melOnの音楽四方山話

オーサーが日々聴いている色々な音楽を紹介していくブログ。本人の気力が続くまで続ける。

Warner

Ciara – Level Up Remix feat. Missy Elliot & Fatman Scoop [2018 Beauty Records, Warner]

2004年に、リル・ジョンのプロデュース、ピーティー・パブロがゲストとして参加した”Goodies”を発表。初めてのシングルが全米ナンバー・ワン・ヒットという華々しいデビューを飾った、シアラことシアラ・プリンセス・ハリス。

テキサス州のオースティンに生まれた彼女は、軍人である父の仕事の都合もあり、色々な街を移り住む子供時代を送っていた。そんな彼女は、ハイスクール時代にデスティニーズ・チャイルドやマイケル・ジャクソンのパフォーマンスを見て、シンガーを志す。学生時代の彼女は歌やダンスのトレーニングに励む一方、チア・リーダーにも所属するなど、精力的に活動していた。

デビュー・シングルと同名のアルバム『Goodies』が全世界で200万枚以上売れた後も、ほぼ2,3年に1作のペースで新作を発表。ジャスティン・ティンバーレイクと組んだ”Love Sex Magic”や、ニッキー・ミナージュをフィーチャーした”I'm Out”などのヒット曲を残してきた。

この曲は、2018年7月に発売されたシングル曲のリミックス版。2000年代にはリアーナの”SOS”や、ショーン・キングストンの”Beautiful World”といった、全米ナンバー・ワン・ヒットを手掛けてきたJ.R.ロテムがプロデュースを担当。2000年代のダンス・ホール・レゲエを思い起こさせる変則的で激しいビートはそのままに、ミッシー・エリオットとファットマン・スクープのパートを追加した、賑やかなダンス・ナンバーになっている。

原曲の派手なトラックはそのままに、変則ビートに物怖じすることなく、喉が千切れそうな勢いで声を張り上げるファットマン・スクープと、癖のあるビートも難なく乗りこなすミッシー・エリオット。スタイルの異なる二人のラッパーが加わったリミックスはとても華やか。しかし、三者の個性が時にぶつかり合い、時に絡み合いながら、破綻することなく一つの楽曲にまとまっている。この爆発するようなエネルギーを活かしつつ、一つの作品に収めた構成が面白い。

単なるパーティー・チューンかと思いきや、尖った個性の三者の持ち味を引き出しつつ、一つの楽曲に纏め上げた良質なR&B作品。移籍後第一弾となるニュー・アルバムへの期待が膨らむ充実の内容だ。

Producer
J.R. Rotem

Track List
Ciara – Level Up Remix feat. Missy Elliot & Fatman Scoop






Gorillaz - The Now Now [2018 Parlophone, Warner]

ロック・バンド、ブラーの中心人物として活躍する一方、民族音楽やオペラにも取り組んでいるデーモン・アルバーンと、コミック「タンクガール」や、オペラ「Monkey: Journey to the West」(同作の音楽はデーモンが担当している)のビジュアルなど、幅広い仕事で知られる漫画家のジェイミー・ヒューレット。両者が中心になって作り上げたのが、架空のキャラクター4人によるバンド、ゴリラズだ。

英国人のベーシスト、マードック、同じく英国出身のヴォーカル兼キーボード奏者の2D(余談だが、彼の演奏を担当しているデーモンもライブではキーボードを弾くことが多い)、日本出身のマルチ・プレイヤー、ヌードル(彼女の声は日本人が担当している)、アメリカ出身のドラマー・ラッセル・ボブスからなるこのバンドは、2000年に初のシングル”Tomorrow Comes Today”を発表すると、電子音楽とロックを融合した個性的な作風と、架空のキャラクターを前面に打ち出したビジュアルで音楽ファンの間で話題になった。

また、翌年には初のスタジオ・アルバム『Gorillaz』をリリース。全世界で700万枚以上を売り上げる大ヒットになると、以後、2017年までに5枚のアルバムを発表。「世界で最も成功した架空のバンド」として、ギネス・ブックにも掲載されている。

本作は、彼らにとって通算6枚目のスタジオ・アルバム。前作から僅か1年という短い間隔で録音された作品で、制作にはアーキテック・モンキーズなどを手掛けたジェイムス・フォードが参加。前作の路線を踏襲しつつ、発展させた音楽を聴かせてくれる。

本作の1曲目は、伝説のジャズ・ギタリスト、ジョージ・ベンソンを招いた”Humility”。ティミー・トーマスの”Why Can't We Live Together”を彷彿させる、軽い音色の電子楽器をバックに、2Dが甘い歌声を響かせるミディアム・ナンバー。リトル・ビーヴァ―を連想させる、艶っぽいギターも心地よい。ベティ・ライトやジョージ・マクレーのような、マイアミ発のソウル・ミュージックに似ている爽やかな曲だ。

また、スヌープ・ドッグとシカゴのハウス・ミュージックのクリエイター、ジェイミー・プリンシプルを起用した”Hollywood”は、ハウス・ミュージックとロックやヒップホップの要素が入り混じったサウンドと、スヌープの飄々としたラップが光るミディアム。ハウス・ミュージックなどの電子音楽の要素を盛り込んだトラックと、2Dのグラマラスなヴォーカル、ロックの手法を盛り込んだ伴奏は、ウィークエンドの”Starboy”っぽい。

それ以外の曲では、”Lake Zurich”も見逃せない。リック・ジェイムスやシックのような70年代後半から80年代のディスコ音楽を連想させる洗練された伴奏と、しなやかなメロディが印象的な作品。ダフト・パンクの”Get Lucky”や、タキシードの諸作品で注目を集めているディスコ音楽を、ロックの視点から再構築した面白い曲だ。

そして、これまでの作品に近しいスタイルの楽曲が、ミディアム・テンポのバラード”Fire Flies”だ。シンセサイザーの伴奏をバックに、ゆったりと歌う2Dの姿が印象的な作品。シンセサイザーを駆使しながら、ブラーのような英国のロック・サウンドに纏め上げた手腕が光っている。

今回のアルバムでは、過去の作品で見られた大胆なアレンジは影を潜め、クラブ・ミュージックとロック、R&Bやヒップホップを違和感なく融合した楽曲が目立っている。イマジン・ドラゴンズやマルーン5のようなクラブ・ミュージックや黒人音楽を取り入れたロック・バンドが人気を博し、ウィークエンドやのようなロックの要素を盛り込んだR&Bがヒットしている2010年代。彼が活躍する10年以上前から、ヒップホップやソウル・ミュージックのアーティストと組んできたゴリラズは、このトレンドの先駆者らしい、リスナーに自然に聴こえる、高いレベルで融合した音楽を披露している。斬新なサウンドを追い求める姿勢と、それを磨き上げる技術の高さが、彼らの音楽の魅力だと思う。

様々な音楽を貪欲に飲み込み、10年先のトレンドを生み出してきたデーモンの先見性と、20年近い時間をかけて育て上げた緻密で斬新な世界観が遺憾なく発揮された良作。単なる企画バンドの枠を超えた「ヴァーチャルとリアルを融合させるプロジェクト」の最新型だ。

Producer
Gorillaz, James Ford, Remi Kabaka

Track List
01. Humility feat. George Benson
02. Tranz
03. Hollywood feat. Snoop Dogg, Jamie Principle
04. Kansas
05. Sorcererz
06. Idaho
07. Lake Zurich
08. Magic City
09. Fire Flies
10. One Percent
11. Souk Eye





ザ・ナウ・ナウ
GORILLAZ
ワーナーミュージック・ジャパン
2018-06-29

Roy Woods – Say Less [2017 OVO Sound, Warner]

レーベルのボス、ドレイクを筆頭に、2017年も多くのヒット作を発表してきた、カナダのOVOサウンド。同レーベルが、2017年も暮れに差し迫った12月に送り出したのが、気鋭の若手シンガー、ロイ・ウッズことデンゼル・スペンサーの、初のスタジオ・アルバムだ。

2014年、19歳の時にレーベルと契約を結んだ彼は、2017年までに2枚のEPと1本のミックステープ、複数のシングルをリリース。配信限定の作品ながら、ビルボードのR&Bチャートに入るなど、才能溢れる若手の一人として注目を集めた。

本作は2016年のEP『Nocturnal』以来、約1年半ぶりの新作となる、16曲入りのスタジオ・アルバム。彼にとって、初のフィジカル・リリースとなる作品で、制作にはナインティーン85やマーダ・ビーツといった、過去作にも携わっているプロデューサーのほか、パリを拠点に活動するStwoや、アトランタ出身のFKi 1stといった、外国のクリエイターも参加。それ以外にも、ゲスト・ミュージシャンとしてレーベル・メイトのパーティネクストドアDvsnなどが名を連ねるなど、期待の若手のアルバムにふさわしい、豪華な陣容になっている。

アルバムの1曲目は、前作にも携わっているトロント出身のプロデューサー、プレジデント・ジェフが手掛けた”Medusa”。重いビートと、ふわふわとしたシンセサイザーの伴奏を組み合わせたトラックは、パーティネクストドアの作品によく似ている。また、滑らかなテナーを引き立たせる繊細なメロディは、”Starboy”などのヒットで世界を席巻したウィークエンドを思い起こさせる。カナダから世界に羽ばたいた先達の手法を取り入れつつ、彼らの美味しいところを凝縮した、魅力的なミディアム・ナンバーだ。

また、彼と同年代のカナダ人プロデューサー、ルカ・ポリッジと共作した”Say Less”は、幻想的なシンセサイザーの音色が心地よい、ミディアム・テンポのバラード。しなやかな声で語り掛けるように歌うヴォーカルはラップのような歌唱スタイルのドレイクやパーティネクストドアにも通じるものがあるが、彼の曲はよりメロディを強調している。若き日のテヴィン・キャンベルを彷彿させる甘酸っぱいメロディをベースに、ヒップホップのエッセンスを盛り込んだ、21世紀版”Can We Talk”といった趣の佳曲だ。

そして、FKi 1stが制作に参加した”Monday to Monday”は、躍動感のあるビートと甘いメロディのコンビネーションが光るミディアム・ナンバー。オルガンっぽい音色のキーボードの伴奏と、歌とラップを織り交ぜてリハリをつけた構成が光る、ロマンティックな雰囲気の楽曲。電子楽器を駆使したトラックと、歌とラップを織り交ぜたスタイルは、ドレイクやパーティネクストドアの作品でも多用されているものだ。だが、彼の曲はアトランタ出身のプロデューサーと組むことで、トラップやクランクの要素を盛り込み、クリス・ブラウンアッシャーを彷彿させるアメリカ南部のテイストが強い作品に仕上げている。

だが、本作の目玉はなんといっても、本作に先駆けて公開された”What Are You On?”だろう。音楽の分野では有名なフランス人プロデューサー、Stwoと組んだこの曲は、ダンスホールレゲエやレゲトンを彷彿させる、軽妙で色鮮やかなビートが印象的。繊細な歌声を使った、しなやかなヴォーカルは、ケヴィン・リトルやウェイン・ワンダーにも少し似ているが、彼の歌の方がより爽やかな印象を受ける。

今回のアルバムは、これまでの作品で培ったノウハウをベースに、それを発展させたものだ。シンセサイザーを多用したスタイリッシュなトラックと、繊細な歌声を活かしつつ、ラップの要素を取り込んだメロディでメリハリをつけたスタイルは、今作でも変わらない。しかし、アトランタのクリエイターを起用してアメリカの音を取り込むなど、従来の路線を踏襲しつつ、それを拡張したような音楽に取り組むことで、1時間に及ぶ大作をマンネリに感じさせないよう工夫している。この、個別の楽曲とアルバム全体のクオリティを同時に考える視野の広さと制作能力が、若手とは思えないハイ・レベルな作品を生み出していると思う。

2018年以降のR&Bシーンの台風の目になるだろう、才能あふれる若手による充実した内容の作品。21歳でこのアルバムを作ってしまった彼は、今後はどんな作品を残すのだろうか、今から期待と不安で胸が膨らむ逸材だ。

Producer
Dzeko, FKi 1st, FrancisGotHeat, Murda Beatz, Nineteen85 etc

Track List
1. Medusa
2. Little Bit of Lovin
3. Say Less
4. Take Time feat. 24hrs
5. Something New
6. Top Left
7. BB
8. Back It Up feat. PartyNextDoor
9. Glasses
10. The Way You Sex
11. Monday to Monday
12. What Are You On?
13. Balance feat. Dvsn and PnB Rock
14. In the Club
15. B-Town
16. Undivided





Say Less [Explicit]
OVO Sound/Warner Bros.
2017-12-01

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