ジャクソン5がカヴァーした”Rockin' Robin”でも有名な、シンガー・ソングライターのボビー・デイを祖父に持ち、自身もニッキー・ミナージュの”Anaconda”や、クリス・ブラウンの”Fine China”、”Add in Me”といったヒット曲に携わってきた、カリフォルニア州コンプトン生まれ、ロスアンジェルス育ちのシンガー・ソングライター、エリック・ベリンガー。
2013年に初のミックステープ『Born II Sing Vol. 1』を発表すると、翌年には1作目のオリジナル・アルバム『The Rebirth』をリリース。その後も、フル・アルバムとEPを2枚ずつと、ミックステープを5本制作しながら、ザ・ゲームの”Circles”や、ジョー・バドゥンの”Where Do We Go”などに客演。多くの録音作品を残してきた。
今回のアルバムは、2017年3月にリリースされた『Eric B for President: Term 2』から、わずか1か月という短い間隔で発売された、彼にとって3枚目のEP。プロデューサーには、過去の作品にも参加しているソウフウエストやビージー・タイムズのほか、初顔合わせとなるドー・ボーイやビーツ・バイ・デズを起用。多くのヒット曲を生み出してきたエリックの、キャッチーでロマンティックなメロディの魅力を、多彩なトラックで引き出している。
アルバムのオープニングを飾る”Staring At The Ceiling”は、ドー・ボーイのプロデュース作品。音数を絞ったチキチキ・ビートに乗って、じっくりと歌い込んだスロー・テンポの楽曲だ。2分弱の短い曲ながら、甘くロマンティックな、彼の世界に引き込んでくれる魅力的な作品だ。
続く”Flight”は、プロデューサーに『Eric B For President: Term 1』に収録されている”Sometimes”を手掛けたソーフウエストを、ソングライターにエーロックと、クリス・ブラウンの”Add in Me”の共作者でもあるニーマン・ジョンソンを起用。カリフォルニア州インランド・エンパイア出身の女性シンガー、キャンディス・ボイドをフィーチャーしたスロー・ナンバー。”Staring At The Ceiling”に引き続き、 アッシャーの”Burn”やシスコの”Incomplete”を彷彿させる、チキチキという音を使ったトラックの上で、じっくりと歌を聴かせている。甘くグラマラスなエリックの歌声と、線は細いが強靭で色っぽいキャンディスのヴォーカルの対比が光っている。
そして、ビーツ・バイ・デズがプロデュースした”Not High Enough”は、ヒップホップのビートとギターの弾き語りを融合した異色の曲。ビートを意識しつつも、メロディに合わせてリズムを崩したギターの伴奏が、弾き語りっぽい雰囲気を演出している。音数を減らして、ギターと衝突しないように気を配ったトラックや、ビートに乗りつつ、徹底的にメロディを崩して歌うエリックのパフォーマンスも格好良い。粗削りな作りのようで、細部にまで気を配った面白い曲だ。
また、”Circles”でも共演しているザ・ゲームとコラボレーションした ”Blazin' Wit The Bros”は、”Not High Enough”に続きビーツ・バイ・デズがプロデュース。マライア・キャリーの”Fantasy”など、多くのヒット曲でサンプリングされてきた、トム・トム・クラブの”Genius of Love”を使ったミディアム・ナンバーだ。元ネタの有名なフレーズをループさせたトラックに、ゆったりとしたメロディを組み合わせたスタイルは、同曲を引用した作品では珍しい。緊張感溢れるザ・ゲームのラップが、リラックスした雰囲気の楽曲に適度な緊張感を与えている。
アルバムの最後を締めるのは、ビージー・タイムズが手掛けたスロー・ナンバー”Ganja”だ。本作のタイトルに引っ掛けた(どちらも「大麻」という意味。厳密には「Ganja」が麻薬としての大麻、「Cannabliss」は植物としての大麻を指す。)この曲。パーカッションなどの明るい音色を多用した、陽気なトラックに乗せて、まったりと歌う姿が印象的。力を抜いて歌った時の声は、スティーヴィー・ワンダーにちょっと似ている気がするのは自分だけだろうか。
『Cannabliss』というタイトルが示す通り、今回のアルバムは収録曲のほとんどが、ゆっくりとしたテンポのトラックに乗って、のんびりと歌ったものになっている。流行のメロディやトラックをフォローしている点は変わっていないものの、曲調は一貫しており、色々なスタイルの楽曲を並べたこれまでの作品に比べると、異彩を放っている。だが、従来とは異なるタイプの作品でも、自分のスタイルを保ち、多くの人を楽しませるセンスは、頭一つ抜けていると思う。
スヌープ・ドッグのレイド・バックした雰囲気と、トレイ・ソングスの本格的な歌唱、ドレイクのヒップホップとR&Bを融合する技術が揃ったことで誕生したストリート色溢れる作品。クリス・ブラウンやアッシャーといった、流行のR&Bが好きな人はもちろん、ドクター・ドレや50セントのような、ウエストコースト・ヒップホップが好きな人もぜひ聴いてほしい。
Producer
Doh Boy, SoufWest, Beats By Dez, BeazyTymes
Track List
1. Staring At The Ceiling
2. Flight feat. Candice Boyd
3. Not High Enough
4. Blazin' Wit The Bros feat. The Game
5. Ganja
2013年に初のミックステープ『Born II Sing Vol. 1』を発表すると、翌年には1作目のオリジナル・アルバム『The Rebirth』をリリース。その後も、フル・アルバムとEPを2枚ずつと、ミックステープを5本制作しながら、ザ・ゲームの”Circles”や、ジョー・バドゥンの”Where Do We Go”などに客演。多くの録音作品を残してきた。
今回のアルバムは、2017年3月にリリースされた『Eric B for President: Term 2』から、わずか1か月という短い間隔で発売された、彼にとって3枚目のEP。プロデューサーには、過去の作品にも参加しているソウフウエストやビージー・タイムズのほか、初顔合わせとなるドー・ボーイやビーツ・バイ・デズを起用。多くのヒット曲を生み出してきたエリックの、キャッチーでロマンティックなメロディの魅力を、多彩なトラックで引き出している。
アルバムのオープニングを飾る”Staring At The Ceiling”は、ドー・ボーイのプロデュース作品。音数を絞ったチキチキ・ビートに乗って、じっくりと歌い込んだスロー・テンポの楽曲だ。2分弱の短い曲ながら、甘くロマンティックな、彼の世界に引き込んでくれる魅力的な作品だ。
続く”Flight”は、プロデューサーに『Eric B For President: Term 1』に収録されている”Sometimes”を手掛けたソーフウエストを、ソングライターにエーロックと、クリス・ブラウンの”Add in Me”の共作者でもあるニーマン・ジョンソンを起用。カリフォルニア州インランド・エンパイア出身の女性シンガー、キャンディス・ボイドをフィーチャーしたスロー・ナンバー。”Staring At The Ceiling”に引き続き、 アッシャーの”Burn”やシスコの”Incomplete”を彷彿させる、チキチキという音を使ったトラックの上で、じっくりと歌を聴かせている。甘くグラマラスなエリックの歌声と、線は細いが強靭で色っぽいキャンディスのヴォーカルの対比が光っている。
そして、ビーツ・バイ・デズがプロデュースした”Not High Enough”は、ヒップホップのビートとギターの弾き語りを融合した異色の曲。ビートを意識しつつも、メロディに合わせてリズムを崩したギターの伴奏が、弾き語りっぽい雰囲気を演出している。音数を減らして、ギターと衝突しないように気を配ったトラックや、ビートに乗りつつ、徹底的にメロディを崩して歌うエリックのパフォーマンスも格好良い。粗削りな作りのようで、細部にまで気を配った面白い曲だ。
また、”Circles”でも共演しているザ・ゲームとコラボレーションした ”Blazin' Wit The Bros”は、”Not High Enough”に続きビーツ・バイ・デズがプロデュース。マライア・キャリーの”Fantasy”など、多くのヒット曲でサンプリングされてきた、トム・トム・クラブの”Genius of Love”を使ったミディアム・ナンバーだ。元ネタの有名なフレーズをループさせたトラックに、ゆったりとしたメロディを組み合わせたスタイルは、同曲を引用した作品では珍しい。緊張感溢れるザ・ゲームのラップが、リラックスした雰囲気の楽曲に適度な緊張感を与えている。
アルバムの最後を締めるのは、ビージー・タイムズが手掛けたスロー・ナンバー”Ganja”だ。本作のタイトルに引っ掛けた(どちらも「大麻」という意味。厳密には「Ganja」が麻薬としての大麻、「Cannabliss」は植物としての大麻を指す。)この曲。パーカッションなどの明るい音色を多用した、陽気なトラックに乗せて、まったりと歌う姿が印象的。力を抜いて歌った時の声は、スティーヴィー・ワンダーにちょっと似ている気がするのは自分だけだろうか。
『Cannabliss』というタイトルが示す通り、今回のアルバムは収録曲のほとんどが、ゆっくりとしたテンポのトラックに乗って、のんびりと歌ったものになっている。流行のメロディやトラックをフォローしている点は変わっていないものの、曲調は一貫しており、色々なスタイルの楽曲を並べたこれまでの作品に比べると、異彩を放っている。だが、従来とは異なるタイプの作品でも、自分のスタイルを保ち、多くの人を楽しませるセンスは、頭一つ抜けていると思う。
スヌープ・ドッグのレイド・バックした雰囲気と、トレイ・ソングスの本格的な歌唱、ドレイクのヒップホップとR&Bを融合する技術が揃ったことで誕生したストリート色溢れる作品。クリス・ブラウンやアッシャーといった、流行のR&Bが好きな人はもちろん、ドクター・ドレや50セントのような、ウエストコースト・ヒップホップが好きな人もぜひ聴いてほしい。
Producer
Doh Boy, SoufWest, Beats By Dez, BeazyTymes
Track List
1. Staring At The Ceiling
2. Flight feat. Candice Boyd
3. Not High Enough
4. Blazin' Wit The Bros feat. The Game
5. Ganja