メリー・クレイトンの名前を知らなくても、映画「バックコーラスの歌姫達」に出演した、ローリング・ストーンズのバックコーラスの女性といえば思い出すかもしれない。

レイ・チャールズのバック・コーラスであるレイレッツの一員だった彼女は、同グループから発展したシスターズ・ラヴとしても多くの傑作を残している。特に、シスターズ・ラヴ時代の楽曲は、そのレアリティと内容の良さから、多くのファンが追い求めていることでも知られており、インターネットが発達し、再版市場が成熟した今も、幻の名作と評されている。

また、グループを離れた後も、ローリング・ストーンズやキャロル・キングなどバックコーラスを務め、ローリング・ストーンズの“Gimme Shelter”で見せた彼女のパフォーマンスは、主役のミック・ジャガーを喰ったと例えられる名演として知られている。

そんな彼女の27年ぶりとなる新作は、シスターズ・ラヴのアルバムを残したモータウン発のアルバム。本格的なゴスペル作品を目指したということもあり、アップテンポ、スローテンポの楽曲ともに、彼女のパワフルな歌声が堪能できる。

だが、それ以上に面白いのはオリジナル曲と一緒におさめられたカヴァー曲のラインナップだろう。レオン・ラッセルの"A Song For You"やファイブ・ステアステップスの"Ooh Child"のカヴァーでは、原曲の要素を残しつつ、本格的なゴスペルにアレンジする大技も見せている。ダイナミックな歌声と絶妙な匙加減のアレンジ、この二つが本作の聴きどころだと思う。

20世紀の音楽シーンに多くの伝説を残した名歌手の確かな実力を確認できる名盤。ゴスペルだからって敬遠してると損するよ。

Producer 
Leon Adler, Terry Young

Track List
1. A Song for You
2. Touch the Hem of His Garment
3. Beautiful Scars
4. Love Is a Mighty River
5. God's Love
6. Deliverance
7. Room at the Altar
8. He Made a Way
9. Oh What a Friend
10. Ooh Child Medley




Beautiful Scars
Merry Clayton
Motown
2021-04-09