ブーツィー・コリンズやサンダーキャットなど、個性的な人が多い音楽の世界でも、特にユニークな人が多いベーシスト。その中でも、今、特に強烈なキャラクターで注目を集めているのが、モノネオンことドウェイン・トーマスJr.だ。
黒人音楽の聖地、メンフィスに生まれ育った彼は、ジョン・ケージやアルバート・アイラーのような抽象性の高い現代音楽と、メイヴィス・ステイプルズのような泥臭い南部のソウル・ミュージックを融合させるという、ユニークな作風で話題のクリエイター。
今回の作品では、ディム・ファンクのような太いベース音が印象的なディスコ曲や、古いリズムマシンの軽い音色を効果的に使った軽妙なスロー・ナンバー、ゲストの女性ヴォーカルの力強い歌声が、60年代のステイプル・シンガーズを彷彿させる、ドロドロとしたソウルや、演奏者の指捌きが耳に伝わってくる繊細なポップスのバラードなど、色々なスタイルの楽曲を披露している。
しかも、本作で彼は、煌びやかなシンセサイザーの音と、泥臭い南部のソウル・ミュージックのヴォーカルを組み合わせるなど、周囲の予想を裏切る意外な組み合わせで、リスナーの度肝を抜いている。この、一歩間違えたら、イロモノで終わりかねない大胆なアレンジに挑戦しつつ、一つの作品に落とし込むコーディネート能力こそ、彼の強みであり、魅力なのだろう。
蛍光色を取り入れたファッションや、ベースヘッドにつけた靴下という、個性的なビジュアル以上に強烈な音楽と、ユニークなファッションですら周囲から納得されるように、色々なサウンドを一つの作品にとして纏め上げる構成力が光っている。
Producer
MonoNeon
Track List
1. Just Gettin' High, Just Gettin' By
2. Invisible
3. We Somebody Y'all
4. Grandma's House feat. Mr. Talkbox
5. The Crop feat. Wax
6. Done with the B-S feat. Ledisi
7. Fartin' All Ova the World
8. Supermane feat. Kirk Whalum