1991年に、同じミネソタ州出身の人気プロダクション・チーム、ジャム&ルイスが経営するパースペクティブ・レコードからリリースしたアルバム『Meant to Be Mint』でメジャー・デビュー。以後、ニュー・ジャック・スウィングからネオ・ソウル、ロックやジャズまで、様々なスタイルを吸収しながら、多くのファンを魅了してきたセント・ポール出身のソウル・バンド、ミント・コンディション。
メンバーの入れ替わりやレーベルの移籍を繰り返しながら、2016年までに9枚のオリジナル・アルバムと多くのシングルを発表。多くの作品が全米R&Bチャートに登場する人気バンドとなった。
ストークリー・ウィリアムスは結成から30年以上、バンドのリード・ヴォーカルを務めてきた、グループの核ともいえる人物。ヴォーカル以外にもドラムやパーカッション、キーボードなど、複数の楽器を使いこなし、演奏者やソングライター、プロデューサーとして、アッシャーやジャネット・ジャクソン、プリンスなど、多くの人気ミュージシャンの作品に携わってきた。
今回のアルバムは、そんな彼にとって初のソロ・アルバム。エスペランザ・スポルディングやタジ・マハルなど、通好みのミュージシャンの作品を数多く配給してきたコンコードからのリリースだ。全ての楽曲で彼自身が制作とプロデュースを担当し、彼以外にもフェイス・エヴァンスなどの作品を手掛けてきたカルヴィン・ハギンスや、ミュージックやレディシの作品に携わってきたイヴァン・バリアスがソングライターやプロデューサーとして起用。ロバート・グラスパーやエステール、ウェイルといった人気ミュージシャンがゲストとして招かれた、豪華な作品になっている。
アルバムの1曲目は、本作に先駆けて公開された”Level”。ロス・アンジェルスを拠点に活動するプロダクション・チーム、A-チームと共作したスロー・ナンバーだ。ヒップホップの軽やかなビートと、力強い歌声を引き立てるシンプルだけど味わい深いメロディ、緩急をつけながらじっくりと歌うストークリーのヴォーカルが一体化した良質なバラードは、ラップのような歌い方を取り入れた曲が流行する中で、メロディを丁寧に聴かせるヴォーカル曲はある意味珍しい。
また、グラミー賞のR&B部門で受賞経験もあるジャズ・ピアニスト、ロバート・グラスパーが参加した”Art In Motion”は、カルヴィン・ハギンスとイヴァン・バリースがペンを執ったスロー・ナンバー。そよ風のような柔らかくて優しいメロディが心地よい作品だ。美しいメロディを引き立てるロバート・グラスパーの艶っぽいピアノの演奏と、ストークリーのセクシーなヴォーカルが曲の魅力を引き出している。
また、エステールとのデュエット曲”U & I”は、カルヴィン・ハギンスとイヴァン・バリースが制作に携わっている、しっとりとした雰囲気のミディアム・ナンバー。長い間、音楽業界の一線で活躍している両者だが、コラボレーションは今回が初めてだ。デビュー当時のメアリーJ.ブライジを思い起こさせる、古いレコードから抜き出したような温かい音色のビートをバックに、モニカを彷彿させる甘く切ない歌声を披露するエステールの存在が光る作品。エステールのみずみずしいヴォーカルと、ストークリーの包み込むような大人の色気の組み合わせも魅力的だ。
そして、本作の最後を飾るのは、ジャマイカのクラレンドン教区出身のシンガー、オミを招いた”Wheels Up”だ。ケヴィン・リトルを連想させる爽やかで軽妙なヴォーカルが魅力のオミと、ベテランらしい老練な歌唱が素敵なストークリーのコンビネーションが格好良いアップ・ナンバーだ。スティール・パンなどの音色を取り入れた、カリプソっぽい明るく楽しい雰囲気の伴奏が気持ち良い。20年以上の長い間、色々なスタイルに取り組んできたストークリーだが、中南米の音楽との相性の良さは予想外だった。
初のソロ作品となる今回のアルバムでは、ミント・コンディションを彷彿させる、一つ一つの楽器の出音にまで気を配った、丁寧な作りのスロー・ナンバーやミディアム・ナンバーを中心に、グループの作品では使いにくい音色やアレンジも取り入れた良作になっている。スティール・パンやサンプリング風の音色、ジャズなどのエッセンスを吸収することで、グループで築き上げたストークリーのイメージを残しつつ、自分のスタイルを確立しているあたりは、色々なアーティストと仕事をしてきた彼らしさが発揮されていると思う。
演奏と歌唱で多くのファンを魅了していたミント・コンディションの良さを残しつつ、グループ名義の作品とは一味違うアプローチを聴かせてくれる面白い作品。流行の音楽には抵抗があるけど、新しい音には興味のある、好奇心旺盛な大人にお勧めの、安定感と新鮮さが魅力の佳作だ。
Producer
Stokley Williams, Carvin "Ransum" Haggins, Johnnie "Smurf" Smith, Ivan "Orthodox" Barias, Sam Dew
Track List
1. Level
2. Organic
3. Think About U
4. Cross The Line
5. Art In Motion feat. Robert Glasper
6. Hold My Breath
7. Victoria
8. U & I feat. Estelle
9. Way Up feat. Wale
10. Be With U
11. Forecast
12. Victoria (reprise)
13. We/ Me
14. Now
15. Wheels Up feat. Omi
メンバーの入れ替わりやレーベルの移籍を繰り返しながら、2016年までに9枚のオリジナル・アルバムと多くのシングルを発表。多くの作品が全米R&Bチャートに登場する人気バンドとなった。
ストークリー・ウィリアムスは結成から30年以上、バンドのリード・ヴォーカルを務めてきた、グループの核ともいえる人物。ヴォーカル以外にもドラムやパーカッション、キーボードなど、複数の楽器を使いこなし、演奏者やソングライター、プロデューサーとして、アッシャーやジャネット・ジャクソン、プリンスなど、多くの人気ミュージシャンの作品に携わってきた。
今回のアルバムは、そんな彼にとって初のソロ・アルバム。エスペランザ・スポルディングやタジ・マハルなど、通好みのミュージシャンの作品を数多く配給してきたコンコードからのリリースだ。全ての楽曲で彼自身が制作とプロデュースを担当し、彼以外にもフェイス・エヴァンスなどの作品を手掛けてきたカルヴィン・ハギンスや、ミュージックやレディシの作品に携わってきたイヴァン・バリアスがソングライターやプロデューサーとして起用。ロバート・グラスパーやエステール、ウェイルといった人気ミュージシャンがゲストとして招かれた、豪華な作品になっている。
アルバムの1曲目は、本作に先駆けて公開された”Level”。ロス・アンジェルスを拠点に活動するプロダクション・チーム、A-チームと共作したスロー・ナンバーだ。ヒップホップの軽やかなビートと、力強い歌声を引き立てるシンプルだけど味わい深いメロディ、緩急をつけながらじっくりと歌うストークリーのヴォーカルが一体化した良質なバラードは、ラップのような歌い方を取り入れた曲が流行する中で、メロディを丁寧に聴かせるヴォーカル曲はある意味珍しい。
また、グラミー賞のR&B部門で受賞経験もあるジャズ・ピアニスト、ロバート・グラスパーが参加した”Art In Motion”は、カルヴィン・ハギンスとイヴァン・バリースがペンを執ったスロー・ナンバー。そよ風のような柔らかくて優しいメロディが心地よい作品だ。美しいメロディを引き立てるロバート・グラスパーの艶っぽいピアノの演奏と、ストークリーのセクシーなヴォーカルが曲の魅力を引き出している。
また、エステールとのデュエット曲”U & I”は、カルヴィン・ハギンスとイヴァン・バリースが制作に携わっている、しっとりとした雰囲気のミディアム・ナンバー。長い間、音楽業界の一線で活躍している両者だが、コラボレーションは今回が初めてだ。デビュー当時のメアリーJ.ブライジを思い起こさせる、古いレコードから抜き出したような温かい音色のビートをバックに、モニカを彷彿させる甘く切ない歌声を披露するエステールの存在が光る作品。エステールのみずみずしいヴォーカルと、ストークリーの包み込むような大人の色気の組み合わせも魅力的だ。
そして、本作の最後を飾るのは、ジャマイカのクラレンドン教区出身のシンガー、オミを招いた”Wheels Up”だ。ケヴィン・リトルを連想させる爽やかで軽妙なヴォーカルが魅力のオミと、ベテランらしい老練な歌唱が素敵なストークリーのコンビネーションが格好良いアップ・ナンバーだ。スティール・パンなどの音色を取り入れた、カリプソっぽい明るく楽しい雰囲気の伴奏が気持ち良い。20年以上の長い間、色々なスタイルに取り組んできたストークリーだが、中南米の音楽との相性の良さは予想外だった。
初のソロ作品となる今回のアルバムでは、ミント・コンディションを彷彿させる、一つ一つの楽器の出音にまで気を配った、丁寧な作りのスロー・ナンバーやミディアム・ナンバーを中心に、グループの作品では使いにくい音色やアレンジも取り入れた良作になっている。スティール・パンやサンプリング風の音色、ジャズなどのエッセンスを吸収することで、グループで築き上げたストークリーのイメージを残しつつ、自分のスタイルを確立しているあたりは、色々なアーティストと仕事をしてきた彼らしさが発揮されていると思う。
演奏と歌唱で多くのファンを魅了していたミント・コンディションの良さを残しつつ、グループ名義の作品とは一味違うアプローチを聴かせてくれる面白い作品。流行の音楽には抵抗があるけど、新しい音には興味のある、好奇心旺盛な大人にお勧めの、安定感と新鮮さが魅力の佳作だ。
Producer
Stokley Williams, Carvin "Ransum" Haggins, Johnnie "Smurf" Smith, Ivan "Orthodox" Barias, Sam Dew
Track List
1. Level
2. Organic
3. Think About U
4. Cross The Line
5. Art In Motion feat. Robert Glasper
6. Hold My Breath
7. Victoria
8. U & I feat. Estelle
9. Way Up feat. Wale
10. Be With U
11. Forecast
12. Victoria (reprise)
13. We/ Me
14. Now
15. Wheels Up feat. Omi