ビートルズ、ローリング・ストーンズからエイミー・ワインハウスやディジー・ラスカルズまで、世界の音楽シーンに革命を起こし続けた英国のミュージシャン達。その歴史を踏襲し、音楽界に新しい風を吹き込もうとしているのが、ジョルジャ・スミスだ。

彼女が表舞台に出るきっかけとなったのは、2016年に出た初のEP『Project 11』。同作に収められた曲が、ドレイクから高い評価を受けたことで、世界中の音楽好きから注目を集めた。また、彼の2018年作『More Life』の収録曲にフィーチャリング・アーティストとして起用されると、一気にブレイク。同年にリリースされた『Lost & Found』は、ゴールドディスクを獲得する大ヒットとなった。

約3年ぶりとなるスタジオ作品では、これまでの作品の音楽性を踏襲しつつ、それを発展させた楽曲を披露している。

それを象徴するのがアルバムからの先行シングル"Gone“。この曲はシンプルなR&Bのトラックをバックに、訥々と歌う彼女の姿が印象的なスロー・ナンバーだ。上品で洗練されたメロディとトラックは、彼女の歌の魅力を余すことなく引き出している。

このほかにもダブステップの要素を盛り込んだトラックの上で丁寧に歌う姿が光る"Addicted"や、ダンスホール・レゲエとドラムンベースを取り入れた"Bussdown"など、イギリスのミュージシャンらしい、大胆で先鋭的なアレンジや、若さ溢れるみずみずしい歌声、20代とは思えない、妖艶な歌唱が織り交ぜった独特の音楽が楽しめる。

本作は、歌声や表現力、スター性といった彼女の素材を活かしつつ、各クリエイターが大胆な冒険に打って出ている。新旧のポップスとクラブ・ミュージック、伝統的なソウル・ミュージックを飲み込み、消化して、新しい音楽に仕上げて世に投げかけた、現代の英国音楽シーンを象徴する画期的な作品だ。

Producer
Joel Compass, Riccardo Damian, Rahki, Ed Thomas, Gitty, Karl Banx, Charlie J. Perry

Track List
1. Addicted
2. Gone
3. Bussdown
4. Time
5. Home
6. Burn
7. Digging
8. Weekend



BE RIGHT BACK(輸入盤)
Jorja Smith
FAMM
2021-06-04