melOnの音楽四方山話

オーサーが日々聴いている色々な音楽を紹介していくブログ。本人の気力が続くまで続ける。

Soul

City Champs - Luna ’68 [2021 Big Legal Mess Records]

かつてはスタックスやゴールドワックスといった、ソウル・ミュージックの名門レーベルが拠点を構え、近年はジャスティン・ティンバーレイクやヨー・ガッディといった、ヒップホップR&Bアーティストの出身地としても注目を集めているメンフィス。同地を拠点に活動するソウル・バンドが、シティ・チャンプスだ。

オルガン、ギター、ドラムの3人にサポートのベースを加えた4人という編成は、偶然にも同郷の名バンド、ブッカー・T&The M.G.sと同じ。しかし、両者が決定的に違うのは演奏スタイル。息の合った演奏で、グループの一体感を大切にするM.G.sに対し、各人のテクニックを思いっきり強調するのがシティ・チャンプスのやり方なのだ。

ジミー・スミスのようにダイナミックなオルガン、デイヴィッド・ウォーカーを彷彿させる艶かしいギター、アート・ブレイキーを連想させる軽妙なドラムなど、三者が三様の持ち味を遺憾なく発揮した演奏は、始めから終わりまでクライマックス。また、これだけ各人の個性が強いバンドでありながら、一つの作品として完成している点も見逃せない。

個性豊かなタレントを送り出してきたメンフィスの歴史を踏襲する、ダイナミックな演奏が魅力の名グループだ。

Producer
Scott Bomar

Track List
1. Luna '68
2. Lockdown City
3. Mack Lean
4. A-Meld-A-Marcos
5. Hanzo
6. Skinny Mic
7. Freddie King for Now
8. Thinking of You
9. Voyage to Vega (For Felix)




Luna '68
The City Champs
Big Legal Mess
2021-03-19


MonoNeon - Supermane [2021 Mononeon]

ブーツィー・コリンズやサンダーキャットなど、個性的な人が多い音楽の世界でも、特にユニークな人が多いベーシスト。その中でも、今、特に強烈なキャラクターで注目を集めているのが、モノネオンことドウェイン・トーマスJr.だ。

黒人音楽の聖地、メンフィスに生まれ育った彼は、ジョン・ケージやアルバート・アイラーのような抽象性の高い現代音楽と、メイヴィス・ステイプルズのような泥臭い南部のソウル・ミュージックを融合させるという、ユニークな作風で話題のクリエイター。

今回の作品では、ディム・ファンクのような太いベース音が印象的なディスコ曲や、古いリズムマシンの軽い音色を効果的に使った軽妙なスロー・ナンバー、ゲストの女性ヴォーカルの力強い歌声が、60年代のステイプル・シンガーズを彷彿させる、ドロドロとしたソウルや、演奏者の指捌きが耳に伝わってくる繊細なポップスのバラードなど、色々なスタイルの楽曲を披露している。

しかも、本作で彼は、煌びやかなシンセサイザーの音と、泥臭い南部のソウル・ミュージックのヴォーカルを組み合わせるなど、周囲の予想を裏切る意外な組み合わせで、リスナーの度肝を抜いている。この、一歩間違えたら、イロモノで終わりかねない大胆なアレンジに挑戦しつつ、一つの作品に落とし込むコーディネート能力こそ、彼の強みであり、魅力なのだろう。

蛍光色を取り入れたファッションや、ベースヘッドにつけた靴下という、個性的なビジュアル以上に強烈な音楽と、ユニークなファッションですら周囲から納得されるように、色々なサウンドを一つの作品にとして纏め上げる構成力が光っている。

Producer
MonoNeon

Track List
1. Just Gettin' High, Just Gettin' By
2. Invisible
3. We Somebody Y'all
4. Grandma's House feat. Mr. Talkbox
5. The Crop feat. Wax
6. Done with the B-S feat. Ledisi
7. Fartin' All Ova the World
8. Supermane feat. Kirk Whalum




Supermane [Explicit]
Mononeon
2021-03-18

Izy- Irene [2021 Hopestreet Recording]

「Izy」と書いて、「アイ・ジー」と読む。この不思議な名前のバンドは、オーストラリア北部の都市、メルボルンを拠点に活動する3人組。

音楽一家に育ったギタリスト兼ヴォーカルのリョウ・モンゴメリーが兄弟と結成したグループが元となった彼らは、現在ではリョウに加え、ドラマーのマル・ニトー・ザマットロー、ギター、ベース、ヴォーカルとマルチな才能を発揮しているワリーゴ・ティレルの3人組でステージに立っている。

多彩なルーツを持つ彼らの音楽は、マックスウェルのようなネオソウルの技法と、ロビン・シックに代表されるソウル・ミュージックを経由したポップスのスタイルを融合したもの。そこに、ジャズフォークソング、ハワイや東南アジアのローカルな音楽のエッセンスを加えてバンドの個性にしている。彼らの鋭い感性と、それを具体化する高い演奏技術は、これらの音楽を融合し、どのジャンルにも当てはめられない、独特のアイジー・サウンドを生み出している。

ジャンルの枠に囚われず、ゆったりとした姿勢で向き合える良質なポピュラー・ミュージック。ヘッドフォンでなくスピーカーで、時間をかけて楽しみたい良作だ。

Producer
Ryo Montgomery

Track List
1. Moon (album version)
2. No Further Than You
3. Frantic v
4. Out The Door
5. Irene
6. They Don't Care
7. Not So Tall
8. Smile
9. Don't Turn Off Your Light 1
10. Treat Me Bad
Irene
Irene
HopeStreet Recordings
2021-03-26


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