シュープリームス、スティーヴィー・ワンダー、ボーイズIIメン、数多の名ミュージシャン達を世に送り出してきたモータウン・レコード。自身も稀代の名シンガー、プロデューサーであるニーヨがCEOに就任してからは、BJ ザ・シカゴ・キッドエリック・ベリンガーなど、スケールの大きな歌唱を得意としている、実力派シンガー達のアルバムを次々と繰り出し、黒人音楽の名門として、音楽シーンを牽引している。

同レーベルの仲間に新しく加わったのが、エルハエことジャマール・ジョーンズだ。 2019年に出した『Trouble in Paradise』以来となる今回のアルバム。本作では、リック・ロスやマセーゴといった、アメリカ南部のヒップホップに強い面々をゲストと、トラップを土台にした尖ったビートを並べ、現代のトレンドを意識した作品に仕上げている。

しかし、癖の強いビートでもきちんと乗りこなしつつ、美しいメロディを丁寧に歌う、エルハエのパフォーマンスは紛れもないR&Bなのだ。このアルバムでは、アメリカ南部特有の変速ビートを器用に乗りこなしながら、ジェラルド・レバートやタンクのように、力強い声と艶かしい表現を聴かせている。このアルバムは、多くのミュージシャンが取り組んできた、人間の声の魅力を活かしつつ、その時代の流行を取り入れた新しいサウンドを乗りこなす、ソウル・ミュージックやR&Bの伝統を踏襲したものなのだ。

それぞれの時代で黒人音楽のスタンダードを生み出してきたモータウンのブランドを裏切らない。王道であり最先端でもある、本格的なR&B作品だ。

Producer
Akxen, Andrei Andrei, Black Fridayy, Matt Busco etc

Track List
1. Fun Fact feat. Rick Ross
2. My City feat. Masego
3. U Know
4. Separated
5. Face
6. Cold (Interlude)
7. Only One
8. Sick Of Playing feat. Xavier Omär
9. In My Corner
10. I Can See
11. Fun Fact Ballad  
Aura III [Explicit]
Motown Records
2021-04-09