melOnの音楽四方山話

オーサーが日々聴いている色々な音楽を紹介していくブログ。本人の気力が続くまで続ける。

Epic

Camila Cabello - Camila[2018 Epic]

2012年に、イギリスのオーディション番組「Xファクター」のアメリカ版に参加した面々で結成。2013年に『Better Together』でメジャー・デビューすると、一気にスターダムを駆け上がった、5人組ガールズ・グループ、フィフス・ハーモニー

彼女達は、ラテン音楽の要素を取り入れたR&Bで、ポップスやR&Bだけでなく、ラテン音楽の市場でもヒット。様々な人種の人々から支持される人気グループとなった。

カミラは・カベロことカーラ・カミラ・カベロ・エストラバオは、同グループの結成当時から在籍していたシンガー。キューバ生まれの彼女は、6歳の時にメキシコへ移住した後、フロリダ州マイアミに定住するようになったという異色の経歴を持っているキューバ系アメリカ人。そんな彼女は、ラテン音楽への深い造詣で、グループの音楽性にも少なからず影響を与えてきた。

しかし、2016年の終わりに彼女はグループを脱退。ソロに転向すると”Crying in the Club”や”Havana”などのヒット曲を送り出しながら、ブルーノ・マーズのツアーに帯同するなど、華々しい活躍を見せてきた。

このアルバムは、ソロ転向から1年弱という、短い期間でリリースされた初のスタジオ・アルバム。”Crying in the Club”こそ入っていないものの、全米総合シングル・チャートで2位に上り詰めた”Havana”はきちんと収録。それ以外の曲にも、フランク・デュークスやT-マイナスといった、名うてのプロデューサーが参加した、豪華なものになってる。

アルバムの1曲目は、本作からのリカット・シングル”Never Be The Same”。フランク・オーシャンや元ワン・ダイレクションのゼインなどの楽曲を制作している、トロント出身のクリエイター、フランク・デュークスがプロデュースを担当。シンセサイザーを多用したトラックこそ、ロイ・ウッズのようなカナダのR&Bシンガーに少し似ているが、それ以外はむしろワン・ダイレクションやバック・ストリート・ボーイズに近いキャッチーで爽やかなポップス路線の作品。R&Bに強く傾倒した歌手ではない、彼女ならではの音楽だと思う。

これに対し、エレクトロ・ミュージックの分野で高い知名度を誇るスクリレックスが携わった”She Loves Control”は、レゲトンのビートを使った艶めかしいビートが心地よいダンス・ナンバー。色々な音色を組み合わせて、華やかさを演出したトラックをバックに、セクシーな歌声を聴かせるカミラの存在感が光る。2017年に大記録を樹立した”Despacito”にも通じる、情熱的で色っぽいメロディとアレンジも聴きどころ。

だが、本作の目玉は、なんといっても先行シングルの”Havana”だろう。本作でも多くの曲を手掛けている、フランク・デュークスのプロデュース作品で、ゲストとしてヤング・サグが参加したミディアム。ビートやメロディの随所にラテン音楽の要素を盛り込んでいるものの、どちらかといえばシックな印象を受けるポップス寄り曲だ。しかし、彼女の手にかかると、この曲が哀愁を帯びたR&Bに生まれ変わるから面白い、ヤング・サグの一歩引きつつ、リズミカルに言葉を紡ぐラップもいい味を出している。シンプルな作品が、アーティストの歌唱技術で豊かな表情を持った好例だと思う。

それ以外の曲では、本作からのプロモーション・シングル”Real Friends”も捨てがたい。フランク・デュークスが手掛けたこの曲は、ギターの弾き語りをバックにしたミディアム・バラードという意外な作品。硬い音色のギターをバックに、訥々と歌う姿が心に沁みる。ヒットするタイプの曲ではないが、何度も聴きたくなる良曲だ。

このアルバムの魅力はR&Bやラテン音楽を取り入れつつ、子供から大人まで楽しめる、親しみやすいポップスに落とし込んでいるところだ。収録曲の随所で、ヒップホップやレゲトン、キューバ音楽のエッセンスを感じさせながら、その手法にのめり込まず、誰もが楽しめるポップスに仕立てている。このバランス感覚が、彼女の音楽の醍醐味だと思う。

ビヨンセやジャスティン・ティンバーレイク、ゼインなど、ヴォーカル・グループ出身者が鎬を削るポップスの世界で、新たな台風の目となりそうな、面白い作品。R&Bやラテン音楽に興味をもった人の、最初の1枚としてオススメ。

Producer
Frank Dukes, Skrillex, T-Minus, The Futuristics etc

Track List
1. Never Be The Same
2. All These Years
3. She Loves Control
4. Havana feat. Young Thug
5. Inside Out
6. Consequences
7. Real Friends
8. Something’s Gotta Give
9. In The Dark
10. Into It
11. Never Be The Same (Radio Edit)





Camila
Camila Cabello
Epic
2018-01-12

Keyshia Cole - 11:11 Reset [2017 Epic]

カリフォルニア州オークランド出身のシンガー・ソングライター、キーシャ・コールことキーシャ・ミーシャ・ミッチェル・コール。

12歳の時にMCハマーのレコーディングに参加した彼女は、それをきっかけに音楽産業への関心を強め、18歳の時にロス・アンジェルスに移住する。そして、元トニー・トニ・トーンのドウェイン・ウィギンスといった、西海岸を拠点に活動するミュージシャンと交友を深めながら、ライブやレコーディングなどで幅広く活動。2002年にはA&Mと契約を結ぶ。

そんな彼女は、2004年に映画「バーバーショップ2」のサウンドトラックに収められた”Never”でメジャー・デビュー。ルーサー・ヴァンドロスの代表曲”Never Too Much”を引用したスタイリッシュなダンス・ナンバーで注目を集める。そして翌年には初のフル・アルバム『The Way It Is』を発表。 アメリカ国内だけで100万枚を超えるセールスを上げた。

その後も、2016年までに6枚のアルバムと数多くのシングルをリリース。特に彼女がデビューするきっかけとなった曲を録音し直した2006年の”Love”や、リル・キムとミッシー・エリオットを招いた翌年の”Let It Go”などは100万ダウンロードを越せる大ヒット曲となった。また、ディディやトリナ、DJキャリッドなど、多くの人気ミュージシャンの作品に客演。力強く華やかな歌声で楽曲に彩を添えてきた。

この作品は、彼女にとって2014年の『Point of No Return』以来、約3年ぶりの新作となる通算7枚目のオリジナル・アルバム。3作目以降のアルバムを配給していたインタースコープからエピックに移籍したものの、制作陣はこれまでの作品同様、有名プロデューサーが多数参加。彼女自身も積極的にペンを執り、パワフルでダイナミックなR&Bを送り出している。

アルバムに先駆けて発表されたのは、ブロンクス出身のレミー・マとフレンチ・モンタナが参加したミディアム・ナンバー”You”だ。ロンドン出身のH-マネーが制作したトラックは、古いレコードから抜き出したような温かい音色を使いつつも、FKJケイトラナダのようなエレクトロ・ミュージックのクリエイターの作品を連想させる淡々としたもの。最初から最後まで、力強い声で歌い続けるキーシャを、鋭く硬い声質を活かしたラップが魅力のレミー・マと、飄々としたラップのフレンチ・モンタナが上手く盛り立てている。

これに対し、同曲に続く”Incapable”は彼女の十八番といっても過言ではない壮大なスケールのバラード。パーティーネクストドアと一緒にDJキャリッドの”Shining”を制作した、マイアミ出身のクリエイター、ダンジャがプロデュースしたこの曲は、声ネタを使ったイントロに始まり、ギターやキーボードの伴奏を効果的に使った、生演奏風のトラックが面白い作品。メアリーJ.ブライジを彷彿させる、重厚なヴォーカルが格好良い。

そして、前作にも携わっているニューヨーク出身のプロデューサー、アマデウスを起用した”Best Friend”は、シンセサイザーを駆使した煌びやかなトラックと、その上でふくよかな歌声をじっくりと聴かせるロマンティックなバラード。しっとりとしたメロディを丁寧に歌う彼女の姿と、滑らかだけどグラマラスな歌声が印象的だ。R&Bミュージシャンの作品ではよく見るタイプのバラードだが、これを自分の音楽に昇華して、リスナーの心を満たす技術は群を抜いている。

また、オークランド出身の女性ラッパー、カーマイヤーを招いた”Ride”は、リアーナなどを手掛けているDJマスタードをプロデューサーが録音に参加。トラップやダンスホール・レゲエのエッセンスを盛り込んだビートに乗って、ゆったりと歌う姿が魅力のミディアム・ナンバーだ。妖艶なキーシャのヴォーカルと、太く重い声を活かしたカーマイヤーのパンチの効いたラップの組み合わせが光っている。

今回のアルバムでは、過去の作品同様、太くしなやかなヴォーカルが活きる、落ち着いた雰囲気のトラックと、優雅でロマンティックなメロディを強調した作品が揃っている。ヒット・チャートに名前が出てくるような他の人気ミュージシャンの曲と比べると、いささか保守的な印象さえあるが、リスナーを飽きさせないのは、彼女の豊かな表現力と色々なタイプのトラックを取り込む柔軟さのおかげだと思う。

アレサ・フランクリンからメアリーJ.ブライジまで、新旧の名歌手達が受け継いできたスタイルを踏襲しつつ、それを現代の流行に合わせて巧みにアレンジした楽曲が魅力の佳作。女性ヴォーカルのダイナミックなパフォーマンスが好きな人に聴いて欲しい、本格的なR&Bアルバムだ。

Producer
Keyshia Cole, Amadeus, Danja, H-Money, JV etc

Track List
1. Cole World (Intro) feat DJ Khaled
2. Unbothered
3. You feat Remy Ma and French Montana
4. Incapable
5. Best Friend
6. Vault
7. Act Right feat Young Thug
8. Right Time
9. Emotional
10. Ride feat Kamaiyah
11. Cole World (Outro) feat Too $hort




11:11 Reset
Keyshia Cole
Epic
2017-10-20

French Montana - Jungle Rules [2017 Bad Boy Entertainment Epic]

モロッコのラバットに生まれ、13歳の時にアメリカへ移住。MCバトルで腕を磨いた後、友人とDVDやミックステープを発表して、叩き上げのラッパーとして名を上げた、ニューヨーク州ブロンクス地区出身のラッパー、フレンチ・モンタナこと、カリーム・カルブシ。

その実績を買われ、複数のレーベルから誘いを受けた彼は、2012年にショーン・コムズ率いるバッド・ボーイとリック・ロス率いるメイバッハの2社と契約。翌年には初のフル・アルバム『Excuse My French』を発表。全米ラップ・アルバム・チャートの1位を獲得し、同作からのシングル曲”Pop That”はプラチナ・ディスクも獲得する。その後も、フィーチャリング・アーティストとして、多くの作品に客演。ウィル・アイ・アムの”Feelin' Myself”や、クリス・ブラウンの”Loyal”など、色々なアーティストのヒット曲で存在感を発揮してきた。

このアルバムは、彼にとって4年ぶり2枚目のフル・アルバム。所属レーベルの都合で、配給がインタースコープからエピックに変わっているものの、今作でも、バッド・ボーイらしいキャッチーなサウンドと、彼の荒々しいラップが堪能できる良質なヒップホップを聴かせている。

本作のオープニングを飾る”Whiskey Eyes”はニューヨーク出身のラッパー、チンクスをフィーチャーした曲。ロンドン出身の女性シンガー、フェのヴォーカルを効果的に使ったトラックと、二人の刺々しいラップの組み合わせが光っている。

一方、スワエ・リーが参加した”Unforgettable”は、レゲトンやカリプソの要素を取り込んだアップ・ナンバー。聴き手を幻想的な世界に引きずり込むトラックやヴォーカルは、モロッコのダンス・ミュージック、ジャシューカに通じるものがある。アメリカではあまり知られていない音楽のエッセンスをさりげなく盛り込むプロデューサーのセンスが素晴らしい楽曲だ。

また、メジャー・レーベルと契約する前からの盟友、ハリー・フラウドが制作を主導した”A Lie”は『Starboy』も好評のウィークエンドと、ニューヨークのハーレム出身のラッパー、マックスBを起用した作品。ウィークエンドやドレイクの楽曲に近い、シンセサイザーを多用した近未来的な雰囲気のトラックと、ウィークエンドの繊細な歌声が印象的な作品。ドレイクに代表される歌うようなラップを聴かせるアーティストがヒット・チャートを席巻する時代に、彼らのサウンドを取り入れつつ、LLクールJやノートリアスB.I.G.のような、荒々しいラップを聴かせる手法が魅力的。往年のヒップホップと現在のサウンドが融合した、本作最大の聴きどころだと思う。

それ以外の曲では、2017年も「Despicable Me 3(邦題:怪盗グルーのミニオン大脱走)」のサウンドトラックや、カルヴィン・ハリスの”Feels”などに携わるなど、活躍を続けているファレル・ウィリアムスが参加した”Bring Dem Things ”が面白い。ハリー・フラウドが作ったトラックは、ファレルが作りそうな、音数を絞ったキャッチーなもの。その上で、フレンチ・モンタナがリズミカルに言葉を繋ぐ姿は堂に入ってる。ファレルのスタイルを借りつつ、自分の音楽に染め上げるスキルの高さは流石の一言だ。

今回の作品は、多くの人気ミュージシャンを招き、流行のサウンドを積極的に取り入れた、バッド・ボーイらしいアルバムだ。しかし、妄信的にトレンドを追いかけるのではなく、太く、荒々しいフレンチ・モンタナのラップが活きるシンプルなトラックを中心に揃えることで、硬派だけど聴きやすい、絶妙なバランスの音楽に落とし込まれている点が面白い。恐らく、ノートリアスB.I.G.やメイスなど、ハードなラップをウリにするミュージシャンをヒット・チャートに送り込んできたショーン・コムズのビジネス・センスと、フレンチ・モンタナの確かなラップ・スキルが揃ったから、作れたのだろう。

ヒップホップが人気ジャンルの一つになった時代だからこそ新鮮に聴こえる、ワイルドなラップを活かした佳作。90年代からヒップホップを聴いてきた、年季の入ったファンにこそ聴いてほしい、本格的なヒップホップ・アルバムだ。


Producer
Puff Daddy, French Montana, Rick Steel etc

Track List
1. Whiskey Eyes feat. Chinx Drugz
2. Unforgettable feat. Swae Lee
3. Trippin
4. A Lie feat. Max B, The Weeknd
5. Jump feat. Travis Scott
6. Hotel Bathroom
7. Bring Dem Things feat. Pharrell Williams
8. Bag feat. Ziico Niico
9. Migo Montana feat. Quavo
10. No Pressure feat. Future
11. Push Up
12. Stop It feat. T.I.
13. Black Out feat. Young Thug
14. She Workin feat. Marc E. Bassy
15. Formula feat. Alkaline
16. Famous
17. Too Much
18. White Dress





JUNGLE RULES
FRENCH MONTANA
EPIC
2017-07-21

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