melOnの音楽四方山話

オーサーが日々聴いている色々な音楽を紹介していくブログ。本人の気力が続くまで続ける。

バンド

Whatitdo Archive Group - The Black Stone Affair [2021 Record Kicks]

ホワットイットドゥ・アーカイヴ・グループという、舌を噛みそうな名前の音楽集団。何者かと思ってアルバムを手に取ってみたら、どうやら、70年代にイタリア映画の音楽を手掛けたバンドらしい。

映画のフィルムは公開前に消失してしまったので、ストーリーを窺い知ることは叶わないが、残されたサウンド・トラックには、ノーマン・ホイットフィールドが作りそうな荒々しいファンクから、カーティス・メイフィールドの『superfly』を彷彿させる乾いた音色のソウル、アイザック・ヘイズが作りそうな甘いメロディのバラードなど、70年代前半に流行したブラックスプロイテーション・ムービーのサウンド・トラックを俯瞰したような、個性豊かなインストゥルメンタル作品がが収められている。

また、これらの音楽を手掛けるホワットイットドゥ・アーカイヴ・グループは、イタリアの無名のバンドだというから驚きだ。彼らはスタジオ・ミュージシャンのような職人集団だったのか、自身の演奏を主張することよりも楽曲の持ち味を引き出すことに重きを置いている。映画の各場面を盛り上げるための音楽という、サウンドトラックの本来の目的に忠実な演奏をすることで、作品全体の統一感と楽曲の個性、多彩なアレンジの両立という、難しい課題を高いレベルで両立しているのは面白い。

こんな音楽が流れる映画はどんなものだったのか、想像を掻き立てる充実の内容だ。

Track List

1. The Black Stone Affair (Main Theme)
2. Blood Chief
3. Ethiopian Airlines
4. Il Furto di Africo
5. Italian Love Triangle
6. Last Train To Budapest
7. L'Amour Au Centre De La Terre
8. The Black Stone Affair (Reprise)
9. Farewell Lola
10. Beaumont's Lament
11. The Return of Beaumont Jenkins feat. Alessandro Alessandroni Jr.
The Black Stone Affair
Whatitdo Archive Group
Record Kicks
2021-04-23


Izy- Irene [2021 Hopestreet Recording]

「Izy」と書いて、「アイ・ジー」と読む。この不思議な名前のバンドは、オーストラリア北部の都市、メルボルンを拠点に活動する3人組。

音楽一家に育ったギタリスト兼ヴォーカルのリョウ・モンゴメリーが兄弟と結成したグループが元となった彼らは、現在ではリョウに加え、ドラマーのマル・ニトー・ザマットロー、ギター、ベース、ヴォーカルとマルチな才能を発揮しているワリーゴ・ティレルの3人組でステージに立っている。

多彩なルーツを持つ彼らの音楽は、マックスウェルのようなネオソウルの技法と、ロビン・シックに代表されるソウル・ミュージックを経由したポップスのスタイルを融合したもの。そこに、ジャズフォークソング、ハワイや東南アジアのローカルな音楽のエッセンスを加えてバンドの個性にしている。彼らの鋭い感性と、それを具体化する高い演奏技術は、これらの音楽を融合し、どのジャンルにも当てはめられない、独特のアイジー・サウンドを生み出している。

ジャンルの枠に囚われず、ゆったりとした姿勢で向き合える良質なポピュラー・ミュージック。ヘッドフォンでなくスピーカーで、時間をかけて楽しみたい良作だ。

Producer
Ryo Montgomery

Track List
1. Moon (album version)
2. No Further Than You
3. Frantic v
4. Out The Door
5. Irene
6. They Don't Care
7. Not So Tall
8. Smile
9. Don't Turn Off Your Light 1
10. Treat Me Bad
Irene
Irene
HopeStreet Recordings
2021-03-26


El Michels Affair - Yeti Season [2021 Big Crown]

リー・フィールズなどの作品をリリースし、ソウルファンク業界を牽引しているビッグ・クラウン

同レーベルの中心的人物であり、自身もダップ・トーンズなどで、腕を奮ってきたのが、マルチ・アーティストのレオン・ミッチェルだ。

彼が率いるエル・ミッシェル・アフェアは、ウータン・クランのレイクウォンのツアーを支えてきた面々と組んだバンド。そんなこともあり、結成当初からヒップホップのカラーを強く打ち出したファンクを披露してきた。

2017年以来となる新作では「架空の映画のサウンドトラック」というコンセプトを打ち出し、2000年代以降のアメリカのファンクを土台に、トルコのファンクや中東の伝統音楽など、色々な音楽の要素を混ぜ合わせたものを聴かせてくれる。

本作では、彼らの作品には珍しく、多くのヴォーカル曲が収められている。ヒンディー系シンガーのピヤ・マリックが参加した曲がそれで、彼女の歌声がバンドの音に異国の情緒を吹き込んでいる。また、過去の作品にも関わってるザ・シャツクスも本格的なヴォーカル曲に挑戦。これまでの作品とは一味違う作風の楽曲もきちんと乗りこなしている。

中東の音楽を取り入れたファンクというと、マッドリブの「Beat Konducta」シリーズや、イーゴン率いるナウ・アゲインの諸作品が頭をよぎる。両者の音楽と比べると、ビートは緻密でグルーヴは安定し、楽曲全体の雰囲気も洗練されている。

多くの名アーティストを脇から支えてきた職人の能力が遺憾なく発揮された、面白い企画作品。ファンク好きはもちろん、中東やアジアの音楽が好きな人には見逃せない内容だ。

Track List
1. Unathi
2. Sha Na Na
3. Ala Vida
4. Fazed Out
5. Murkit Gem
6. Lesson Learned
7. Dhuaan
8.Perfect Harmony
9.Silver Lining
10. Zaharila
11. Last Blast
12. Idhar Udhar (Bonus Track)
13. Messy Grass (Bonus Track)
14. Unathi(inst) (Bonus Track)
15. Dhuaan (inst) (Bonus Track)
16. Murkit Gem (inst) (Bonus Track)
17. Zaharila (inst) (Bonus Track)

Producer
Leon Michels




Yeti Season [Analog]
El Michels Affair
Big Crown
2021-03-26



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