1990年にアルバム『Mariah』でデビュー、現在までに『Music Box』、『Daydream』、『The Emancipation of Mimi』などの全米ナンバー・ワン・ヒット獲得した作品を含め22枚のアルバムを残し、『Fantasy』、『Honey』、『Don’t Forget About Us』、『Touch My Body』など、18枚のシングルをビルボード・チャートの第1位に送り込んできた、ポピュラー・ミュージック界を代表する歌姫、マライア・キャリー。彼女にとって1年半ぶりの新曲が発表された。
正式にリリースされた作品としては、2015年にエピックから発売したベスト・アルバム『#1 to Infinity』に収録されている”Infinity”以来となる新曲は、ジャーメイン・デュプリとブライアン・マイケル・コックスがプロデュースしたミディアム・ナンバー。
この曲を手掛けているジャーメイン・デュプリは、マライアに”Sweetheart”や”We Belong Together”を提供して、グラミー賞のベストR&Bソング部門を獲得したり、アッシャーの”You Make Me Wanna”や”My Boo”などを手掛けてきたリと、多くの実績を残しているヒット・メイカー。また、今回参加した、ブライアン・マイケル・コックスは”Shake It Off”(ジャーメイン・デュプリ等との共作)や “I Stay In Love”などを手掛ける一方で、メアリーJ.ブライジの”Be Without You”やアッシャーの”Burn”といったヒット曲でペンを執っている実力派のプロデューサー。過去にも何度か共作している両者による新作は、大人の女性として成熟したマライアにふさわしい、ポップで色っぽいR&B作品に仕上がっている。
グラマラスなシンセサイザーの伴奏からチキチキ・ビートに続き、ラップみたいな粗っぽいメロディが続く展開は、ドレイクやチャンス・ザ・ラッパーのブレイク以降、ブラック・ミュージック業界のスタンダードになりつつある、ラップっぽいメロディとコンピュータを使った奇抜なビートを採用したものだと思う。過去の作品を振り返ると、”Boy (I Need You)”のようにレコードからサンプリングしたフレーズを早回しした曲を作ったり、昔のソウル・ミュージックをそのままリメイクした”Don't Stop (Funkin' 4 Jamaica)”を録音したりと、色々なスタイルを取り入れてきたマライアだが、今回の新曲でも新しいトレンドを積極的に取り入れ、違和感なく自分のものにしている。だが、見逃してはならないのは、ドレイクとは大きく異なる彼女の声量と表現力だろう。幅広い声域と豊かな声量を巧みに操り、比較的起伏の少ないラップ風のメロディと、ダイナミックな表現が求められるサビの部分を歌い分けている点は、ドレイクを含む他の歌手の曲とは大きく異なっている。
そして、本作のもう一つの面白みはゲストとして参加したカリフォルニア州コンプトン出身のラッパーYGの存在だろう。2016年に発表した2枚目のアルバム『Still Brazy』がヒップホップ・アルバム・チャートの3位を獲得するなど、勢いのある若手が、エロティックな上に癖のあるビートに乗せて、マライアの歌を引き立てるような地味だけど味わい深いラップを聴かせている。これまでの作品でも、”Fantasy(Remix)”に客演したオール・ダーティ・バスタードや”Migrate”でフィーチャーされたTペインなど、多くのラッパーが雄姿を見せてくれたが、彼ほど「曲の一部」になった人はおそらくいなかったと思う。
ヒットメイカーの実力が遺憾なく発揮された、完成度の高さが魅力のポップなR&B。風向き次第では一気に盛り上がりそうだけど、どうなるのかな…。
Producer
Jermaine Dupri, Bryan-Michael Cox
正式にリリースされた作品としては、2015年にエピックから発売したベスト・アルバム『#1 to Infinity』に収録されている”Infinity”以来となる新曲は、ジャーメイン・デュプリとブライアン・マイケル・コックスがプロデュースしたミディアム・ナンバー。
この曲を手掛けているジャーメイン・デュプリは、マライアに”Sweetheart”や”We Belong Together”を提供して、グラミー賞のベストR&Bソング部門を獲得したり、アッシャーの”You Make Me Wanna”や”My Boo”などを手掛けてきたリと、多くの実績を残しているヒット・メイカー。また、今回参加した、ブライアン・マイケル・コックスは”Shake It Off”(ジャーメイン・デュプリ等との共作)や “I Stay In Love”などを手掛ける一方で、メアリーJ.ブライジの”Be Without You”やアッシャーの”Burn”といったヒット曲でペンを執っている実力派のプロデューサー。過去にも何度か共作している両者による新作は、大人の女性として成熟したマライアにふさわしい、ポップで色っぽいR&B作品に仕上がっている。
グラマラスなシンセサイザーの伴奏からチキチキ・ビートに続き、ラップみたいな粗っぽいメロディが続く展開は、ドレイクやチャンス・ザ・ラッパーのブレイク以降、ブラック・ミュージック業界のスタンダードになりつつある、ラップっぽいメロディとコンピュータを使った奇抜なビートを採用したものだと思う。過去の作品を振り返ると、”Boy (I Need You)”のようにレコードからサンプリングしたフレーズを早回しした曲を作ったり、昔のソウル・ミュージックをそのままリメイクした”Don't Stop (Funkin' 4 Jamaica)”を録音したりと、色々なスタイルを取り入れてきたマライアだが、今回の新曲でも新しいトレンドを積極的に取り入れ、違和感なく自分のものにしている。だが、見逃してはならないのは、ドレイクとは大きく異なる彼女の声量と表現力だろう。幅広い声域と豊かな声量を巧みに操り、比較的起伏の少ないラップ風のメロディと、ダイナミックな表現が求められるサビの部分を歌い分けている点は、ドレイクを含む他の歌手の曲とは大きく異なっている。
そして、本作のもう一つの面白みはゲストとして参加したカリフォルニア州コンプトン出身のラッパーYGの存在だろう。2016年に発表した2枚目のアルバム『Still Brazy』がヒップホップ・アルバム・チャートの3位を獲得するなど、勢いのある若手が、エロティックな上に癖のあるビートに乗せて、マライアの歌を引き立てるような地味だけど味わい深いラップを聴かせている。これまでの作品でも、”Fantasy(Remix)”に客演したオール・ダーティ・バスタードや”Migrate”でフィーチャーされたTペインなど、多くのラッパーが雄姿を見せてくれたが、彼ほど「曲の一部」になった人はおそらくいなかったと思う。
ヒットメイカーの実力が遺憾なく発揮された、完成度の高さが魅力のポップなR&B。風向き次第では一気に盛り上がりそうだけど、どうなるのかな…。
Producer
Jermaine Dupri, Bryan-Michael Cox