melOnの音楽四方山話

オーサーが日々聴いている色々な音楽を紹介していくブログ。本人の気力が続くまで続ける。

企画・編集盤

Various Artist - Despicable Me 3: Original Motion Picture Soundtrack [2017 Columbia, Sony]

90年代以降、プロダクション・チーム、ネプチューンズの一員として多くのヒット曲を送り出し、2014年には各国のヒット・チャートを制覇したシングル”Happy”を含むアルバム『GIRL』が大ヒット。2016年には映画「Hidden Figures(邦題:ドリーム)」の音楽を手掛けている、シンガー・ソングライターのファレル・ウィリアムス。2017年に入ってからも、サンダーキャットの”The Turn Down”や、カルヴィン・ハリスの”HeatStroke”など、多くのヒット作に携わっている彼にとって、約1年ぶりとなる自身名義での新作。

「Despicable Me」は、「怪盗グルー・シリーズ」として知られるアメリカの人気アニメーション映画。 ファレルはスピンオフ作品の「ミニオンズ」を除く、同シリーズの全ての作品に楽曲を提供しており、彼の代表曲である”Happy”も、元々は2013年に公開された「怪盗グルーのミニオン危機一髪」のサウンド・トラックに収められていたものだった。

本作は、同シリーズの3作目「怪盗グルーのミニオン大脱走」のサウンドトラック。ファレルはこのアルバムで、マイケル・ジャクソンの”Bad”などの既発曲と、ミニオンズによるキャラクター・ソングを除くほぼ全ての曲を制作している。

アルバムに先駆けて公開された”Yellow Light”は、ネプチューンズがバスタ・ライムズに提供した”What It Is”を連想させる、ピコピコという電子音が印象的なミディアム・ナンバー。80年代のゲーム音楽のようなトラックをバックに、軽快な歌声を聴かせるファレルの姿が光っている。曲の途中でビートを変える演出は、ヒップホップとポップスの両分野で活躍してきたファレルらしいものだ。

それ以外の曲では、本作で悪役、バルタザール・ブラットを演じているトレイ・パーカー(日本でもヒットしたコメディ・アニメ「サウスパーク」の作者としても有名だ)とのコラボレーション曲”Hug Me”も気になるところだ。歌手の経験もあるトレイだけあって、ファレルの作る奇抜な曲もきちんと乗りこなしている。劇中と同じ声色で歌っているのかは未確認だが、両者の持ち味が発揮されたポップ・ナンバーだと思う。

一方、ファレルのソロ曲である”Doowit”は、”Happy”を彷彿させる躍動感溢れるトラックと軽妙なメロディが印象的なアップ・ナンバー。本作には”Bad”や”Take On Me”など、ポップスの名曲が数多く収録されているが、それらの流れを汲んだ楽しくキャッチーな曲だ。

また、今年の5月に亡くなった伝説のロック・ミュージシャンから名前を貰った”Chuck Berry”は、ファレルの得意なサウンドを使いつつロックンロールに挑戦した、本作でも異色の楽曲。ゴム毬のように跳ねるビートを核に据え、女性コーラスや太いエレキギター、ホーンの音色やハンド・クラップなどを組み合わせて、ポップでダイナミックなロックンロールの雰囲気を再現した作風は新鮮だ。R&Bやヒップホップで使われる機材で、多彩な楽曲を生み出すセンスは流石としか言いようがない。

今回のアルバムはアニメーション映画のサウンド・トラックだが、子供向けの音楽という印象は感じられない。N.E.R.D.や自身名義の作品では、ヒップホップやR&B、ソウル・ミュージックをベースにしながら、多彩なアレンジを施した楽曲で私達を楽しませてきたファレルだけあって、本作のポップな世界観にマッチしつつ、楽曲単体でも十分に楽しめる素晴らしい音楽を作り上げている。このセンスと技術が、彼を音楽業界のトップに導いたのだろう。

ポピュラー・ミュージック界の鬼才が、その能力を遺憾なく発揮した佳作。子供から大人まで、あらゆる年代の人にブラック・ミュージックの魅力を伝えてくれそうだ。

Producer
Pharrell Williams etc

Track List
1. Yellow Light - Pharrell Williams
2. Hug Me - Pharrell Williams & Trey Parker
3. Bad - Michael Jackson
4. Take On Me - A-Ha
5. Papa Mama Loca Pipa - The Minions
6. There's Something Special - Pharrell Williams
7. Tiki Tiki Babeloo - The Minions
8. Freedom - Pharrell Williams
9. Doowit –Pharrell Williams
10. 99 Luftballons - Nena
11. Into The Groove - Madonna
12. Chuck Berry - Pharrell Williams
13. Fun, Fun, Fun - Pharrell Williams
14. Despicable Me - Pharrell Williams
15. Despicable Me 3 Score Suite - Heitor Pereira
16. Malatikalano Polatina - The Minions






Despicable Me 3
Various
DESPICABLE ME 3
2017-06-23

Various Artist – Hidden Figures: The Album [2016_Columbia]

2014年に発表した”Happy”が同年を代表するヒット曲になったファレル・ウィリアムズ。歌手活動に音楽制作、アパレル・ブランドの運営と八面六臂の活躍を見せる彼の新作は、自身がプロデュースしたコメディ映画のサウンドトラック。

アフリカ・アメリカンの女性科学者達が主役ということで、収録された10曲のうち6曲で女性シンガーをフィーチャーしている。(ただし、そのうち4曲はファレルとのデュエット曲)

彼女の新作でもコラボレーションしているアリシア・キーズがヴォーカルを担当した”Apple”では、グウェン・ステファニの”Sweet Escape”を彷彿させる、60年代のリズム&ブルースのように揺れるグルーヴの上で、一つ一つのフレーズを丁寧に歌うアリシアと、ラッパーのようにビートを乗りこなすファレルの対極的なスタイルが光るミディアム。また、メアリー・J.ブライジが参加した”Mirage”は最小限の音数でバラエティ豊かなビートを生み出す、ファレルの真骨頂が発揮されたミディアム・ナンバー。シンプルだけど癖のあるビートが、彼女の力強く、表現力豊かな歌声の魅力を引き立てている。

この他にも、映画にも出演しているジャネル・モネイ、今回が初のコラボレーションとなるレイラ・ハザウェイなど、聴きどころは多いが、ゲスト・シンガーの中でも特に印象的なのはトリを飾る”I See a Victory”を歌うキム・バレルだ。トミー・ボーイやシャナチーといった、通好みのレーベルでゴスペル作品を録音してきた彼女は、ファレルの作品では珍しいパワフルな声を惜しみなく聴かせるシンガー。この曲では、彼の曲ではお馴染みのハンド・クラップや軽妙なギター・リフを使ったトラックで、ともすれば威圧的に聞こえてしまうゴスペルを、”Happy”のように陽気なソウル・ミュージックに仕立てている。

また、ファレルの楽曲に目を向けると、アルバムに先駆けて発表された”Runnin’”は、クリプスの”Grindin”を思い起こさせる跳ねるようなビートの上で、サム・クックやマーヴィン・ゲイのようにしなやか歌うアップ・ナンバー。また、ラップ風の歌唱を披露した”Able”では、シンセサイザーのリフが印象的なビートの上で、スヌープ・ドッグのように飄々と歌ったり、ジェイムズ・ブラウンのように力を込めて歌ったりして見せるなど、コミカルな一面も見せている。ファレル自身はもともと、楽曲に応じて柔軟にスタイルを変えるタイプの歌手だが、本作ではその傾向が一層強まっているようにも思える。

だが、このように、個性豊かなゲストを起用し、本人のヴォーカルや作曲のスタイルの幅を広げても、本作での彼の音楽性は、これまでになく一貫しているように聞こえる。というのも、各曲を支えるサウンドは、ネプチューンズ時代のように、一つのシンセサイザーやドラムなどの音色を繰り返し使いながら、多種多様なトラックを生み出しているからだ。端的に言えば、ビートやメロディの組み方は多種多様だが、そのトラックを構成する音色は常に同じなので、リスナー側からすれば、統一感が取れているように聴こえるのだ。

このアルバムでは、従来のR&Bの枠に囚われない大胆なメロディやアレンジで、“Happy”のヒット以降に彼のことを知ったファンの期待に応えつつ、一つの音色からバラエティ豊かなビートを生み出すネプチューンズ時代のプロダクション技術を復活させて、コアなファンも満足させている。R&Bアーティスト、ファレル・ウィリアムズの嗅覚と技術が生半可なものではないことを裏付ける佳作だと思う。

Producer
Pharrell Williams

Track List
1. Runnin' - Pharrell Williams
2. Crave - Pharrell Williams
3. Surrender - Lalah Hathaway and Pharrell Williams
4. Mirage - Mary J. Blige
5. Able - Pharrell Williams
6. Apple - Alicia Keys and Pharrell Williams
7. Isn't This The World - Janelle Monáe
8. Crystal Clear - Pharrell Williams
9. Jalapeño - Janelle Monáe and Pharrell Williams
10. I See a Victory - Kim Burrell and Pharrell Williams




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