ロス・アンジェルスを拠点に活動する、パリスとアンバーのストローザー姉妹と、アニタ・バイアスからなる3人組ヴォーカル・グループ、キングのデビュー・アルバム。
2011年にリリースされたロバート・グラスパーの代表作、『Black Radio』に収録された”Move Love”で、小川のせせらぎのような透き通ったヴォーカルを披露して注目を集め、その後も、ビラルやエリック・ロバーソンなどの作品で、美しい歌声を披露している彼女達。そんな3人にとって、初めてのアルバムとなる本作は、客演仕事で膨らんだファンの期待を裏切らない、爽やかで心地よいR&B作品になっている。
まず、アルバムが発表される5年前、2011年にリリースされた”THE STORY”に耳を傾けると、幾重にも重ねられたシンセサイザーの音色が、ふわふわとしたメロディのアクセントになって、幻想的な雰囲気の楽曲の輪郭を際立たせている点が面白い。滑らかなヴォーカルが織りなすハーモニーは、2000年代に活躍した2人組、フロエトリーにも少し似ているが、歌声の繊細さと電子楽器の多用という点で、彼女達よりも現代的。もっと言えば、フライング・ロータスやエイドリアン・ヤングなどの前衛的なヒップホップに近い、尖った雰囲気を醸し出している。
また、それ以外の曲に目を向けると、ロバート・グラスパーの新曲と勘違いしそうなシンセ・ドラムのビートと、ギラギラとした音色のシンセサイザーのリフを取り入れた”THE GREATEST”では、 ヴォーカルの響きを音響技術で強調して、ジェイムズ・ブレイクの作品を思い起こさせる、幻想的な雰囲気を作り出し、”SUPERNATURAL”ではデニ・ハインズを連想させるキュートなファルセットと、ビラルやエリック・ロバーソンが作りそうな、オーソドックスだが随所に電子音などのアクセントを加えた、オーソドックスだけどどこか先鋭的なパフォーマンスを披露している。
一方、SWVの”Weak”を彷彿させる甘酸っぱいメロディと歌声が印象的なバラード”IN THE MEANTIME”のように、ヴォーカルへのエフェクターの使用や、シンセサイザーのリフを控え目にして、三人の美しい歌声と緻密なハーモニーを強調した、90年代のR&Bに近い作風のものもある。
彼女達の音楽は、上述のフロエトリーや、エリカ・バドゥ、ジル・スコットといった、いわゆるネオソウルと呼ばれるジャンルのシンガーに近い部分も少なくない。だが、よく聴き比べると、ヴォーカルの声が硬く、シンセサイザーを多用した、無機質な一面も覗かせる彼女達の音楽は、柔らかい歌声とバンドの演奏によるトラックで、温かい雰囲気に纏め上げた他のシンガーとは一線を画している。
出身地や人脈の違いといえばそれまでだが、ブレインフィーダーやストーンズ・スロウを輩出した土地で、ロバート・グラスパーからフォーリン・エクスチェンジまで、色々なジャンルのミュージシャンと仕事をしてきた経験が、彼女達の音楽の幅を広げ、新しいサウンドを積極的に取り入れさせたのかもしれない。
バンドの演奏など、生音にこだわりを持つヴィンテージ系ミュージシャンと、コンピューターを積極的に取り入れ、ロックやエレクトロ・ミュージックも取り入れるミュージシャン。そのどちらとも適度に距離を置き、電子楽器と美しいヴォーカルが織りなすハーモニーをウリにした彼女達。商業的な成功は別として、R&Bの世界に新しい風を吹き込んでくれそうな、センスの良さを感じさせるアルバムだ。
Producer
Paris Strother
Track List
1. THE RIGHT ONE
2. THE GREATEST
3. RED EYE
4. SUPERNATURAL (EXTENDED MIX)
5. LOVE SONG
6. IN THE MEANTIME
7. CARRY ON
8. MISTER CHAMELEON
9. HEY (EXTENDED MIX)
10. OH, PLEASE!
11. THE STORY (EXTENDED MIX)
12. NATIVE LAND
2011年にリリースされたロバート・グラスパーの代表作、『Black Radio』に収録された”Move Love”で、小川のせせらぎのような透き通ったヴォーカルを披露して注目を集め、その後も、ビラルやエリック・ロバーソンなどの作品で、美しい歌声を披露している彼女達。そんな3人にとって、初めてのアルバムとなる本作は、客演仕事で膨らんだファンの期待を裏切らない、爽やかで心地よいR&B作品になっている。
まず、アルバムが発表される5年前、2011年にリリースされた”THE STORY”に耳を傾けると、幾重にも重ねられたシンセサイザーの音色が、ふわふわとしたメロディのアクセントになって、幻想的な雰囲気の楽曲の輪郭を際立たせている点が面白い。滑らかなヴォーカルが織りなすハーモニーは、2000年代に活躍した2人組、フロエトリーにも少し似ているが、歌声の繊細さと電子楽器の多用という点で、彼女達よりも現代的。もっと言えば、フライング・ロータスやエイドリアン・ヤングなどの前衛的なヒップホップに近い、尖った雰囲気を醸し出している。
また、それ以外の曲に目を向けると、ロバート・グラスパーの新曲と勘違いしそうなシンセ・ドラムのビートと、ギラギラとした音色のシンセサイザーのリフを取り入れた”THE GREATEST”では、 ヴォーカルの響きを音響技術で強調して、ジェイムズ・ブレイクの作品を思い起こさせる、幻想的な雰囲気を作り出し、”SUPERNATURAL”ではデニ・ハインズを連想させるキュートなファルセットと、ビラルやエリック・ロバーソンが作りそうな、オーソドックスだが随所に電子音などのアクセントを加えた、オーソドックスだけどどこか先鋭的なパフォーマンスを披露している。
一方、SWVの”Weak”を彷彿させる甘酸っぱいメロディと歌声が印象的なバラード”IN THE MEANTIME”のように、ヴォーカルへのエフェクターの使用や、シンセサイザーのリフを控え目にして、三人の美しい歌声と緻密なハーモニーを強調した、90年代のR&Bに近い作風のものもある。
彼女達の音楽は、上述のフロエトリーや、エリカ・バドゥ、ジル・スコットといった、いわゆるネオソウルと呼ばれるジャンルのシンガーに近い部分も少なくない。だが、よく聴き比べると、ヴォーカルの声が硬く、シンセサイザーを多用した、無機質な一面も覗かせる彼女達の音楽は、柔らかい歌声とバンドの演奏によるトラックで、温かい雰囲気に纏め上げた他のシンガーとは一線を画している。
出身地や人脈の違いといえばそれまでだが、ブレインフィーダーやストーンズ・スロウを輩出した土地で、ロバート・グラスパーからフォーリン・エクスチェンジまで、色々なジャンルのミュージシャンと仕事をしてきた経験が、彼女達の音楽の幅を広げ、新しいサウンドを積極的に取り入れさせたのかもしれない。
バンドの演奏など、生音にこだわりを持つヴィンテージ系ミュージシャンと、コンピューターを積極的に取り入れ、ロックやエレクトロ・ミュージックも取り入れるミュージシャン。そのどちらとも適度に距離を置き、電子楽器と美しいヴォーカルが織りなすハーモニーをウリにした彼女達。商業的な成功は別として、R&Bの世界に新しい風を吹き込んでくれそうな、センスの良さを感じさせるアルバムだ。
Producer
Paris Strother
Track List
1. THE RIGHT ONE
2. THE GREATEST
3. RED EYE
4. SUPERNATURAL (EXTENDED MIX)
5. LOVE SONG
6. IN THE MEANTIME
7. CARRY ON
8. MISTER CHAMELEON
9. HEY (EXTENDED MIX)
10. OH, PLEASE!
11. THE STORY (EXTENDED MIX)
12. NATIVE LAND







