の市場でヒットするという珍しい作品でもある。このことからも、彼らの音楽の汎用性の高さがうかがい知れる。

今回のアルバムは、2016年に『Wings』が各国のヒットチャートを席巻して以来、世界を相手に戦うようになった彼らの活動を総括したものになっている。

そして、本作を通して感じたのは、彼らの音楽の完成度と優れたバランス感覚だ。”Best Of Me”や”MIC Drop (Steve Aoki Remix)”のような欧米の尖ったクリエイターと組んだ曲や、”Airplane pt.2”や”IDOL”のような、アジアや中南米のサウンドを取り入れた曲に取り組む一方、”DNA”や”Fake Love”のように韓国のトレンドを踏襲した曲も多くを占めている。また、アルバムには、”Mic Drop”や”Tears”のようなラップが大部分を占める曲と、”The Truth Untold”や”Epiphany”のようなじっくりと歌を聴かせる曲がバランスよく配置されている。この、「アジアを代表する男性グループ」という自分達のポジションを踏まえつつ、欧米の音楽スタイルを積極的に取り入れる姿勢と、才能と人間的な魅力に恵まれたメンバーを揃え、全員の持ち味を引き出す姿勢。この二つを高いレベルで実現できたことが、彼らの独創的でバラエティ豊かな音楽を生み出している。

「7人が揃ってこそのBTS」であることを再確認させられる良作。とびぬけた個性を持つソロ・アーティスト達がしのぎを削る2018年。各メンバーが互いの個性を引き出し合うことで、表現の幅を広げる彼らの音楽は、2020年のトレンドを先取りするものと言っても過言ではないかもしれない。

Producer
Pdogg, Jordan "DJ Swivel" Young, Slow Rabbit, Andrew Taggart, "hitman" bang, Steve Aoki etc

Track List
1. Euphoria
2. Trivia 起 : Just Dance
3. Serendipity (Full Length Edition)
4. DNA
5. Dimple
6. Trivia 承 : Love
7. Her
8. Singularity
9. FAKE LOVE
10. The Truth Untold feat. Steve Aoki
11. Trivia 轉 : Seesaw
12. Tear
13. Epiphany
14. I'm Fine
15. IDOL
16. Answer : Love Myself

Disc 2
1. Magic Shop
2. Best Of Me
3. Airplane pt.2
4. Go Go
5. Anpanman
6. MIC Drop
7. DNA (Pedal 2 LA Mix)
8. FAKE LOVE (Rocking Vibe Mix)
9. MIC Drop (Steve Aoki Remix)(Full Length Edition)
10. IDOL feat. Nicki Minaj






88rising - Head in the Clouds [2018 88rising]

多くの日本人ダンサーが目標に掲げるブライアン・パスポスのような、アメリカの実力派アーティストを扱いつつも、ユーモアに富んだ独特のリリックで、中国国内のラップ禁止令のきっかけを作ったハイヤー・ブラザーズ、10代の若さでアジアを代表するラッパーの一人に上り詰めたインドネシアのリッチ・ブライアン、韓国のキース・エイプのような、アジア各国のヒップホップ・アーティストを世界に紹介してきたアメリカの音楽レーベル、88ライジング

音楽メディアとレコード・レーベルの機能を持ち、母国でも音楽好きの間でしか知られていなかった、隠れた名アーティストを紹介してきた同レーベルの、初のコンピレーション・アルバムが本作。リッチ・ブライアンやハイヤー・ブラザーズといった、同社と契約しているアーティストの新曲と既発曲のリミックスを収録。ゲストとしてゴールドリンクやプレイボーイ・カルディといったアメリカの人気ラッパーに加え、日本からもm-floのバーバルが参加するなど、国際色豊かな同レーベルらしい豪華なアルバムになっている。

アルバムのオープニングを飾るのは、大阪出身のジョージと、インドネシアのニキという、二人のシンガー・ソングライターが組んだ”La Cienega”。電子楽器を使った、もっさりとしたビートの上で気だるく歌うニキと、時に彼女に寄り添うように優しく、時にマックスウェルのように鋭いファルセットを聴かせるジョージの歌唱力が光るスロー・ナンバーだ。二人の繊細な歌声は、アメール・ラリューやレミー・シャンドのような、ネオ・クラシック・ソウルのシンガーに通じるものがあるが、この曲では、電子楽器を駆使した現代的なビートと組み合わせることで、彼らと差別化している。

これに対し、ハイヤー・ブラザーズと、ロス・アンジェルス近郊のワッツ出身の03グリードががコラボレーションした”Swimming Pool ”は、タイ・ダラ・サインなどの作品に関わっているフランス出身のキャッシュマネーAPと、ロイ・ウッズdvsnなどを手掛けているカナダ出身のアキール・ヘンリーがプロデュースを担当した国際色豊かな曲。ドレイクグッチ・メインのアルバムに収録されていそうな、電子楽器中心のシンプルなトラップ・ビートの上で、英語と中国語を使い分けながらラップする姿が印象的な曲。アメリカで流行しているサウンドを自分の音楽に染め上げるハイヤー・ブラザーズの強烈な個性が心に残る。

だが、本作の隠れた目玉はシカゴ出身の24歳のラッパー、フェイマス・デックスが2018年に発表して、アメリカの総合シングル・チャートの28位に入った”JAPAN ”のリミックス・ヴァージョンだろう。「日本でドラックを5万回もやったぜ」と歌った原曲を、韓国出身のキース・エイプと日本出身のバーバルが改変。バーバルは英語で「女の子からLINEが来たら楽しい時間の始まり」「朝までカラオケで歌うぜ」とラップし、キースは「みんなは俺を日本人か?と聞くけど、俺は韓国人だ」「腕にも拳にもNIGOのグッズがあるぜ」と、英語と韓国語を織り交ぜたパフォーマンスを繰り出している。余談だが、バーバルのパートには「P.K.C. on his boys」(EXILEの元メンバー、ヒロやマキダイ達と組んだラップ・グループPKCZのこと)というフレーズをさり気なく盛り込んでいるのが心憎い。

そして、本作の最後を締めるのが、ロス・アンジェルス出身のプロデューサー、バーニー・ボーンズとジョージが共作したタイトル曲”Head In The Clouds”。レゲエの緩いビートと、EDMのような高揚感があるシンセサイザーの伴奏を組み合わせたトラックの上で、甘い歌声を響かせるスロー・ナンバーだ。曲の後半ではストリングスのような音色を加え、最後までゆったりとしたバラードとして聴かせる演出が印象的。

今回のアルバムを通して感じるのは、アメリカのミュージシャンにも見劣りしないアジア勢の高いスキルと豊かな個性だ。各国の言語に慣れ親しんだ人でもなければ、誰がどの国のアーティストか判別するのは難しい。むしろ、同じ言語を使うアーティストでも、声質やキャラクターによって表現の方法が全然違う。この各人の際立った個性と、それを活かすレーベルの編集能力が本企画の面白さを生んでいると思う。

世界各地で腕を磨いてきた名手たちの素晴らしいパフォーマンスを、存分に楽しめる良作、アメリカで生まれ、世界に散らばったヒップホップが、各国の文化を飲み込んでで進化していることを僕らに教えてくれる貴重なアルバムだ。

Producer
NIKI, CashMoneyAP, Akeel Henry, J Gramm, Barney Bones, joji etc

Track List
1. La Cienega feat. ​joji & NIKI
2. Red Rubies feat. Don Krez, Higher Brothers, Rich Brian, Yung Bans & Yung Pinch
3. Swimming Pool feat. 03 Greedo & Higher Brothers
4. Peach Jam feat. BlocBoy JB & ​joji
5. Midsummer Madness feat. AUGUST 08, Higher Brothers, ​joji & Rich Brian
6. Plans feat. NIKI & Vory
7. History feat. Rich Brian
8. Lover Boy (88 Remix) by Phum Viphurit feat. Higher Brothers
9. Poolside Manor feat. AUGUST 08 & NIKI
10. Beam by Rich Brian feat. Playboi Carti
11. Let It Go feat. BlocBoy JB & Higher Brothers
12. Disrespectin feat. AUGUST 08, Higher Brothers & Rich Brian
13. Warpaint feat. NIKI
14. I Want In (feat. AUGUST 08 & NIKI
15. JAPAN (88 Remix) by Famous Dex feat. Keith Ape & Verbal
16. Nothing Wrong (Remix) by Higher Brothers & Harikiri feat. GoldLink
17. Head In The Clouds feat. ​joji





Head In The Clouds [Explicit]
88rising Music/12Tone Music, LLC
2018-07-20

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