同レーベルの中心的人物であり、自身もダップ・トーンズなどで、腕を奮ってきたのが、マルチ・アーティストのレオン・ミッチェルだ。
彼が率いるエル・ミッシェル・アフェアは、ウータン・クランのレイクウォンのツアーを支えてきた面々と組んだバンド。そんなこともあり、結成当初からヒップホップのカラーを強く打ち出したファンクを披露してきた。
2017年以来となる新作では「架空の映画のサウンドトラック」というコンセプトを打ち出し、2000年代以降のアメリカのファンクを土台に、トルコのファンクや中東の伝統音楽など、色々な音楽の要素を混ぜ合わせたものを聴かせてくれる。
本作では、彼らの作品には珍しく、多くのヴォーカル曲が収められている。ヒンディー系シンガーのピヤ・マリックが参加した曲がそれで、彼女の歌声がバンドの音に異国の情緒を吹き込んでいる。また、過去の作品にも関わってるザ・シャツクスも本格的なヴォーカル曲に挑戦。これまでの作品とは一味違う作風の楽曲もきちんと乗りこなしている。
中東の音楽を取り入れたファンクというと、マッドリブの「Beat Konducta」シリーズや、イーゴン率いるナウ・アゲインの諸作品が頭をよぎる。両者の音楽と比べると、ビートは緻密でグルーヴは安定し、楽曲全体の雰囲気も洗練されている。
多くの名アーティストを脇から支えてきた職人の能力が遺憾なく発揮された、面白い企画作品。ファンク好きはもちろん、中東やアジアの音楽が好きな人には見逃せない内容だ。
Track List
1. Unathi
2. Sha Na Na
3. Ala Vida
4. Fazed Out
5. Murkit Gem
6. Lesson Learned
7. Dhuaan
8.Perfect Harmony
9.Silver Lining
10. Zaharila
11. Last Blast
12. Idhar Udhar (Bonus Track)
13. Messy Grass (Bonus Track)
14. Unathi(inst) (Bonus Track)
15. Dhuaan (inst) (Bonus Track)
16. Murkit Gem (inst) (Bonus Track)
17. Zaharila (inst) (Bonus Track)
Producer
Leon Michels